中学1年

アジア州の基礎:5つの地域、季節風(モンスーン)と稲作、宗教と暮らしのきまり

栞先生

※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。

この記事でわかること

  • アジア州を5つの地域(東アジア・東南アジア・南アジア・西アジア・中央アジア)に分けて、主な国がどこに入るか言えるようになる
  • 夏に雨が多くなるしくみを「海を通ると湿る、陸を通ると乾く」で説明できるようになる。さらに「雨 → 農業 → 人口の多さ」までつなげられる
  • イスラム教・ヒンドゥー教・仏教・キリスト教の暮らしのきまりと、信じる人が多い国が分かる

アジアは「つなげて」覚える

アジア州は広くて、国の名前もたくさん出てきます。「どこから覚えればいいの?」と迷う人も多いと思います。

この記事では、国をばらばらに覚えることはしません。次の順番で、話をつなげながら見ていきます。

  1. アジアを5つの地域に分けて、場所をつかむ
  2. 「風」→「雨」→「農業」→「人の多さ」を一本の線でつなぐ
  3. アジアの宗教と、暮らしのきまりを知る

途中に問題が4つ(問1〜問4)あります。問題のすぐあとに答えと解き方も載せています。先に自分で考えたい人は、ページのいちばん下からプリントを開いてください。プリントのはじめにある「動画の問い」のページに、問1〜問4が書きこめる形で載っています。なお、練習問題のページは、宿題を画面で解くためのページです。

はじめに、前に習ったことを思い出そう

今日の話で使う、前に習ったことを4つだけ確かめておきます。

  • 世界は6つの州に分けられます。アジア州・ヨーロッパ州・アフリカ州・北アメリカ州・南アメリカ州・オセアニア州です。
  • アジア州は、ユーラシア大陸の東側にあります。日本、中国、インド、サウジアラビア、インドネシアなどがアジア州の国です。サウジアラビアがある大きな半島をアラビア半島といいます。下の地図で、この5つの国と、アラビア半島・インド洋・太平洋・赤道(点線)がどこにあるか、ざっと眺めておきましょう。
中国 インド サウジ アラビア 日本 インドネシア アラビア半島 インド洋 太平洋 赤道
  • 気候帯は、熱帯・乾燥帯・温帯・冷帯・寒帯の5つです。今日よく出てくるのは、暑い熱帯と、雨が少ない乾燥帯です。
  • 仏教・キリスト教・イスラム教の3つを三大宗教といいます。今日は、ここにもう1つ宗教を足します。

ここで思い出した中身は、前の単元で習ったことです。6つの州とアジア州の位置は「世界の地域構成」、気候帯と三大宗教は「世界各地の生活」という単元で習いました。あやふやなところがあっても大丈夫です。気になったら、その単元の動画や記事に戻って確かめてみてください。

アジアを5つの地域に分ける

国を一つずつ覚えるのは大変です。そこで、まずアジアを5つの地域に分けます。「この国はどの地域に入るか」で覚えると、ぐっと覚えやすくなります。

5つの地域の名前は、方角からついています。真ん中から順に見ていきましょう。

北 西アジア アラビア半島 のあたり 中央アジア 海から遠い 内陸 東アジア 大陸の東の端 と島 南アジア インド洋に 三角に突き出た 半島 東南アジア 赤道のまわりの 半島と島々
  • 中央アジア:アジアの真ん中にある、海から遠い内陸です。
  • 東アジア:中央アジアから東へ行った所です。大陸の東の端と、そのまわりの島で、中国や韓国があります。日本も東アジアです。
  • 東南アジア:東アジアの南にあります。赤道のまわりの半島と島々で、タイ・ベトナム・インドネシア・フィリピンなどがあります。
  • 南アジア:インド洋に三角に突き出た半島のあたりです。この半島にあるのがインドです。
  • 西アジア:西のほうの、アラビア半島のあたりです。西アジアは、ニュースでは「中東」とも呼ばれます。アラビア半島にあるサウジアラビアは、西アジアに入ります。

