アジア州の入試問題の解き方:雨温図・国の判断・記述・2枚の地図・生産量の表(入試の基礎)
※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。
この記事でわかること
- 入試の形の問題で使う「解き方 3つ」(手がかりは 2 つ以上使う/問われている言葉と条件に線を引く/理由は「〜から。」で終える)
- 雨温図から場所・気候の理由・農業まで続けて決める方法と、いくつかの手がかりを組み合わせて国を 1 つに決める方法
- 中国の格差やインドの ICT 産業の記述の書き方、2 枚の地図の「関係」の書き方、生産量の上位の国から作物を当てる方法
この回で学ぶこと
この記事は、アジア州の「入試の基礎」の回です。季節風、農業、宗教、中国やインドの産業は、アジア州の基礎の回(\(\displaystyle 1a\)・\(\displaystyle 1b\)・\(\displaystyle 1c\))で学びました。一つずつ聞かれれば答えられるのに、入試の形で出されると手が止まる。記述は、何を書けば点になるのかが分からない。そんな人に向けた回です。
入試によく出る形の問題を、6 問解いていきます。指定語句・条件つきの記述は、問3と問4の 2 問です。
- 問1 雨温図 → 気候の理由 → 農業
- 問2 手がかりから国を決める
- 問3・問4 指定語句・条件つきの記述
- 問5 2 枚の地図を比べる
- 問6 生産量の上位の国から作物を決める
基礎の回(\(\displaystyle 1a\)・\(\displaystyle 1b\)・\(\displaystyle 1c\))をまだ学んでいない人は、先にそちらを読んでおくと、今日の問題がずっと解きやすくなります。いつ戻ってきても大丈夫です。
入試の解き方 3つ
入試の問題は、習ったことを一つずつ聞いてくるわけではありません。いくつかの資料や条件を組み合わせて聞いてきます。そこでこの回では、次の 3 つの解き方を使います。
【決まり】入試の解き方 3つ
手がかりは 2 つ以上使う
地図や資料には、手がかりがいくつも入っています。1 つだけで決めると、当てはまる物がほかにも残っていることがあります。問われている言葉と条件に線を引く
記述で点を落とす原因で多いのは、知らないことよりも、聞かれたことに答えていないことです。「何を書きなさい」「何にふれて」という所に、書く前に線を引きましょう。理由は「〜から。」で終える
文の終わりの形を先に決めておけば、理由を書き忘れずにすみます。
このあと、問いごとに 3 つのうちのどれを使うかを書きます。3 つに当てはまらない問いでは、その問いのための別の決まりを使います。そのときは「3 つとは別の決まり」と書いておきます。
問1 雨温図から場所・理由・農業まで決める
雨温図の問題で、気温の折れ線だけを見て決めようとしていませんか。冬に気温が下がる都市はいくつもあるので、気温だけでは決まらないことがよくあります。
【決まり】雨温図は 2 段で読む
- 1 段目は気温(折れ線) 一年中ほとんど変わらないなら、赤道に近い所です。
- 2 段目は雨の降り方(棒) 「一年中多い」「一年中ほとんど降らない」「夏だけ多く、冬はほとんど降らない」のどの型かを見分けます。
季節風は、季節によって向きが変わる風でした。合言葉は「海を通れば湿る、陸を通れば乾く」です。南アジアや東南アジアのうち、季節風の影響を強く受ける所では、夏は海からの湿った風で雨季、冬は陸からの乾いた風で乾季になります。中国や日本などの東アジアは「雨季・乾季」とは言わず、季節風によって四季がはっきりする、と言います。
気候が分かれば、農業も決まります。
【覚える】気候と農業
- 暑くて雨が多い → 稲作
- 雨がやや少ない → 小麦などの畑作
- とても乾燥している → 遊牧、オアシスでの農業
プランテーションだけは、この気候の表とは別に覚えておきましょう。植民地の時代に開かれた、輸出向けの作物を大量に作る大農園のことで、マレーシアやインドネシアなど東南アジアに広がっていました。
では問1です。都市 \(\displaystyle X\) はガンジス川の下流、都市 \(\displaystyle Y\) はアラビア半島の内陸にあります。
雨温図、気温だけで決めようとしていない?
