生物と細胞の入試応用|観察の記録・対照実験・呼吸と化学変化を3つの手順で解く
※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。
この記事でわかること
- 観察の記録の表を「細胞はいくつか → 細胞壁があるか → 葉緑体は手がかり」の順に読んで、植物の細胞かどうかを判断するやり方
- 対照実験で比べる相手を用意する理由と、石灰水の結果から「言えること」と「まだ言えないこと」の分け方
- 「原子は新しく生まれたり消えたりしない」を使って、細胞の呼吸の養分に必ずふくまれる元素を考える方法と、細胞の呼吸と燃焼の共通点・違う点
この回で解くのは、初めて見る形の問題 3 問
この回では、公立の上位校や私立高校の入試に出るような、初めて見る形の問題を 3 問解きます。
「応用問題」と聞いただけで、「自分には無理かも」と思った人もいるかもしれません。難しくて当たり前の回です。最初は手が止まって大丈夫です。解説を読んで「こういう手順で考えればいいのか」と分かれば、それでもう十分前に進めています。
この回は、この単元の基礎の回を見たあとに読むと、話がつながります。使うのは、次の 2 つの回で学んだことです。
- 植物の細胞と動物の細胞のつくり
- 単細胞生物・多細胞生物と細胞の呼吸
まだの人は、先にそちらを見てくるのがおすすめです。いつでもここに戻ってきてください。
応用問題は「3 つの考える手順」で解く
応用問題で手が止まるのは、知識が足りないからとは限りません。多いのは、「何から考えればいいか分からない」ほうです。そこでこの回では、3 問とも同じ 3 つの手順で考えます。
① 分かっていることを書き出す
問題文を読んだだけで、答えを決めてしまわないようにします。
② 決め手になる事実を選ぶ
手がかりにしかならない事実では、答えを決めません。
③ 言えることと、まだ言えないことを分ける
習った知識を、実験の結果として書かないようにします。
この 3 つは、ノートのいちばん上に書いておきましょう。この先の 3 問は、どれもこの手順で解いていきます。
問1 観察の記録の表から判断する
まず思い出しておく 3 つの知識
- 単細胞生物か多細胞生物かは、体の大きさではなく、細胞の数で決める
- 植物の細胞か動物の細胞かの決め手は、細胞膜の外側にある細胞壁
- 植物の細胞でも、葉緑体が無いことがある(タマネギの表皮)
問題
表は、4 種類の生物 \(\displaystyle P\)〜\(\displaystyle S\) の細胞を観察した記録です。列(たての並び)は、左から「1 つの生物の体をつくる細胞の数」「細胞膜の外側の厚いしきり」「緑色の粒」「そのほか」の 4 つです。
思い出そう
・単細胞生物か多細胞生物かは、細胞の数で決める
・植物の細胞か動物の細胞かの決め手は、細胞壁
・植物の細胞でも、葉緑体が無いことがある(タマネギの表皮)
問1 観察の記録から判断する
(1) 多細胞生物である植物の、体の細胞と考えられるものを \(\displaystyle P\)〜\(\displaystyle S\) からすべて選び、判断の決め手を書きなさい。
(2) 「緑色の粒が無いから、植物の細胞ではない」と判断すると、\(\displaystyle P\)〜\(\displaystyle S\) のどれを間違えるおそれがありますか。理由も書きなさい。
(3) 「\(\displaystyle R\) は葉緑体をもつので、\(\displaystyle S\) と同じ、多細胞の植物の体の細胞だ」という意見の誤りを、表をもとに説明しなさい。
こういう表は列が多くて、どこから見ればいいか迷います。4 つの列のうちどの列から見るかが、この問題のいちばん大事なところです。
どの列から見るか
緑色の粒の列から見た人は多いかもしれません。「緑といえば植物」という感じが強いので、そう考えるのは自然です。
でも、(1) の問いをもう一度読んでみてください。聞かれているのは「多細胞生物である植物の、体の細胞」です。だから最初に見るのは、いちばん左の「細胞の数」の列です。
判断の順番
表は、次の順番で見ていきます。
- 細胞はいくつか。1 つなら単細胞生物、多数なら多細胞生物
- 多数なら、細胞壁があるか。細胞膜の外側の厚いしきり(細胞壁)があれば植物の細胞、無ければ動物の細胞
- 葉緑体は手がかり。緑色の粒(葉緑体)があれば植物の細胞の手がかりになるが、決め手ではない
表に当てはめる