山と川を目印にする

場所をつかむには、山と川もいい目印になります。

チベット高原 ヒマラヤ山脈 エベレスト 黄河 長江 ガンジス川 メコン川
  • ヒマラヤ山脈:南アジアの北側に連なる山脈です。世界でいちばん高い山、エベレストがあります。
  • チベット高原:ヒマラヤ山脈の北に広がる、とても高い所にある高原です。

アジアの大きな川は、この高い所から流れ出しています。

  • 黄河:中国の北を流れる川
  • 長江:中国の南を流れる川
  • ガンジス川:インドを流れる川
  • メコン川:東南アジアのいくつもの国を流れる川

この山と川は、あとの「雨」や「農業」の話にもまた出てきます。

問1 地域区分とヒマラヤ山脈

ここまでの内容で、問題を解いてみましょう。

下の地図では、アジアの5つの地域がそれぞれ点線で囲まれていて、\(\displaystyle A〜E\) の記号がついています。南アジアの北側にある、太い茶色の線で描かれた山脈が \(\displaystyle X\) です。

ABCDEX

問1 地域区分とヒマラヤ山脈
(1) \(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle E\) に当てはまる地域名を、次から選びましょう。〔東アジア・東南アジア・南アジア・西アジア・中央アジア〕
(2) \(\displaystyle X\) の山脈の名前を答えましょう。
(3) 日本・インド・サウジアラビアは、それぞれどの地域に入りますか。

答え
(1) \(\displaystyle A\) 東アジア \(\displaystyle B\) 東南アジア \(\displaystyle C\) 南アジア \(\displaystyle D\) 西アジア \(\displaystyle E\) 中央アジア
(2) ヒマラヤ山脈
(3) 日本=東アジア インド=南アジア サウジアラビア=西アジア

【注意】インドは「南アジア」
東南アジアは、タイ・ベトナム・インドネシアなど

ABCDEX 東アジア 東南 アジア 南アジア 西アジア 中央アジア ヒマラヤ山脈 チベット高原 日本 インド サウジ アラビア

(1) の考え方:方角で確かめます。

  • 大陸の東の端と島 → 東アジア
  • その南の、赤道のまわりの半島と島々 → 東南アジア
  • インド洋に三角に突き出た所 → 南アジア
  • 西のアラビア半島のあたり → 西アジア
  • 真ん中の、海から遠い所 → 中央アジア

(2) の考え方:南アジアの北側に連なっていて、エベレストがある山脈なので、ヒマラヤ山脈です。

(3) の考え方:場所の手がかりから考えます。日本は大陸の東の端のまわりの島なので東アジア。インドはインド洋に三角に突き出た半島にあるので南アジア。サウジアラビアはアラビア半島にあるので西アジアです。

ここでよくある間違い:インドを東南アジアに入れてしまう

「南」と「東南」は名前が似ていて、まぎらわしいですよね。まちがえてしまうのは自然なことです。でも、インドは南アジアです。東南アジアは、インドより東にある、タイやベトナム、インドネシアなどの国々のことです。

夏に雨が多いのはなぜ?(季節風)

ここからが今日の中心です。

日本の夏は、じめじめして雨が多いですよね。アジアの南のほうにも、夏にたくさん雨が降る所が多くあります。なぜでしょう。

「風が吹くから」と思った人は、半分合っています。でも、風が吹いても雨が降らない日もありますよね。何が違うのでしょうか。

ここで少し考えてみてください。海の上を通ってきた風と、陸の上を通ってきた風。水分をたくさんふくんで湿っているのは、どちらでしょう。

海を通ると湿る、陸を通ると乾く

海の上では、海の水が少しずつ蒸発して、空気の中に入っていきます。だから、海の上を通ってきた風は水分をたっぷりふくんだ、湿った風になります。この湿った風が陸に来て山などにぶつかると、雨になって降ります。

