中3理科|イオンと電池【Step 1a】
中3 理科|イオンと電池|Step 1a
この記事でわかること
- 電子が抜けると+が相対的に勝ち陽イオンに、受け取ると−が勝ち陰イオンになる
- 電解質は水中でイオンに分かれ電気を通し、非電解質は分子のまま電気を通さない
- 砂糖水が電気を通さない理由は溶けやすさではなく水中で電離するかどうかで決まる
※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。
学習マップ
この単元の位置づけです。
イオンと電池
──陽イオン・陰イオン・電離──
『電解質』『イオン』が
いきなり出てきて困ってない?
原子の中で何が起きてるかから
ほどいていくよ
疑問の入口:なぜ塩水は電気を通すのか
夏、汗をかいたあと──
スポーツドリンクの成分表示
→ 塩化ナトリウム・塩化カリウム
これを水にとかすと電気を通す。
でも砂糖水はほとんど通さない。
同じ『水にとける』なのに、なぜ?
| 水溶液 | 電気を通す? |
|---|---|
| 塩化ナトリウム水溶液 | ○ 通す |
| 砂糖水 | × ほぼ通さない |
この違いを生み出すのが**イオン**です。水の中で何が起きているかを理解することが、この謎の答えになります。
原子の構造:電気的中性のしくみ
【ルール①】原子の電気のバランス
原子核:+の陽子 と 中性子
そのまわり:−の電子
+の数 = −の数 だから
全体は 0 → 電気的に中性
(例)ナトリウム原子 Na
陽子11個 + 電子11個 → 中性
原子の中心には**原子核**があり、+の電気を持つ**陽子**と電気を持たない**中性子**が含まれます。そのまわりを−の電気を持つ**電子**が回っています。通常の原子では陽子の数と電子の数が等しく、全体として**電気的に中性**です。例えばナトリウム原子Naは陽子11個・電子11個で、プラスとマイナスが打ち消し合い中性となります。
確認クイズ①
Q1. ナトリウム原子(Na)は原子核の中に
陽子が11個ある。
この原子が電気的に中性のとき、
電子の数は何個?
- ア.10個
- イ.11個
- ウ.12個
- エ.1個
クイズ①の答え
答え:イ.11個
中性 = +の数 と −の数 が同じ。
陽子11個 → 電子も11個。
× ア(10個)…Na⁺の電子数と混同
× ウ(12個)…中性子と電子を取り違え
× エ(1個)…『1価』に引っぱられた誤り
イオンとは:電子の出入りで電気が偏る
【ルール②】電子の出入り
電子を失う → +に偏る
→ 陽イオン
電子を受け取る → −に偏る
→ 陰イオン
(例)Na → Na⁺ + 電子
Cl + 電子 → Cl⁻
原子から電子(−)が1個失われると、残った+の陽子が相対的に多くなり、全体が+に偏ります。これを**陽イオン**といいます。逆に電子を1個受け取ると−が多くなり**陰イオン**になります。例えばNaは電子1個を手放して**Na⁺**(ナトリウムイオン)に、Clは電子1個を受け取って**Cl⁻**(塩化物イオン)になります。
確認クイズ②
Q2. 電気的に中性だった原子から
電子が1個飛び出した。
このとき、原子はどんな状態に?
- ア.全体として+を帯び、陽イオンになる
- イ.全体として−を帯び、陰イオンになる
- ウ.電気的に中性のまま
- エ.別の種類の原子に変わる
クイズ②の答え
答え:ア.陽イオン
−が1個抜ける
→ 残った+の方が1個多くなる
→ 全体として+に偏る
(電子が抜けても原子の種類は
変わらない=エは×)
イオン式の書き方
【約束】イオン式の書き方
(これは決まった書き方の慣習)
元素記号 + 右上に[数][符号]
・1価 → 数は書かない
例:Na⁺ / Cl⁻
・2価以上 → [数]→[符号]の順
例:Cu²⁺
・複数原子のまとまりも1つの式に
例:OH⁻
**イオン式**は「元素記号+右上に価数と符号」の形で書きます。1価のとき数字を省略し符号だけ書きます(Na⁺、Cl⁻)。2価以上は数を先に符号を後に書きます(Cu²⁺)。複数の原子がひとまとまりで動く**多原子イオン**もあります(例:水酸化物イオンOH⁻)。なお、右下の数字は原子の個数(例:H₂Oの「2」)を表すもので、右上の価数とは位置も意味も異なります。
確認クイズ③
Q3. ナトリウム原子(Na)から
電子が1個離れてできるイオンを、
イオン式で正しく表したのは?
- ア.Na⁺
- イ.Na⁻
- ウ.Na²⁺
- エ.Na
クイズ③の答え
答え:ア.Na⁺
・電子1個失う → +に偏る → 符号は +
・1価なので数字は省略
→ Na⁺ と書く
× イ:失ったのに−を書いた誤り
× ウ:1価なのに『2』をつけた誤り
- 右上 = 帯びている電気(電荷)
- 右下 = 原子の個数(位置がちがう!)