- \(\displaystyle R\) は細胞が 1 つ。順番の 1 つめで、ここで単細胞生物に分かれます。
- \(\displaystyle P\)・\(\displaystyle Q\)・\(\displaystyle S\) は細胞が多数。そのうち細胞壁が「あり」なのは \(\displaystyle P\) と \(\displaystyle S\) です。だから \(\displaystyle P\) と \(\displaystyle S\) は植物の細胞です。
- \(\displaystyle Q\) は細胞壁が無く、丸みのある形なので、多細胞の動物の体の細胞と考えられます。
次の図では、表に順番どおりの印を付けていきます。まず細胞の数の列を黄色の枠で囲み、\(\displaystyle R\) の行を灰色にして「単細胞生物」と書きます。次に、\(\displaystyle P\) と \(\displaystyle S\) の細胞壁「あり」を緑の丸で囲んで「植物の細胞」、\(\displaystyle Q\) には「動物の細胞」と書きます。最後に、\(\displaystyle P\) の緑色の粒「なし」は手がかりにしかならないこと、\(\displaystyle R\) は緑色の粒より先に細胞の数で分かれることを書き添えます。
(1) の答えは \(\displaystyle P\) と \(\displaystyle S\) です。決め手は、「多数の細胞でできた生物の細胞で、細胞壁があること」です。
(2) の答えは \(\displaystyle P\) です。\(\displaystyle P\) には緑色の粒がありませんが、細胞壁はあります。
基礎の回で見たタマネギの表皮を思い出してください。タマネギは植物なのに、私たちが食べる白い部分の表皮には緑の粒がありませんでした。緑色でない部分の細胞には、葉緑体が無いのです。\(\displaystyle P\) も、根やタマネギの表皮のような、緑色でない部分の植物の細胞と考えられます。緑の粒だけで決めてしまうと、\(\displaystyle P\) を動物の細胞だと間違えることになります。
(3) の意見は、緑の粒を決め手にしています。でも、表のいちばん左の列を見ると、\(\displaystyle R\) は細胞の数が 1 つです。判断の順番の 1 つめで、もう単細胞生物に分かれています。
基礎の回で見たミドリムシのように、1 つの細胞で葉緑体をもち、泳ぎ回る生物がいます。答えには、表の細胞の数の列をもとに、「\(\displaystyle R\) は 1 つの細胞でできた単細胞生物だ」と書きます。
【決まり】判断の順番
- 細胞はいくつか 1 つ → 単細胞生物/多数 → 多細胞生物
- 多数なら、細胞壁があるか あり → 植物の細胞/なし → 動物の細胞
- 葉緑体は手がかり。決め手ではない
答え (1) \(\displaystyle P\)、\(\displaystyle S\)
決め手:多数の細胞でできた生物の細胞で、細胞膜の外側に厚いしきり(細胞壁)がある
答え (2) \(\displaystyle P\)
緑色の粒は無いが、細胞壁があるので植物の細胞
答え (3) \(\displaystyle R\) は細胞の数が 1 つの単細胞生物(ミドリムシなど)。葉緑体をもっていても、多細胞の植物の体の細胞とは言えない
【注意】
緑の粒があっても、多細胞の植物の細胞とは限らない
緑の粒が無くても、植物の細胞のことがある
手順②:決め手と手がかりを分ける
この問題で大切なのは、手順②の「決め手になる事実を選ぶ」です。
- 多細胞の生物の細胞で、植物か動物かを決めるのは細胞壁(決め手)
- 葉緑体は手がかり
- そのどちらよりも先に、「細胞はいくつか」を見る
覚えておきたい注意は 2 つです。
- 緑の粒があっても、多細胞の植物の細胞とは限らない
- 緑の粒が無くても、植物の細胞のことがある
なお、ミドリムシが植物か動物か、ということはこの問題では聞かれていません。聞かれているのは「多細胞の植物の体の細胞か」だけです。
問2 対照実験で「言えること」と「まだ言えないこと」を分ける
まず思い出しておく知識
- 石灰水は、二酸化炭素があると白くにごる液(小学 6 年で使いました)
「石灰水が白くにごったら二酸化炭素」というところまでは、分かっている人が多いと思います。この問題で聞かれるのは、その先です。
問題