海 陸 山 湿った風 水が蒸発する 雨が降る

一方、陸の上を通ってきた風は、途中で水分をもらえません。だから乾いた風になり、雨は降りません。

陸 山 乾いた風 水分をもらえない

これが今日の決まりです。

【決まり】
– 海を通ると湿る、陸を通ると乾く
– 湿った風が山などにぶつかると、雨が降る

季節によって向きが変わる風=季節風(モンスーン)

もう1つ、大事なことがあります。アジアでは、季節によって向きが変わる風が吹きます。これを季節風、またはモンスーンといいます。

【覚える】季節風(モンスーン)
– 夏:海 → 大陸 へ吹く
– 冬:大陸 → 海 へ吹く

さっきの「海を通ると湿る、陸を通ると乾く」と、この「季節風の向き」の2つを組み合わせると、夏と冬の天気の違いが説明できます。次の問2で、自分で組み立ててみましょう。

問2 季節風と雨季・乾季

下の地図には、2種類の風の矢印が描いてあります。青い矢印が \(\displaystyle A\)、オレンジの矢印が \(\displaystyle B\) です。

  • \(\displaystyle A\):海から大陸へ向かう矢印です。インドにはインド洋から(南西から)、中国や日本には太平洋から(南東から)入っています。
  • \(\displaystyle B\):大陸の内側から海へ向かう矢印です。インドでは北東から、中国では北西から海へ出ていきます。
AAA BB

問2 季節風と雨季・乾季
(1) 夏に吹く季節風は、\(\displaystyle A\) と \(\displaystyle B\) のどちらですか。
(2) 南アジアや東南アジアで、夏に雨が多くなるのはなぜですか。「海」という言葉を使って説明しましょう。

答え
(1) \(\displaystyle A\)
(2) (例)夏の季節風が、海の上を通って湿った空気を運んでくるから。

【注意】「風が吹くから」だけでは足りない
「海を通る」と「湿った」の2つを入れる

【注意】雨季・乾季と言うのは、南アジア・東南アジアのうち、季節風の影響を強く受ける所(インドやインドシナ半島など)
赤道に近い所は一年中雨が多く、はっきりした雨季・乾季は無い
東アジア(中国や日本)は「季節風で四季がはっきりする」

(1) の考え方:夏の季節風は、海から大陸へ吹くのでしたね。\(\displaystyle A\) は、インド洋や太平洋から大陸に入ってくる風なので、夏の風です。\(\displaystyle B\) は大陸の内側から海へ出ていく風なので、冬の風です。

(2) の考え方:夏の風 \(\displaystyle A\) は、インド洋や太平洋の上を通ってくるので、水分をたっぷりふくんだ湿った風です。それが大陸に来て雨を降らせます。ヒマラヤ山脈のような高い山にぶつかると、さらに多くの雨が降ります。

自分の答えに、次の2つが入っているか確かめてみてください。

  • 「海を通る」(海の上を通ってくる)
  • 「湿った」(湿った空気・湿った風)

「風が吹くから」と書いた人は、目のつけどころは合っています。でも、それだけでは、なぜ雨になるのかが伝わりません。「海を通るから湿っている」まで書きましょう。

雨季と乾季

こうして、南アジアや東南アジアのうち、季節風の影響を強く受ける所(たとえばインドや、タイ・ベトナムのあるインドシナ半島など)では、次のようになります。

季節風の向き風の性質雨
夏海 → 大陸湿っている雨季(雨が多い)
冬大陸 → 海乾いている乾季(雨が少ない)

冬は、大陸の内側の乾いた所から風が吹き出すので、雨の少ない乾季になります。

ここは分けて覚えよう

  • 「雨季・乾季」と言うのは、南アジアと東南アジアのうち、季節風の影響を強く受ける所です。
  • 赤道に近い所は、「世界各地の生活」で習ったように一年中雨が多く、はっきりした雨季・乾季はありません。
  • 東アジア(中国や日本)は、「雨季・乾季」とは言いません。「季節風によって四季がはっきりする」と言います。