電離:水に溶けてイオンに分かれる
【ルール③】電離
物質が水にとけて、
陽イオンと陰イオンに分かれる現象。
(例)
NaCl → Na⁺ + Cl⁻
HCl → H⁺ + Cl⁻
※ 物質そのものが別物に変わる
化学変化とは別もの
(水を蒸発させればNaClに戻る)
**電離**とは、物質が水に溶けるときに**陽イオン**と**陰イオン**に分かれる現象です。例えばNaClを水に入れるとNa⁺とCl⁻に、HClを溶かすとH⁺とCl⁻に分かれます。電離は化学変化とは異なり、物質の種類が変わるわけではないため、水を蒸発させれば元の物質に戻ります。
電解質と非電解質
【ルール④】水にとかしたときの分類
○ 電解質:とけて電離する
→ 水中にイオン → 電気を通す
例:NaCl / HCl / NaOH
○ 非電解質:とけるが電離しない
→ 分子のまま → 電気を通さない
例:砂糖 / エタノール
△ 水にとけない物(銅・ガラス)
→ そもそも分類の対象外
水溶液が電気を通すのは、水中を+と−のイオンが自由に動いて電流の通り道ができるからです。水に溶けて電離する物質を**電解質**といい(代表例:NaCl・HCl・NaOH)、その水溶液は電気を通します。水に溶けても電離しない物質を**非電解質**といい(代表例:砂糖・エタノール)、分子のまま散らばるだけでイオンができず電気を通しません。水に溶けない物質(銅やガラスなど)はこの分類の対象外です。
間違えやすいポイント3つ
【ここでつまずきやすい!】
| × 間違い | ○ 正しい |
|---|---|
| 電子(−)が抜けたから −イオン | −が減って +イオン |
| Cu²⁺ の『2』は原子が2個 | 『2』は価数。位置は右上 |
| 砂糖はよくとけるから電解質 | とけても電離しない=非電解質 |
①「電子が抜けると−イオン」の逆転:−が減ると残った+が勝つため**陽イオン**(+)になります。②Cu²⁺の「2」を原子の個数と混同:右上の数字は「価数(帯びている電気の量)」であり、右下に書く原子の個数とは位置も意味も異なります。③「よく溶ける=電解質」の誤解:砂糖はよく溶けますが分子のまま。決め手は「水中でイオンに分かれるかどうか」です。
確認クイズ④
Q4. 塩化ナトリウムや塩化水素のように、
水にとけて陽イオンと陰イオンに
分かれる物質を何という?
(漢字3字で答えよう)
- ヒント:水中にイオンができる
- ヒント:その水溶液は電気を通す
クイズ④の答え
答え:電解質
水にとけて電離する物質を電解質という。
それに対して、とけても電離しない物質を
非電解質という。
| 分類 | 水中で |
|---|---|
| 電解質 | イオンに分かれる |
| 非電解質 | 分子のまま |
確認クイズ⑤
Q5. 次のア〜オのうち、水にとかすと
電解質として電気を通す物質を
すべて選ぼう。
- ア.塩化ナトリウム
- イ.砂糖
- ウ.塩化水素(塩酸)
- エ.エタノール
- オ.水酸化ナトリウム
クイズ⑤の答え
答え:ア・ウ・オ
○ ア NaCl → Na⁺ + Cl⁻
○ ウ HCl → H⁺ + Cl⁻
○ オ NaOH → Na⁺ + OH⁻
× イ 砂糖 …とけるが電離しない
× エ エタノール…とけるが電離しない
- 判定のコツ:水中で陽イオンと陰イオンに分かれるかどうか
- 『水によくとける = 電解質』ではない!
まとめ
今日のまとめ
① 原子は +(陽子) と −(電子) で
中性 → 電子が出入りすると イオンに
② 電子を失う → 陽イオン (例 Na⁺)
電子を受け取る → 陰イオン (例 Cl⁻)
③ 水にとけて電離 → 電解質
とけても電離しない → 非電解質
- 【自己点検】
- なぜ電子が抜けると陽イオン?を自分の言葉で言える?
- 塩水は通すのに砂糖水は通さない理由を1分で説明できる?
- あやしい人はもう一度、原子の構造の図に戻ろう
①原子は陽子と電子が同数で**電気的に中性**。電子の出入りでイオンに変わります。②電子を失うと+に偏り**陽イオン**(例:Na⁺)、受け取ると−に偏り**陰イオン**(例:Cl⁻)になります。③水に溶けて電離するものが**電解質**、電離しないものが**非電解質**。電気を通すかどうかは水中にイオンがいるかで決まります。
よくある質問
電子が抜けたのになぜ陽イオン(+)になるのですか?
電子(−)が1個減ると、もとからある+の陽子の数が相対的に多くなり全体が+に偏るためです。「−が出ていったから−になる」という直感とは逆向きになるため注意が必要です。
砂糖水はよく溶けるのになぜ電気を通さないのですか?
電気を通すかどうかは「よく溶けるか」ではなく「水中でイオンに分かれるか(電離するか)」で決まります。砂糖は水に溶けても分子のまま散らばるだけでイオンができないため、非電解質として電気を通しません。
イオン式でCu²⁺の「2」は何を意味するのですか?
右上の「2」は価数、つまり帯びている電気の量を表します。H₂Oの「2」のように右下に書く原子の個数とは、書く位置も意味もまったく異なります。
この単元の授業
- Step 1a(この記事)
- Step 1b