同じ大きさのふたつきのびん \(\displaystyle A\)・\(\displaystyle B\) を用意し、\(\displaystyle A\) にはダンゴムシを 10 匹入れ、\(\displaystyle B\) には何も入れませんでした。どちらもふたをして、同じ暗い場所に 3 時間置きました。そのあと、\(\displaystyle A\) からダンゴムシを出してすぐにふたをし、\(\displaystyle A\)・\(\displaystyle B\) の両方に石灰水を少し入れて振ったところ、\(\displaystyle A\) の石灰水だけが白くにごりました。
思い出そう
・石灰水:二酸化炭素があると白くにごる(小 6)
問2 対照実験
(1) \(\displaystyle B\) を用意したのはなぜですか。
(2) この実験の結果から言えることを書きなさい。
(3) 「ダンゴムシは酸素を取り入れて使っている」ということまで確かめるには、何を加えて調べればよいですか。
手順①:分かっていることを書き出す
- \(\displaystyle A\) と \(\displaystyle B\) でちがうのは、ダンゴムシがいるかどうかだけ
- 大きさ、ふた、場所、時間は同じ
- 結果は、\(\displaystyle A\) の石灰水だけがにごった
次の図は、\(\displaystyle A\) と \(\displaystyle B\) のちがう条件(ダンゴムシがいるかどうか)と、同じ条件(大きさ・ふた・場所・時間)を書き出したものです。
(1) なぜ \(\displaystyle B\) を用意するのか:対照実験
(1) のように、調べたい条件 1 つだけを変え、ほかの条件をそろえて比べる実験を、対照実験といいます。小学 5 年で種子の発芽の条件を調べたときも、この考え方を使いました。
もし \(\displaystyle B\) が無かったら、石灰水がにごったのは、びんの中にもともとあった空気のせいかもしれません。\(\displaystyle B\) がにごらなかったから、もとの空気だけではにごらないと分かります。だから、\(\displaystyle A\) がにごったのはダンゴムシがいたためだと言えるのです。
答えには、次の 2 つを入れます。
- ダンゴムシがいるかどうか以外の条件をそろえて比べるため
- にごったのがダンゴムシのためだと確かめるため
(2) 手順③:まだ言えないことは書かない
(2) で「ダンゴムシが酸素を使って、細胞の呼吸をした」と書いた人もいると思います。細胞の呼吸を習ったばかりなので、そう書きたくなるのは自然なことです。
でも、石灰水で分かるのは、二酸化炭素がふえたことだけです。この実験では、酸素を調べていません。だから、酸素のことはまだ言えません。
習った知識を、実験の結果として書かないようにしましょう。
(3) まだ言えないことを、言えるようにする実験
(3) は、まだ言えないことを言えるようにするための実験です。
小学 6 年で使った気体検知管は、空気の中の酸素や二酸化炭素の割合を調べる道具でした。これを使って、酸素の割合を実験の前と後で比べます。
ポイントは、\(\displaystyle B\) も調べることです。\(\displaystyle B\) の酸素は減っていなくて、\(\displaystyle A\) だけ減っていれば、ダンゴムシが酸素を使ったと言えます。
次の図は、\(\displaystyle A\)・\(\displaystyle B\) のびんに気体検知管を差したようすを、「実験の前」と「実験の後」の 2 段で描いたものです。\(\displaystyle A\) の「実験の後」には「酸素の割合が減っていれば…」と書いてあります。
【決まり】対照実験
調べたい条件 1 つだけを変え、ほかの条件をそろえて比べる実験
答え (1) ダンゴムシがいるかどうか以外の条件をそろえて比べ、石灰水がにごったのがダンゴムシがいたためだと確かめるため
答え (2) ダンゴムシがいたびんでは、二酸化炭素がふえた(ダンゴムシが二酸化炭素を出した)
【注意】
石灰水で分かるのは、二酸化炭素がふえたことだけ
酸素を使ったかは、まだ言えない
答え (3) 実験の前と後に、\(\displaystyle A\)・\(\displaystyle B\) 両方のびんの酸素の割合を気体検知管で調べる。\(\displaystyle A\) だけ減っていれば、ダンゴムシが酸素を使ったと言える
