中学3年

中3理科|酸・アルカリと中和【Step 1a】

栞先生

中3 理科|酸・アルカリと中和|Step 1a

この記事でわかること

  • 酸性の原因は水素イオン、アルカリ性の原因は水酸化物イオンです。
  • 無色の水溶液も、指示薬が示す色から液性を判定できます。
  • 酸性の水溶液にマグネシウムを入れると水素が発生します。

※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。

栞先生
栞先生
レモン汁や食酢は酸性、石けん水や重そう水はアルカリ性を示します。しかし、無色なら見ただけで液性を判定できません。未知の水溶液を味や手ざわりで調べるのは危険です。そこで、指示薬の色や水溶液中のイオンに注目します。

学習マップ

この単元の位置づけです。

酸とアルカリは、見た目だけでは正体を見分けにくい。

先に答えの形:H⁺なら酸性・OH⁻ならアルカリ性

テーマは酸・アルカリの正体と見分け方。正体がわかると液性の判定がラクになる。

 水溶液の性質・濃度(小6〜中1)
  ↓
 化学変化・オームの法則(中2)
  ↓
 イオンと電池(中3)
  ↓
 酸・アルカリと中和(中3)
  ↓
 酸と塩基(高1)

見た目が同じなら、どう見分ける?

栞先生
栞先生
レモン汁や食酢は酸性、石けん水や重そう水はアルカリ性を示します。しかし、無色なら見ただけで液性を判定できません。未知の水溶液を味や手ざわりで調べるのは危険です。そこで、指示薬の色や水溶液中のイオンに注目します。
身近な例示すことが多い性質
レモン汁・食酢すっぱい/酸性
石けん水・重そう水ぬるっとする/アルカリ性
  • 無色の水溶液は、見ただけでは液性を判定できない
  • 未知の水溶液を、味や手ざわりで調べない
  • 色の変化で調べる薬品=指示薬

見た目でできない判定を、指示薬とイオンでできるようにする。

酸とは何か

栞先生
栞先生
酸とは、水溶液中で電離して\(\displaystyle H^+\)(水素イオン)を生じる化合物です。電離とは、物質が水中でイオンに分かれることです。酸性の原因は\(\displaystyle H^+\)で、ほかの陽イオンではありません。

酸=水溶液中で電離してH⁺(水素イオン)を生じる化合物

  • 電離:物質が水中でイオンに分かれること
  • 酸性の原因:H⁺
  • ほかの陽イオンではなく、水素イオンH⁺に注目する

酸の定義が難しいときは、まず『電離してH⁺を生じる』という形を押さえる。

定義が長く感じられるときは、まず「電離して\(\displaystyle H^+\)を生じる」と押さえます。酸性やアルカリ性は水溶液の性質なので、水中で生じるイオンを見ることが大切です。

確認問題①

栞先生
栞先生
酸が水溶液中で電離するときに生じ、酸性の原因となるイオンはどれですか。ア \(\displaystyle H^+\) イ \(\displaystyle OH^-\) ウ \(\displaystyle Cl^-\) エ \(\displaystyle Na^+\)

酸が水溶液中で電離するときに生じ、酸性の原因となるイオンはどれか。

  • ア H⁺
  • イ OH⁻
  • ウ Cl⁻
  • エ Na⁺

確認問題①の答え

栞先生
栞先生
答えはアの\(\displaystyle H^+\)です。酸は水溶液中で電離して\(\displaystyle H^+\)を生じ、このイオンが酸性の原因になります。

答え:ア H⁺

  • 酸は水溶液中で電離してH⁺を生じる
  • 酸性の原因となるのはH⁺

アルカリとは何か

栞先生
栞先生
アルカリとは、水溶液中で電離して\(\displaystyle OH^-\)(水酸化物イオン)を生じる化合物です。アルカリ性の原因は\(\displaystyle OH^-\)で、ほかの陰イオンではありません。

アルカリ=水溶液中で電離してOH⁻(水酸化物イオン)を生じる化合物

  • アルカリ性の原因:OH⁻
  • ほかの陰イオンではなく、水酸化物イオンOH⁻に注目する
酸とアルカリの正体 電離すると 性質の原因 液性 酸 H⁺を出す H⁺ 酸性 アルカリ OH⁻を出す OH⁻ アルカリ性 ポイント H⁺なら酸性・OH⁻ならアルカリ性

酸はH⁺、アルカリはOH⁻。どうしても迷うときは、この対比図に戻って確かめる。

酸は\(\displaystyle H^+\)、アルカリは\(\displaystyle OH^-\)と対比します。ややこしいところですが、性質の原因となるイオンの種類まで確かめましょう。

