中3理科|イオンと電池【Step 1b】
中3 理科|イオンと電池|Step 1b
この記事でわかること
- 電気分解では陽イオンが陰極へ、陰イオンが陽極へ向かい各電極で物質が取り出せる
- 化学電池ではイオン化傾向が大きい方の金属が負極となり電子を放出して電流が生じる
- イオン化傾向の語呂を覚えれば2つの金属の正負極をその場で判定できる
※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。
学習マップ
この単元の位置づけです。
リモコンの電池——
なんで小さな筒から電気が出るの?
コツは1つ。
「電子の移動」が電気の正体。
今日のテーマ:
電気分解・化学電池・イオン化傾向
電気と物質変化は双方向につながっている
【場面】家のリモコンの電池が切れた。
素朴な疑問:
① 電池はなぜ電気を生み出す?
(コンセントも燃料も使ってないのに)
② 逆に、外から電気を流したら?
例:アルミ缶の原料アルミニウムは
岩石に電気を流して取り出している
世の中には2種類の変換があります。**電気を流して物質を取り出す**操作が**電気分解**、**化学変化から電気を取り出す**装置が**化学電池**です。この2つはエネルギーの変換方向が逆の現象であり、本記事では順番に仕組みを確認します。
電気分解:電流で物質を取り出す
【電気分解】
電解質の水溶液に電流を流し、
各電極で物質を取り出す操作。
電源の+側 → 陽極(電子が出ていく)
電源の−側 → 陰極(電子が入ってくる)
※水溶液中は イオン が動いて電流
(金属導線中は 電子 が動く——別物)
**電気分解**とは、**電解質**水溶液に電流を流し各電極で物質を取り出す操作です。電源の+側に接続した電極を**陽極**、-側を**陰極**と呼びます。導線の中を流れるのは**電子**、水溶液の中を移動するのは**イオン**という違いも重要です。
**塩化銅水溶液(CuCl₂)**を電気分解した場合、陰極ではCu²⁺が電子を受け取って金属銅として析出し(Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu)、陽極ではCl⁻が電子を渡して塩素ガスとして発生します(2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻)。
イオンが動く向きのシンプルな原則
プラスとマイナスは引き合う。
陽イオン(+)→ 陰極(−)へ
Cu²⁺ → 陰極で 銅(Cu) が付着
陰イオン(−)→ 陽極(+)へ
Cl⁻ → 陽極で 塩素(Cl₂) が発生
**陽イオン**(+)は**陰極**(-側)へ、**陰イオン**(-)は**陽極**(+側)へ引き寄せられます。「プラスとマイナスは引き合う」という原則を押さえるだけで、どちらの極にどの物質が現れるかを自分で導くことができます。
化学電池:化学変化から電気を取り出す
【化学電池】
イオン化傾向の違う 2種類の金属 +
電解質水溶液 を組み合わせ、
化学変化から 電気を取り出す装置。
【ボルタ電池】Zn + Cu + 希硫酸
負極(−):Zn → Zn²⁺ + 2e⁻(電子を放出)
正極(+):2H⁺ + 2e⁻ → H₂(水素が発生)
電子の流れ:負極(Zn) → 導線 → 正極(Cu)
電流の向き:その 逆向き
**化学電池**は、**イオン化傾向**の異なる2種の金属と電解質水溶液を組み合わせて電気を取り出す装置です。代表例が**ボルタ電池**(亜鉛板Zn・銅板Cu・希硫酸H₂SO₄)で、外部回路に電球などをつなぐだけで点灯します。
**負極**(亜鉛板)ではZnが溶け出して電子を残し(Zn → Zn²⁺ + 2e⁻)、その電子が導線を通って**正極**(銅板)へ移動します。銅板側で水素イオンH⁺が電子を受け取り水素ガスが発生します(2H⁺ + 2e⁻ → H₂)。水素は亜鉛板ではなく銅板側から出る点に注意してください。
イオン化傾向:金属の反応しやすさの順序
【イオン化傾向】
金属が水溶液中で
陽イオンになりやすさの順。
ここは覚えるしかない。
語呂で口に出して覚えよう →(右の図)
【読み方】左にあるほど 電子を放出しやすい。
ボルタ電池で:
Zn は Cu より 左
= Zn が電子を放出 → Zn が 負極
(『大きい方が+極』ではない!)
**イオン化傾向**とは、金属が水溶液中で陽イオンになりやすい順序です。左側の金属ほど電子を放出しやすく反応性が高く、右側ほど安定して金属のままでいます。標準の順序は **K・Ca・Na・Mg・Al・Zn・Fe・Ni・Sn・Pb・(H)・Cu・Hg・Ag・Pt・Au** です。
語呂合わせ「**リッチに貸そうかな、まああてにすんな、ひどすぎる借金**」で順番を覚えましょう。ボルタ電池ではZnがCuより左(イオン化傾向が大きい)ため、**Znが負極・Cuが正極**になります。
電気分解と化学電池:用語の違いを整理する
名前が似てて混乱しやすい!