実験のときに気をつけること
・終わったら、ダンゴムシは元いた場所に戻す
・石灰水が目に入らないよう、保護眼鏡をかける
この結果までそろうと、「酸素を使って二酸化炭素を出す」という、細胞の呼吸の考えと、実験の結果が合うことになります。
実験のときに気をつけること
- 実験が終わったら、ダンゴムシは元いた場所に戻してあげましょう。
- 石灰水が目に入らないように、保護眼鏡をかけて行います。
同じ考え方は、ほかの生物でも使えます。たとえば、びんにメダカと水を入れる実験でも、比べるびんを用意する理由は同じです。
問3 細胞の呼吸を化学変化とつなげる
3 問目は、細胞の呼吸を、化学変化の単元の考え方とつなげる問題です。生物の話に化学式が出てくるので、少し驚くかもしれません。
まず思い出しておく知識
- 化学変化の前と後で、原子は新しく生まれたり消えたりしない
- \(\displaystyle O₂\)(酸素):\(\displaystyle O\) が 2 個
- \(\displaystyle CO₂\)(二酸化炭素):\(\displaystyle C\) が 1 個、\(\displaystyle O\) が 2 個
- \(\displaystyle H₂O\)(水):\(\displaystyle H\) が 2 個、\(\displaystyle O\) が 1 個
細胞の呼吸は、言葉の式で「養分 + 酸素 → 二酸化炭素 + 水」でした。問題の図では、酸素・二酸化炭素・水を化学式で書いています。養分は化学式が分からないので、「養分」のままです。
図の上の段にはこの式があり、右側の \(\displaystyle CO₂\) の \(\displaystyle C\)、\(\displaystyle H₂O\) の \(\displaystyle H\)、\(\displaystyle CO₂\) と \(\displaystyle H₂O\) の \(\displaystyle O\) から、それぞれ「どこから来た?」という矢印が左へのびています。下の段には、(2) で使う 2 つの絵があります。左がろうそくの燃焼で、そばに「明るい炎が出る」「炎のまわりの空気がとても熱くなる」と書いてあります。右が細胞の呼吸で、そばに「炎は出ない」「細胞の中で、少しずつ進む」「取り出したエネルギーは、細胞が生きるために使われる」と書いてあります。
思い出そう
・化学変化の前と後で、原子は新しく生まれたり消えたりしない
・\(\displaystyle O₂\)(酸素):\(\displaystyle O\) が 2 個
・\(\displaystyle CO₂\)(二酸化炭素):\(\displaystyle C\) が 1 個、\(\displaystyle O\) が 2 個
・\(\displaystyle H₂O\)(水):\(\displaystyle H\) が 2 個、\(\displaystyle O\) が 1 個
問3 化学変化とつなげる
(1) 細胞の呼吸では、養分と酸素だけから、二酸化炭素(\(\displaystyle CO₂\))と水(\(\displaystyle H₂O\))だけができるとします。
① 養分に必ずふくまれていると言える元素を、すべて元素記号で答えなさい。
② 酸素(\(\displaystyle O\))が養分にふくまれているかどうかは、このことだけで決められますか。理由も書きなさい。
(2) 図の下の 2 つの絵を見て、細胞の呼吸と、ろうそくの燃焼の共通点を 1 つ、違う点を 1 つ書きなさい。
(1) 右にある原子は、左のどこかから来ている
使うのは、「原子は新しく生まれたり消えたりしない」という決まりです。右側にある原子は、左側のどこかから来ているはずです。
手順①で、分かっていることを書き出します。矢印の左にあるのは、養分と \(\displaystyle O₂\) だけです。そして \(\displaystyle O₂\) には、\(\displaystyle O\) の原子しかありません。
\(\displaystyle C\) について
右側の \(\displaystyle CO₂\) に \(\displaystyle C\) があります。\(\displaystyle C\) は生まれたり消えたりしないので、左のどこかから来たはずです。でも、\(\displaystyle O₂\) には \(\displaystyle C\) がありません。だから、\(\displaystyle C\) は養分から来ました。つまり、養分には \(\displaystyle C\) が必ずふくまれています。