【決まり】雨温図は 2 段で読む
1 段目 気温(折れ線)
一年中ほぼ同じ → 赤道の近く
2 段目 雨の降り方(棒)
一年中多い/一年中ほとんど降らない/夏だけ多く冬はほとんど降らない
南アジア・東南アジアのうち季節風の影響を強く受ける所 → 夏が雨季、冬が乾季
東アジアは「雨季・乾季」と言わず、季節風で四季がはっきりする
季節風:海を通れば湿る、陸を通れば乾く
【覚える】気候と農業
暑くて雨が多い → 稲作
雨がやや少ない → 小麦などの畑作
とても乾燥している → 遊牧、オアシスでの農業
プランテーション:植民地の時代に開かれた、輸出向けの作物の大農園(マレーシア・インドネシアなど東南アジア)
問1
都市 \(\displaystyle X\):ガンジス川の下流 都市 \(\displaystyle Y\):アラビア半島の内陸
(1) \(\displaystyle X\) の雨温図は Ⅰ〜Ⅲ のどれか。
(2) \(\displaystyle X\) で雨が多い時期はいつか。その時期に降水量が多くなる理由を「季節風」を使って書きなさい。
(3) \(\displaystyle X\) のまわりと \(\displaystyle Y\) のまわりの主な農業を選びなさい。
ア 稲作 イ 遊牧やオアシスでの農業 ウ 天然ゴムのプランテーション
問1の答えと解き方
答え
(1) Ⅰ
(2) 6〜9月(夏)
(例)夏に、海から湿った季節風が吹いてくるから。
「夏」だけも正解。月で書くなら 7・8月をふくみ、11〜4月をふくまない
(5〜10月・7〜9月・6〜8月 は正解/4〜9月・冬 は正解にしない)
(3) \(\displaystyle X\)=ア \(\displaystyle Y\)=イ
1 段目 気温
Ⅲ だけ一年中 27℃前後 → 赤道の近く → \(\displaystyle X\) ではない
Ⅰ と Ⅱ はどちらも冬に下がる → 気温だけでは決まらない
2 段目 雨
Ⅱ 一年中ほとんど降らない → 乾燥した \(\displaystyle Y\)
Ⅰ 夏だけとても多い → 季節風の雨季と乾季 → \(\displaystyle X\)
【注意】
「季節風が吹くから」だけでは足りない
「海から」「湿った」まで書く
この問いで使うのは、解き方の 1 つ目「手がかりは 2 つ以上使う」です。雨温図の手がかりは、気温と雨の 2 つです。
1 段目は気温。 一年中ほとんど変わらず 27℃前後なのは Ⅲ だけです。これは赤道に近いシンガポールの雨温図です。\(\displaystyle X\) はガンジス川の下流で赤道からは遠いので、Ⅲ ではありません。
残る Ⅰ と Ⅱ は、どちらも冬に気温が下がります。1月の気温は、Ⅰ が約 20℃、Ⅱ が 15℃前後です。気温だけでは、\(\displaystyle X\) が Ⅰ と Ⅱ のどちらなのかは決まりません。読み方がまちがっているわけではありません。気温で決まらないときこそ、2 段目の雨を見る番です。
2 段目は雨の降り方。 Ⅱ は一年中ほとんど雨が降りません。これは乾燥した \(\displaystyle Y\) の雨温図です。Ⅰ は 6月から 9月に雨がとても多く、冬はほとんど降りません。これが、南アジアのうち季節風の影響を強く受ける所の雨季と乾季です。\(\displaystyle X\) はガンジス川の下流なので、(1) の答えは Ⅰ です。
(2) の時期は、Ⅰ の棒グラフから 6〜9月、つまり夏と読みます。「夏」とだけ書いた答えも正解です。棒の高さの見え方によって、はじめと終わりの月が 1 か月ずれるのはかまいません。大事なのは、雨がいちばん多い 7月と 8月が入っていて、雨がほとんど降らない 11月から 4月が入っていないことです。
- 「5〜10月」「7〜9月」「6〜8月」→ 正解
- 「4〜9月」→ ほとんど降らない 4月が入るので、正解にしない
- 「冬」→ 正解にしない
(2) の理由は、「季節風が吹くから」だけでは足りません。それでは、なぜ雨になるのかが伝わらないからです。夏の季節風は海の上を通ってくるので、湿っています。合言葉の「海を通れば湿る」のとおり、「海から」「湿った」まで書きましょう。理由なので、解き方の 3 つ目どおり、文の終わりは「〜から。」にします。
(3) は、気候から農業を決めます。\(\displaystyle X\) は暑くて雨が多いガンジス川の下流なので、ア の稲作。\(\displaystyle Y\) はとても乾燥しているので、イ の遊牧やオアシスでの農業です。ウ のプランテーションは、植民地の時代に開かれた輸出向けの大農園で、マレーシアやインドネシアなど東南アジアに広がるものでした。
問2 手がかりを組み合わせて国を決める
国を答える問題で、「イスラム教」と書いてあったら、すぐにサウジアラビアと決めていませんか。そう思いつくのは、ちゃんと覚えている証拠です。ただ、イスラム教(イスラーム)を信じる人が多い国は、アジアにいくつもあります。手がかり 1 つで決めると、ほかの国が残ってしまいます。
そこでこの問いでは、解き方の 1 つ目「手がかりは 2 つ以上使う」を、次の手順にして使います。
【決まり】国を決める 3 つの手順
- 1 つの手がかりで候補をしぼる
- 別の手がかりを合わせて 1 か国に決める
- 全部の手がかりと合うか確かめる
例でやってみましょう。「東アジアにある」なら、日本・中国・韓国・北朝鮮・モンゴルなどが候補です。「海から遠い内陸にある」国は、たとえばモンゴルや、カザフスタンなどの中央アジアの国々です。両方に合うのは、モンゴルだけになります。
では問2です。\(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle E\) のカードに当てはまる国を、地図のア〜コから選びます。
「イスラム教」と見て、すぐに国を決めていない?