どちらも電解質水溶液

栞先生
栞先生
電解質は、水に溶かすと電流が流れる物質です。酸性とアルカリ性の水溶液は、どちらも電解質水溶液です。一方、性質の原因は、酸性では\(\displaystyle H^+\)、アルカリ性では\(\displaystyle OH^-\)です。共通点と違いを分けて整理します。

電解質=水に溶かすと電流が流れる物質

水溶液電解質水溶液か性質の原因
酸性電解質水溶液H⁺
アルカリ性電解質水溶液OH⁻

酸性とアルカリ性は反対の性質でも、どちらも電解質水溶液である。

代表的な酸・アルカリの化学式

栞先生
栞先生
代表的な酸は、塩化水素\(\displaystyle HCl\)、硫酸\(\displaystyle H_2SO_4\)、硝酸\(\displaystyle HNO_3\)、炭酸\(\displaystyle H_2CO_3\)、酢酸\(\displaystyle CH_3COOH\)です。代表的なアルカリは、水酸化ナトリウム\(\displaystyle NaOH\)、水酸化カルシウム\(\displaystyle Ca(OH)_2\)、アンモニア\(\displaystyle NH_3\)です。
酸化学式
塩化水素HCl
硫酸H₂SO₄
硝酸HNO₃
酢酸CH₃COOH
アルカリ化学式
水酸化ナトリウムNaOH
水酸化カルシウムCa(OH)₂
アンモニアNH₃

正直なところ、名称と化学式には覚える部分もあります。ただし、式の見た目だけで判断せず、水中で生じるイオンまで確かめると定義につながります。

塩化水素の電離

栞先生
栞先生
塩酸は塩化水素の水溶液です。塩化水素\(\displaystyle HCl\)は水中で電離し、\(\displaystyle HCl → H^+ + Cl^-\)のように、水素イオンと塩化物イオンに分かれます。ここで酸性の原因になるのは\(\displaystyle Cl^-\)ではなく\(\displaystyle H^+\)です。
電離のようす(塩酸) 塩化水素 HCl 水にとかす 電離が起こる 水にとける 電離後 H⁺ + Cl⁻ イオンに分かれる ポイント 酸は電離してH⁺を生じる
HClが水中でイオンに分かれるまで
1. 塩化水素HClを水にとかす (塩酸は塩化水素の水溶液)
 ↓
2. 電離が起こる (水中でイオンに分かれる)
 ↓
3. HCl → H⁺ + Cl⁻ (H⁺とCl⁻を生じる)

H⁺を生じるので酸性を示す。Cl⁻ではなくH⁺が酸性の原因。

水酸化ナトリウムの電離

栞先生
栞先生
水酸化ナトリウム\(\displaystyle NaOH\)を水に溶かすと電離し、\(\displaystyle NaOH → Na^+ + OH^-\)のように、ナトリウムイオンと水酸化物イオンに分かれます。アルカリ性の原因は\(\displaystyle Na^+\)ではなく\(\displaystyle OH^-\)です。二つの電離式は、生じるイオンと性質を対応させて読みます。
NaOHが水中でイオンに分かれるまで
1. 水酸化ナトリウムNaOHを水にとかす (水溶液をつくる)
 ↓
2. 電離が起こる (水中でイオンに分かれる)
 ↓
3. NaOH → Na⁺ + OH⁻ (Na⁺とOH⁻を生じる)

OH⁻を生じるのでアルカリ性を示す。Na⁺ではなくOH⁻がアルカリ性の原因。

電離式が難しいときは、まずHClとNaOHの2つを、水にとかす→電離→イオンの流れで確かめる。

確認問題②

栞先生
栞先生
アルカリが水溶液中で電離するときに生じ、アルカリ性の原因となるイオンはどれですか。ア \(\displaystyle H^+\) イ \(\displaystyle OH^-\) ウ \(\displaystyle Cl^-\) エ \(\displaystyle Na^+\)

アルカリが水溶液中で電離するときに生じ、アルカリ性の原因となるイオンはどれか。

  • ア H⁺
  • イ OH⁻
  • ウ Cl⁻
  • エ Na⁺

確認問題②の答え

栞先生
栞先生
答えはイの\(\displaystyle OH^-\)です。アルカリは水溶液中で電離して\(\displaystyle OH^-\)を生じ、このイオンがアルカリ性の原因になります。