雨の量と気温で農業が決まる

雨の降り方が分かったので、次は食べ物の話です。

毎日食べるご飯、つまりお米は、稲という植物からとれます。では、稲と、パンやうどんの材料になる小麦。育てるのに水がたくさん要るのは、どちらでしょう。

答えは稲です。稲は、田んぼに水を張って育てますよね。だから、雨がたくさん降って、しかも暑い所が稲作に向いています。とても暑い所では、同じ田で1年に2回米を作ることもできます。これを二期作といいます。

小麦は、稲ほど水が要りません。雨がやや少なく、冬に寒くなる所では、小麦などを育てる畑作が中心になります。

雨がとても少ない所では、作物そのものが育ちにくくなります。そこで、羊やらくだなどの家畜を連れて、草や水を求めて移動しながら飼う遊牧が行われています。また、乾燥した地域で水がわき出る所をオアシスといい、そのまわりでは作物も作られています。

【決まり】農業は「雨の量」と「気温」で決まる
– 暑くて雨が多い → 稲作(とても暑い所では二期作)
– 雨がやや少なく、冬は寒い → 小麦などの畑作
– とても乾燥している → 遊牧、オアシスでの農業

【覚える】
– 二期作:同じ田で、1年に2回米を作ること
– 遊牧:家畜を連れて、草や水を求めて移動しながら飼うこと
– オアシス:乾燥した地域で、水がわき出る所

問3 気候と農業・二期作

この問題の地図には、①〜③の3か所に印がついていて、それぞれのそばに気候の手がかりが書いてあります。

  • ①:中国の長江の流域から南と、ガンジス川の下流のあたり(2か所)。手がかりは「夏は暑く、雨がとても多い」。
  • ②:中国の北部の、黄河のあたり。手がかりは「①より雨が少なく、冬は寒い」。
  • ③:アラビア半島やモンゴル(中国の北にある、海から遠い内陸の国)などの地域。手がかりは「雨がとても少ない」。

上の「決まり」と照らし合わせながら考えてみましょう。

問3 気候と農業・二期作
(1) ①〜③で主に行われている農業を、次から選びましょう。
 ア 稲作 イ 小麦などの畑作 ウ 遊牧(羊やらくだなどを連れて移動しながら飼う)
(2) ①の地域の一部や東南アジアでは、同じ田で1年に2回米を作ることがあります。これを何といいますか。

答え
(1) ① ア(稲作) ② イ(小麦などの畑作) ③ ウ(遊牧)
(2) 二期作

【注意】同じ川・同じ国でも、場所で農業が違う
ガンジス川の下流は稲作、上流は小麦

【決まり】雨が多い → 稲作 → 多くの人を養える → 人口が多い

① の考え方:長江の流域から南や、ガンジス川の下流は、夏の季節風で雨がたっぷり降る、暑い所です。水がたくさん要る稲にぴったりなので、稲作です。とくに暑い所では、1年に2回米を作れます。これが (2) の答えの二期作です。

② の考え方:黄河のあたりは、南より雨が少なく、冬は寒くなります。だから小麦などの畑作が中心です。

③ の考え方:アラビア半島やモンゴルは雨がとても少ないので、遊牧や、オアシスのまわりでの農業が行われています。中国の西部も乾燥していて、牧畜が中心です。

ここに注意:同じ川・同じ国でも、場所で農業が違う

ガンジス川の下流は稲作ですが、上流や、その西を流れるインダス川の流域は小麦が中心です。

まとめると、次の表のようになります。

地域の気候主な農業例
暑くて雨が多い稲作(二期作もできる)中国の南部、ガンジス川の下流、東南アジア
雨がやや少ない小麦などの畑作中国の北部(黄河のあたり)、ガンジス川の上流、インダス川の流域
とても乾燥している遊牧、オアシスでの農業アラビア半島、モンゴル、中国の西部(牧畜が中心)

表の「例」を見ると、同じガンジス川でも、下流は「稲作」の行、上流は「小麦などの畑作」の行に入っています。中国も、南部・北部・西部で別々の行に分かれています。同じ国でも、場所によって農業が違うのです。

