第5回|ペルチェ冷却で室内水耕栽培槽を設計する

mizumirayamada
第5回|ペルチェ冷却で室内水耕栽培槽を設計する
断熱材と構造の検証記録
はじめに:設計の背景と目的
ペルチェ素子による冷却・加熱性能が設計要求を満たせそうだという手応えが得られたので、今回はその結果をもとに室内水耕栽培槽の構造をどう組むかを考え、CAD図面でざっくりと形にしてみました。
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この構造は水耕栽培用に設計していますが、断熱・遮光・除湿・密閉性があるので、ワインセラーやレンズ防湿庫、発酵室、さらには小型冷蔵庫などにも応用できるかもしれません。
今回の設計で目指したことは、ざっくり以下の2つです:
- 栽培環境を安定して制御できる断熱構造をつくる
- ペルチェの冷却性能を活かせる遮熱設計にする

図面は初心者なりに試行錯誤しながら描いています。細かい寸法や記号の正確性はご容赦ください。ただ、構造の考え方や設計意図はできるだけ丁寧に記録しています。
※補足:この記事で提示する図面はあくまで構造説明用です。組み立て手順や施工の流れについては、後日公開予定の制作記録記事(第7回)をご参照ください。
スタイロフォームによる断熱構造設計
- 使用材:スタイロフォーム20mm厚
- 内寸:W900 × D450 × H1350mm
- 外周に1×4材(19mm厚)を配置し、隙間にスタイロを詰めて計約40mm厚を確保
- 正面は右開きの扉構造とするため、スタイロは扉のフレーム内と外側に設置予定

フレーム構成と支持構造
- 使用材:1×4材(19mm × 89mm)
- スタイロフォーム外周を囲むように配置し、構造剛性と施工性を両立
- 上面・背面・底面に梁を通して、断熱材とフレームを一体化
- 底面は地面から約70mm浮かせて断熱性を確保(支柱+梁+プラダン構成)

ドア構造と気密設計
- 使用材:1×2材(19mm × 38mm)
- 左側に丁番4つ、右側にマグネットキャッチ3つで固定
- ドアは外枠より3mm小さく設計し、開閉性と気密性を両立
- 内側にスタイロフォームを充填し、外気側にも追加予定
- 気密性はEPDM系パッキンで補完

補強材と構造安定性
- 使用材:1×2材(複数寸法)
- ドア枠の補強材、受け木、側面・底面の補強材として配置
- L型プレート(平型)で接合部を補強し、構造安定性と気密性を両立

ペルチェ冷却ユニットの設置方法
ペルチェ素子は天面の断熱材に穴をあけて設置予定。冷却面が内部空気に接するようにし、放熱側にはヒートシンクとファンを併用して外気側に熱を逃がす構成にします。
冷却効果の目標と注意点
この構成では、外気温が30℃前後の環境下でも、内部空間を20℃台前半まで冷却することを目指して設計しています。
ただし、以下のような要因で冷却性能が期待より下がる可能性もあります:
- 木材はスタイロフォームより断熱性能が劣る(約5〜6倍熱を通しやすい)
- 扉の建付けやパッキンの精度によって気密性が変動
- 内部の照明や電子部品の発熱も冷却効率に影響

冷却性能は設計通りにいかないかもしれません。でもそれも含めて、実験として記録していく価値があると思っています。
次回予告
設計がまとまったところで、次回は資材調達編です。 実際に購入した木材やパーツの一覧、選定理由、価格などを記録して、制作に向けた準備を進めていきます。
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