答え:イ OH⁻

  • アルカリは水溶液中で電離してOH⁻を生じる
  • アルカリ性の原因となるのはOH⁻

確認問題③

栞先生
栞先生
塩酸に溶けている塩化水素の電離式として正しいものはどれですか。ア \(\displaystyle HCl → H^- + Cl^+\) イ \(\displaystyle HCl → H^+ + Cl^-\) ウ \(\displaystyle HCl → H^+ + OH^-\) エ \(\displaystyle HCl → Na^+ + Cl^-\)

塩酸に溶けている塩化水素の電離式として正しいものはどれか。

  • ア HCl → H⁻ + Cl⁺
  • イ HCl → H⁺ + Cl⁻
  • ウ HCl → H⁺ + OH⁻
  • エ HCl → Na⁺ + Cl⁻

確認問題③の答え

栞先生
栞先生
答えはイの\(\displaystyle HCl → H^+ + Cl^-\)です。塩化水素は水中で電離し、水素イオンと塩化物イオンに分かれます。

答え:イ HCl → H⁺ + Cl⁻

  • 塩化水素は水中で電離する
  • 水素イオンH⁺と塩化物イオンCl⁻に分かれる

確認問題④

栞先生
栞先生
酸とはどのような化合物ですか。水溶液中での変化と、生じるイオンに触れて書きなさい。

酸とはどのような化合物か。水溶液中での変化と、生じるイオンにふれて書きなさい。

  • 水溶液中での変化を書く
  • 生じるイオンを書く

確認問題④の答え

栞先生
栞先生
答えは「水溶液中で電離して\(\displaystyle H^+\)(水素イオン)を生じる化合物」です。「電離」と「\(\displaystyle H^+\)」の両方が入っていれば、定義を正確に示せています。

答え(記述例)

酸とは、水溶液中で電離してH⁺(水素イオン)を生じる化合物である。

  • 水溶液中での変化=電離
  • 生じるイオン=H⁺
  • このH⁺が酸性の原因

指示薬の色と液性

栞先生
栞先生
指示薬は、酸性・中性・アルカリ性を調べる薬品です。リトマス紙は、酸性で青色から赤色、アルカリ性で赤色から青色に変わり、中性では変化しません。\(\displaystyle BTB\)溶液は酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色です。

指示薬=酸性・中性・アルカリ性を調べる薬品

指示薬酸性中性アルカリ性
リトマス紙青色→赤色変化なし赤色→青色
BTB溶液黄色緑色青色
フェノールフタレイン溶液無色無色赤色
ムラサキキャベツ液赤色紫色黄色

色の対応は覚える部分。BTB溶液・ムラサキキャベツ液は観察した色から、リトマス紙は青色→赤色などの色の変化から液性を読む。

フェノールフタレイン溶液は酸性と中性で無色、アルカリ性で赤色です。ムラサキキャベツ液は酸性で赤色、中性で紫色、アルカリ性で黄色です。この表で観察した色を探し、その列の液性を読みます。

指示薬で液性を判定する

栞先生
栞先生
\(\displaystyle BTB\)溶液を加えて黄色になったなら、\(\displaystyle BTB\)溶液の行で黄色を探し、酸性と判定します。この方法は、使った指示薬と色が分かる場合に使えます。色だけで決めてはいけません。
BTB溶液が黄色になったとき
1. 観察した色:黄色 (色をそのまま読む)
 ↓
2. BTB溶液では黄色は酸性の色 (指示薬ごとの色の対応で確かめる)
 ↓
3. 酸性と判定する (黄色は酸性に対応)
  • BTB溶液・ムラサキキャベツ液は、観察した色から液性を判定できる
  • リトマス紙は色そのものではなく、青色→赤色などの色の変化で読む
  • フェノールフタレイン溶液の無色は、酸性と中性を区別できない

覚える=色と液性の対応/使い方=観察した色や色の変化から液性を読む/範囲=リトマス紙・BTB溶液・フェノールフタレイン溶液・ムラサキキャベツ液の4種

フェノールフタレイン溶液は酸性でも中性でも無色なので、この結果だけでは二つを区別できません。表で判定できる範囲と、判定しきれない場合を押さえます。

確認問題⑤

栞先生
栞先生
ある無色の水溶液に\(\displaystyle BTB\)溶液を数滴入れたところ、黄色になりました。この水溶液の液性はどれですか。ア 中性 イ アルカリ性 ウ 酸性