\(\displaystyle H\) について
\(\displaystyle H\) も同じです。\(\displaystyle H₂O\) の \(\displaystyle H\) は、\(\displaystyle O₂\) からは来られません。だから、養分には \(\displaystyle H\) も必ずふくまれています。
① の答えは \(\displaystyle C\) と \(\displaystyle H\) です。
\(\displaystyle O\) について
「右に \(\displaystyle O\) があるから、養分にも \(\displaystyle O\) がふくまれている」と答えた人もいると思います。右にあるものは左から来る、という考え方はちゃんと合っています。
ただ、左の \(\displaystyle O₂\) にも \(\displaystyle O\) があります。右の \(\displaystyle O\) が全部 \(\displaystyle O₂\) から来たとしても、話は合ってしまいます。養分には \(\displaystyle O\) があるかもしれないし、無いかもしれません。この条件だけでは決められません。これが ② の答えです。
次の図では、\(\displaystyle C\) と \(\displaystyle H\) の矢印が、\(\displaystyle O₂\) のところで「×(\(\displaystyle O₂\) に \(\displaystyle C\) は無い)」「×(\(\displaystyle O₂\) に \(\displaystyle H\) は無い)」となってから、養分につながっています。\(\displaystyle O\) の矢印は \(\displaystyle O₂\) につながり、養分へは「?」の付いた点線の矢印で、下に「養分の \(\displaystyle O\):決められない」と書いてあります。
「決められない」も正しい答えになる
3 問の中で、ここがいちばん手ごわいところだと思います。「決められない」と答えるのは、なかなか勇気がいります。
ここでは、\(\displaystyle C\)・\(\displaystyle H\)・\(\displaystyle O\) の 1 つずつについて、「必ず」と言えるかを確かめてきました。問2で、石灰水だけでは酸素のことは言えなかったのと同じ考え方です。
- 「必ず」と言えるかを、1 つずつ確かめる
- 「決められない」も、正しい答えになる
(2) 細胞の呼吸と燃焼を比べる
共通点
どちらも、酸素を使い、二酸化炭素と水ができます。中学 1 年で、ろうそくのような有機物が燃えると二酸化炭素と水ができると習いました。どちらも、物質が酸素と結びつく変化、つまり酸化です。
共通点は、次のどれを書いても正解です。
- 「酸素を使う」「二酸化炭素ができる」「水ができる」のどれか 1 つ
- 「どちらも酸化」「どちらも熱を出す」「どちらもエネルギーを取り出す」
ただし、「どちらも炎や光を出す」は誤りです。右の絵に「炎は出ない」と書いてあるからです。
違う点
違う点は、下の 2 つの絵を比べて考えます。手順①で、それぞれに書いてあることを並べてみましょう。
- ろうそくの燃焼:明るい炎が出て、まわりがとても熱くなる
- 細胞の呼吸:炎が出ず、細胞の中で少しずつ進み、取り出したエネルギーは細胞が生きるために使われる
つまり、燃焼は熱や光を激しく出しますが、細胞の呼吸はおだやかに進むのです。
次の図では、2 つの絵の上に「共通:酸素を使い、二酸化炭素と水ができる」、ろうそくの絵の下に「熱や光を激しく出す」、細胞の絵の下に「おだやかに進む」と書き足しています。
違う点は、細胞の呼吸について次のどれかが書いてあれば正解です。
- 炎や光を出さない
- 少しずつ進む
- 生物の細胞の中で起こり、取り出したエネルギーを生きるために使う
ただし、「細胞の呼吸は熱を出さない」とは書かないでください。絵にも「熱は出ない」とは書いていません。細胞の呼吸でも熱は出ます。また、「細胞の呼吸は酸素を使わない」「二酸化炭素ができない」は、共通点と食いちがうので誤りです。
【決まり】原子は新しく生まれたり消えたりしない
右にある原子は、左のどこかから来ている