雨と稲作が、人口の多さにつながる

ここが、とても大事なところです。

米は、同じ広さの土地で、多くの人を養うことができます。つまり、こうつながります。

【決まり】雨が多い → 稲作 → 多くの人を養える → 人口が多い

アジア州には、世界の人口の約6割が住んでいます(国連「世界人口推計」、2023年)。人口が多い理由の一つが、この雨と稲作です。

「季節風(風)」から始まった話が、「雨」「農業」を通って、「人の多さ」までつながりましたね。

アジアの宗教と暮らしのきまり

最後は宗教です。「イスラム教の人は豚肉を食べない」と聞いたことがある人もいるかもしれません。アジアでは、地域によって多くの人が信じる宗教が違い、食べ物や毎日の過ごし方のきまりも違います。

実は、三大宗教の仏教・キリスト教・イスラム教は、どれもアジア州で生まれました。アジアは、宗教がとても多様な州です。ここに、インドで多くの人が信じているヒンドゥー教を足して、4つを見ていきます。

イスラム教

イスラームとも言います。

  • 1日5回、聖地メッカの方角に向かって祈る
  • 豚肉を食べない、お酒を飲まない
  • ラマダン(断食の月)には、日の出から日の入りまで食べたり飲んだりしない

ヒンドゥー教

  • 牛を神聖な動物と考えるので、牛肉を食べない
  • ガンジス川で身を清める(沐浴をする)人もいる

仏教

  • インドで生まれた宗教です。ただ、今のインドで信じている人は少なく、タイなどで多くの人が信じています。
  • 朝、お坊さんが歩いて食べ物を受け取る托鉢が見られます。

キリスト教

  • 日曜日に教会へ行く人が多い宗教です。
  • アジアでは、キリスト教を信じる人が多い国は少ないのですが、フィリピンはその代表的な例です。昔、スペインの植民地だった影響です。

イスラム教徒がいちばん多い国は?

ここで考えてみてください。イスラム教を信じる人がいちばん多い国は、どこでしょう。メッカがある西アジアの国でしょうか。

実は、東南アジアのインドネシアです(ピュー・リサーチ・センターの推計、2010年)。マレーシアにも、イスラム教を信じる人が多くいます。

【注意】イスラム教徒がいちばん多い国は、東南アジアのインドネシア

問4 宗教と国・暮らしのきまり

問4 宗教と国・暮らしのきまり
①〜④に当てはまる宗教の名前と、その宗教を信じる人が多い国を選びましょう。
〔国:インド・インドネシア・タイ・フィリピン〕
① 1日5回、聖地メッカの方角に向かって祈る。豚肉を食べない。
② 牛を神聖な動物と考える。ガンジス川で身を清める人がいる。
③ 朝、僧が托鉢をして歩き、人々が食べ物を差し出す。
④ 日曜日に教会へ行く人が多い。アジアではめずらしく、この宗教を信じる人が多い国。

答え
① イスラム教・インドネシア
② ヒンドゥー教・インド
③ 仏教・タイ
④ キリスト教・フィリピン

【注意】豚はイスラム教、牛はヒンドゥー教
入れかえないように

【注意】「この国の人はみんな〇〇」と決めつけない

① の考え方:「メッカの方角に祈る」「豚肉を食べない」はイスラム教です。「イスラム教なら西アジアの国だ」と考えた人もいるかもしれません。メッカが西アジアにあるので、その考え方は筋が通っています。でも、選べる国(インド・インドネシア・タイ・フィリピン)の中に、西アジアの国はありません。そして、イスラム教徒が世界でいちばん多い国は、この中にある東南アジアのインドネシアです。

② の考え方:「牛を神聖と考える」「ガンジス川で身を清める」はヒンドゥー教で、インドです。

③ の考え方:「托鉢」は仏教です。仏教が生まれたインドを選びたくなった人もいると思います。生まれた場所から考えるのは、いい手がかりの使い方です。でも、今のインドで多くの人が信じているのはヒンドゥー教です。仏教を信じる人が多いのはタイです。