ある無色の水溶液にBTB溶液を数滴入れたところ、黄色になった。この水溶液の液性はどれか。

  • ア 中性
  • イ アルカリ性
  • ウ 酸性

確認問題⑤の答え

栞先生
栞先生
答えはウの酸性です。\(\displaystyle BTB\)溶液の行で観察した黄色を探すと、酸性の列に対応します。

答え:ウ 酸性

色から液性を読む
1. 使った指示薬:BTB溶液 (使った指示薬を確かめる)
 ↓
2. 観察した色:黄色 (観察した色を確かめる)
 ↓
3. 黄色に対応する液性:酸性 (対応する液性を答える)

酸性の水溶液とマグネシウム

栞先生
栞先生
うすい塩酸にマグネシウムを入れると、気体の水素が発生します。一方、水酸化ナトリウム水溶液に同じ操作をしても、気体は発生しません。これはマグネシウムを入れた場合の結果として押さえます。未知の液体や気体に、判別のため火を近づけてはいけません。
水溶液マグネシウムを入れた結果
うすい塩酸(酸性)気体の水素が発生
水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性)気体は発生しない

酸性の水溶液にマグネシウムを入れると水素が発生する。

  • この対比はマグネシウムを入れた場合の結果
  • 未知の液体や気体に、判別のため火を近づけない

確認問題⑥

栞先生
栞先生
うすい塩酸にマグネシウムリボンを入れると、気体が発生しました。この気体は何ですか。ア 水素 イ 酸素 ウ 二酸化炭素

うすい塩酸にマグネシウムリボンを入れると、気体が発生した。この気体は何か。

  • ア 水素
  • イ 酸素
  • ウ 二酸化炭素

確認問題⑥の答え

栞先生
栞先生
答えはアの水素です。酸性の水溶液にマグネシウムを入れたときに発生する気体は水素です。

答え:ア 水素

  • 酸性の水溶液にマグネシウムを入れると、水素が発生する
  • この実験で発生した気体は水素

よくある間違い

栞先生
栞先生
酸性の原因を陽イオン全体と考えると、\(\displaystyle Na^+\)も選んでしまいます。陽イオンに注目した考え方には筋がありますが、原因は\(\displaystyle H^+\)です。アルカリ性の原因も陰イオン全体ではなく\(\displaystyle OH^-\)で、\(\displaystyle Cl^-\)ではありません。

× どのイオンでも酸性・アルカリ性の原因になる

○ 酸性の原因はH⁺、アルカリ性の原因はOH⁻

× BTB溶液が黄色なら中性

○ BTB溶液は黄色なら酸性、緑色なら中性

\(\displaystyle BTB\)溶液は黄色なら酸性、緑色なら中性です。イオンは符号だけでなく種類を、指示薬は種類と色の組み合わせを確かめます。

まとめ

栞先生
栞先生
酸は電離して\(\displaystyle H^+\)を生じ、\(\displaystyle H^+\)が酸性の原因になります。アルカリは電離して\(\displaystyle OH^-\)を生じ、\(\displaystyle OH^-\)がアルカリ性の原因になります。指示薬の色から液性を判定できます。
  • 酸:電離してH⁺を生じ、H⁺が酸性の原因
  • アルカリ:電離してOH⁻を生じ、OH⁻がアルカリ性の原因
  • 指示薬:色の変化から酸性・中性・アルカリ性を判定

自己点検:『酸とアルカリの正体をイオンで説明し、BTB溶液が黄色のときの液性を答える』ことが自分の言葉でできたらOK。あやしいところは対応する図や表に戻ろう。

この先は、中和・pH・塩(えん)の生成へ学びがつながる。

酸とアルカリの正体をイオンで説明できるか、\(\displaystyle BTB\)溶液が黄色なら酸性と答えられるかを確かめましょう。あやしい部分は電離式や対応表に戻ると整理できます。

よくある質問

塩酸に塩化物イオンがあるなら、酸性の原因は\(\displaystyle Cl^-\)ではないのですか?

塩化水素の電離で\(\displaystyle Cl^-\)も生じるため、そう考えるのは自然です。ただし、酸性の原因となるイオンは\(\displaystyle H^+\)です。

陰イオンなら、どれでもアルカリ性の原因になりますか?

\(\displaystyle OH^-\)と\(\displaystyle Cl^-\)はどちらも陰イオンなので、混同しやすいところです。アルカリ性の原因となるのは\(\displaystyle OH^-\)であり、陰イオン全体ではありません。

\(\displaystyle BTB\)溶液が黄色なら中性ですか?

中性の緑色と黄色は取り違えやすい色です。\(\displaystyle BTB\)溶液は、黄色なら酸性、緑色なら中性、青色ならアルカリ性を示します。

この単元の練習問題ページへ →
解答・解説つきの演習プリント(別ページ)

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