【電気分解】電気 → 物質
電極:陽極(+) / 陰極(−)
【化学電池】物質 → 電気
電極:正極(+) / 負極(−)
電子の出ていく側 = 陽極/負極
電子の入ってくる側 = 陰極/正極
電気分解(電気→化学)では電極を**陽極**(+)・**陰極**(-)と呼び、化学電池(化学→電気)では**正極**(+)・**負極**(-)と呼びます。共通点として、電子が**出ていく**側は電気分解では陽極・化学電池では負極になります。変換の向きが逆だからこそ呼び名も入れ替わる、という視点で整理すると覚えやすくなります。
よくある3つの誤解
| ×間違い | ○正しい |
|---|---|
| イオン化傾向 大 = +極 | イオン化傾向 大 = 負極(−) |
| ボルタ電池で水素は亜鉛板から | 水素は銅板(正極)から発生 |
| 水溶液中も電子が流れる | 水溶液中は イオン が動く |
①**イオン化傾向が大きい=正極(プラス)**という誤り——正しくはイオン化傾向が大きい側が電子を**放出**する**負極**です。②ボルタ電池で**水素が亜鉛板側から出る**という誤り——電子は導線を通って銅板へ移動するため、水素は**銅板(正極)側**で発生します。③**水溶液中も電子が流れている**という誤り——水溶液中を動くのは**イオン**であり、電子が流れるのは導線の中だけです。
確認問題①
【問1】
電解質の水溶液に電流を流し、
各電極で物質を取り出す操作を何というか。
ア.熱分解
イ.電離
ウ.電気分解
エ.化学電池
確認問題① 解答
正解:ウ.電気分解
・熱分解 = 熱で分解する操作
・電離 = 電解質が水中でイオンに分かれる現象
・化学電池 = 逆向き(化学変化 → 電気)
『電気を流して物質を取り出す』=電気分解
「電気を流して物質を取り出す操作」が電気分解の定義です。熱分解は熱による分解、電離は水に溶けてイオンに分かれる現象、化学電池は化学変化から電気を取り出す装置です。
確認問題②
【問2】
塩化銅水溶液(CuCl₂)を炭素電極で
電気分解した。陰極の表面に付着するのは?
ア.塩素(気体)
イ.銅(金属)
ウ.酸化銅
エ.水素(気体)
確認問題② 解答
正解:イ.銅(金属)
陰極(−):Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu (陽イオンが集まる)
陽極(+):2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ (陰イオンが集まる)
陽イオン → 陰極へ
陰イオン → 陽極へ
(プラスとマイナスは引き合う)
陰極(-側)にはCu²⁺(陽イオン)が引き寄せられ、電子を受け取って金属銅として析出します(Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu)。陽極では2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ で塩素ガスが発生します。
確認問題③
【問3】
亜鉛板と銅板を希硫酸に入れて
導線でつないだボルタ電池がある。
負極となる金属板と、その電極で起こることの
正しい組合せはどれか。
ア.亜鉛板で、電子を放出する
イ.亜鉛板で、電子を受け取る
ウ.銅板で、電子を放出する
エ.銅板で、電子を受け取る
確認問題③ 解答
正解:ア.亜鉛板で、電子を放出する
イオン化傾向:Zn > Cu
→ Zn の方が陽イオンになりやすい
→ Zn が電子を放出 → 負極
負極:Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
正極:2H⁺ + 2e⁻ → H₂
イオン化傾向はZn>Cuなので、Znが電子を放出する負極になります。銅板(正極)側では2H⁺ + 2e⁻ → H₂ で水素が発生します。
確認問題④
【問4】
次の4つの金属を、イオン化傾向の大きい順
(陽イオンになりやすい順)に左から並べなさい。
〔 Ag Cu Mg Zn 〕
答え:〔 〕>〔 〕>〔 〕>〔 〕
確認問題④ 解答
正解:Mg > Zn > Cu > Ag
(イオン化傾向の表で確認)
… Mg > Al > Zn > Fe …
… (H) > Cu > Hg > Ag …
左にあるほど 陽イオンになりやすい。
語呂「リッチに貸そうかな、まああてにすんな、ひどすぎる借金」でMg→Zn→Cu→Agの順を確認できます。この4つのイオン化傾向はMg>Zn>Cu>Agです。
まとめ
- 電気分解 = 電気を流す → 物質を取り出す(陽極/陰極)
- 化学電池 = 化学変化から → 電気を取り出す(正極/負極)
- 両方ともカギは『電子の移動』
- イオン化傾向 = 陽イオンになりやすさの順(左ほど大)
- ボルタ電池:イオン化傾向の大きい金属が 負極 になる
**電気分解**(電気→化学)と**化学電池**(化学→電気)はエネルギーの変換方向が逆で、電極の呼び方(陽極・陰極 vs 正極・負極)もそれぞれ異なります。**イオン化傾向**の大きい金属が化学電池の負極となり電子を放出します。3つの概念をつなぐ軸は「**電子の移動**」です。
よくある質問
電気分解と化学電池はどう違うのですか?
エネルギーの変換方向が逆です。電気分解は外部から電気を流して物質を取り出す操作(電気→化学)であり、化学電池は化学変化を利用して電気を生み出す装置(化学→電気)です。
ボルタ電池でどちらの金属が負極になるかはどう判断しますか?
イオン化傾向の大きい方の金属が負極になります。亜鉛Znと銅Cuを比べるとイオン化傾向はZn>Cuなので、亜鉛板が負極です。
水溶液の中では電子が流れないのですか?
はい。導線(金属)の中を流れるのは電子ですが、水溶液の中を移動するのは陽イオンと陰イオンです。電気を運ぶ担い手が異なる点がポイントです。
この単元の授業
- Step 1a(準備中)
- Step 1b(この記事)