④ の考え方:「日曜日に教会へ行く」はキリスト教で、アジアではめずらしく信じる人が多い国はフィリピンです。

いちばん多い取り違え:「豚」と「牛」が入れかわる

豚を食べないのはイスラム教、牛を食べないのはヒンドゥー教です。「ヒンドゥー教は牛を神聖と考えるから、牛を食べない」と、理由とセットで覚えると入れかわりにくくなります。

4つの宗教をまとめると、次の表のようになります。

宗教暮らしの例信じる人が多い国の例気をつけること
イスラム教1日5回の祈り、豚肉を食べない、酒を飲まない、ラマダン(断食の月)サウジアラビアなど西アジアの国、インドネシア、マレーシア西アジアだけではない。インドネシアは、イスラム教徒が世界でいちばん多い国
ヒンドゥー教牛は神聖 → 牛肉を食べない、ガンジス川で沐浴インド豚ではなく「牛」
仏教托鉢、僧を敬うタイなどインドで生まれたが、今のインドで信じる人は少ない
キリスト教日曜日に教会へフィリピンアジアでは信じる人が多い国は少ないが、フィリピンなどは多い。フィリピンはスペインの植民地だった影響

最後に大事なこと:「この国の人はみんな〇〇」と決めつけない

同じイスラム教を信じる人でも、女性のベールの着け方や、きまりの守り方は、地域や人によって違います。「この国の人はみんな〇〇」と決めつけないことが大切です。

まとめ:今日の合言葉

今日の内容は、次の4つの合言葉にまとまります。

  • 海を通ると湿る、陸を通ると乾く
  • 季節風:夏は海 → 大陸、冬は大陸 → 海
  • 雨が多い → 稲作 → 多くの人を養える → 人口が多い
  • 豚を食べない=イスラム教、牛を食べない=ヒンドゥー教

今日できるようになったことを確かめましょう。

  • アジアを5つの地域に分け、主な国がどこに入るか言える(インドは南アジア)
  • 夏は海から湿った季節風が吹く → 季節風の影響を強く受ける所(インドやインドシナ半島など)は夏が雨季、冬が乾季
  • 雨の量と気温で農業が決まる:稲作(二期作)・畑作・遊牧
  • 雨が多い → 稲作 → 多くの人を養える → 人口が多い
  • 4つの宗教の暮らしのきまりと、信じる人が多い国が言える

「風から人の多さまで」の流れを、自分の言葉で言えるか試してみてください。途中でつまったら、その見出しに戻って読み直せば大丈夫です。

次の回は「中国・インドの経済成長と地域の課題」です。

よくある質問

Q. インドは東南アジアではないのですか?
A. インドは南アジアです。「南」と「東南」は名前が似ているので、まちがえやすいところです。インドは、インド洋に三角に突き出た半島のあたりにあります。東南アジアはインドより東にある、タイ・ベトナム・インドネシア・フィリピンなどの国々のことです。

Q. 日本や中国の季節も、「雨季」「乾季」と言うのですか?
A. 言いません。東アジア(中国や日本)は「雨季・乾季」とは言わず、「季節風によって四季がはっきりする」と言います。「雨季・乾季」と言うのは、南アジアと東南アジアのうち、季節風の影響を強く受ける所(インドやインドシナ半島など)です。また、赤道に近い所は一年中雨が多く、はっきりした雨季・乾季はありません。

Q. イスラム教徒がいちばん多い国は、メッカがあるサウジアラビアではないのですか?
A. いちばん多いのは、東南アジアのインドネシアです(ピュー・リサーチ・センターの推計、2010年)。メッカは西アジアのサウジアラビアにありますが、イスラム教を信じる人は西アジアだけでなく、インドネシアやマレーシアなどの東南アジアにも多くいます。

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解答・解説つきの演習プリント(別ページ)

この単元の授業

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