答え (1) ① \(\displaystyle C\)、\(\displaystyle H\)
\(\displaystyle O₂\) には \(\displaystyle C\) も \(\displaystyle H\) も無い → 養分から来た
答え (1) ② 決められない
\(\displaystyle CO₂\) や \(\displaystyle H₂O\) の \(\displaystyle O\) は、取り入れた酸素(\(\displaystyle O₂\))から来た可能性があるから
【注意】
「必ず」と言えるかを、1 つずつ確かめる
「決められない」も、正しい答えになる
答え (2)
共通点(例):酸素を使い、二酸化炭素と水ができる(どちらも酸化)
違う点(例):燃焼は熱や光を激しく出す。細胞の呼吸はおだやかに進み、取り出したエネルギーを生きるために使う
違う点は、細胞の呼吸について次のどれかが書いてあっても正解
・炎や光を出さない
・少しずつ進む
・生物の細胞の中で起こり、取り出したエネルギーを生きるために使う
【注意】
「細胞の呼吸は熱を出さない」は誤り(細胞の呼吸でも熱は出る)
まとめ:今日できるようになったこと
- 観察の記録は、細胞の数 → 細胞壁 → 葉緑体(手がかり)の順に見る。葉緑体は手がかりで、決め手ではない。
- 石灰水がにごって言えるのは、「二酸化炭素がふえた」ところまで。酸素を使ったと言うには、酸素を調べる必要がある。
- 呼吸でできる \(\displaystyle CO₂\)・\(\displaystyle H₂O\) だけから考えると、養分には \(\displaystyle C\) と \(\displaystyle H\) が必ずあると言える。\(\displaystyle O\) はこれだけでは決められない。
- 細胞の呼吸は、燃焼と同じく酸素を使い、二酸化炭素と水ができる。でも、燃焼のように熱や光を激しく出すのではなく、おだやかに進む。
3 つめの「決められない」は、「養分に \(\displaystyle O\) があるかどうかは分からないものだ」という意味ではありません。養分そのものを調べれば分かることを、この問題の条件だけでは言い切れない、という意味です。
振り返ると、3 問で使った知識は、どれももう習ったことばかりです。
- 基礎の回で学んだ細胞のこと
- 化学変化の単元の原子と化学式
- 小学 5 年の、条件をそろえて比べる考え方
- 小学 6 年の石灰水と気体検知管
- 中学 1 年の「有機物が燃えると二酸化炭素と水ができる」こと
難しく見えたのは、それを手順で組み立てる必要があったからです。ページの下のプリントには、宿題が 8 問あります。同じ 3 つの手順を使えるか、試してみてください。つまずいた所があったら、基礎の回をもう一度見直すと、きっとつながります。自分のペースで大丈夫です。
よくある質問
Q. 緑色の粒(葉緑体)があれば、植物の細胞だと決めていいのですか?
A. 決めてはいけません。葉緑体は手がかりで、決め手ではありません。ミドリムシのように、1 つの細胞で葉緑体をもつ単細胞生物もいます。反対に、タマネギの表皮や根のように、植物の細胞でも葉緑体が無いことがあります。多細胞の生物の細胞で植物か動物かを決めるのは細胞壁で、それより先に「細胞はいくつか」を見ます。
Q. テストで「決められない」と答えても、本当に正解になるのですか?
A. なります。問3の (1) ② のように、右側の \(\displaystyle O\) が全部 \(\displaystyle O₂\) から来たとしても話が合う場合は、養分に \(\displaystyle O\) があるかどうかは、その条件だけでは言い切れません。「必ず」と言えるかを 1 つずつ確かめて、言えないときは「決められない」と答え、理由も書きましょう。
Q. 細胞の呼吸は炎が出ないので、熱も出ないのですか?
A. いいえ、細胞の呼吸でも熱は出ます。燃焼との違いは、熱や光を激しく出すか、おだやかに進むかです。違う点を書くときは、「細胞の呼吸は熱を出さない」ではなく、「炎や光を出さない」「少しずつ進む」「おだやかに進む」のように書きましょう。
このシリーズについて
この記事は、シリーズの「入試応用」の回です。このシリーズには「基礎」「入試基礎」「入試応用」の 3 段があります。続きの回も、順番に公開していきます。
解答・解説つきの演習プリント(別ページ)