【決まり】国を決める 3 つの手順
- 1 つの手がかりで候補をしぼる
- 別の手がかりを合わせて 1 か国に決める
- 全部の手がかりと合うか確かめる
例
「東アジアにある」→ 日本・中国・韓国・北朝鮮・モンゴル など
「海から遠い内陸にある」→ たとえばモンゴル、カザフスタンなど
両方に合う → モンゴル
問2 \(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle E\) に当てはまる国を地図のア〜コから選び、記号と国名を答えなさい。
\(\displaystyle A\) ASEAN の最初の加盟国の一つ。輸出の 1 位は機械類で、自動車の輸出も多い。
\(\displaystyle B\) 多くの島からなる国。国民の多くがイスラム教徒。油やしのプランテーションが広がる。
\(\displaystyle C\) 人口が 10 億人をこえ、豊かな人と貧しい人の格差が課題。かつてイギリスの植民地だった。
\(\displaystyle D\) 国民の多くがイスラム教徒。ペルシア湾に面し、石油の輸出が多い。アラビア半島の大部分をしめる。
\(\displaystyle E\) 東アジアにある。半導体などの電子工業がさかんで、人口の約半分が首都とそのまわりに集中している。
問2の答えと解き方
答え
\(\displaystyle A\) エ タイ
\(\displaystyle B\) カ インドネシア
\(\displaystyle C\) ク インド
\(\displaystyle D\) コ サウジアラビア
\(\displaystyle E\) ア 韓国
しぼる → 決める
\(\displaystyle A\) ASEAN の最初の加盟国(1967年の 5 か国)→ エ・オ・カ・キ + 自動車 → タイ
\(\displaystyle B\) 多くの島 → カ・キ + イスラム教・油やし → インドネシア
\(\displaystyle C\) 10 億人・格差 → イ・ク + イギリスの植民地 → インド
\(\displaystyle D\) イスラム教・ペルシア湾 → ケ・コ + アラビア半島の大部分 → サウジアラビア
\(\displaystyle E\) 東アジア → ア・イ + 首都に約半分 → 韓国
【注意】
手がかり 1 つで決めない
フィリピン:キリスト教徒が多い
マレーシア:半島と島の一部にまたがる国、人口は 10 億人にとどかない
どのカードも、「しぼる」→「決める」の 2 段で見ていきます。
A:タイ
ASEAN は 1967年に、タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポールの 5 か国で始まりました。これが「最初の加盟国」です。地図の記号の中では、タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピンの 4 か国になります。「輸出の 1 位は機械類」は、マレーシアなどいくつかの国に当てはまるので、ここではまだ決まりません。そこに「自動車の輸出も多い」を合わせて、エ のタイです。\(\displaystyle 1c\) で見た、タイの輸出の特徴です。
B:インドネシア
「多くの島からなる国」なら、インドネシアとフィリピン。「イスラム教徒が多い」「油やし」を合わせると、カ のインドネシアになります。フィリピンは、キリスト教徒が多い国でした。マレーシアもイスラム教徒が多く、油やしを作ります。でも、半島と島の一部にまたがる国で、多くの島からなる国ではありません。
C:インド
「人口が 10 億人をこえる」「格差」だけなら、中国とインドの 2 か国。「イギリスの植民地」を合わせると、ク のインドです。マレーシアもイギリスの植民地でしたが、人口は 10 億人にとどきません。インドは、インド洋に突き出た逆三角形の形が目印です。
D:サウジアラビア
「イスラム教」と「ペルシア湾の石油」だけなら、ケ のイランも当てはまってしまいます。問2 のはじめに書いた、「イスラム教」と書いてあると、すぐにサウジアラビアと決めてしまう落とし穴は、ここです。サウジアラビアと答えた人も、手がかりを 1 つ足せば、自信を持ってそう言えるようになります。地図で、アラビア半島の大部分をしめる国を探すと、コ のサウジアラビアです。
E:韓国
「東アジア」なら韓国と中国。「人口の約半分が首都とそのまわりに集中」は、\(\displaystyle 1c\) で習った韓国の特徴です。朝鮮半島の南側にある、ア の韓国です。
最後に、それぞれのカードを読み直して、選んだ国が全部の手がかりに合うかを確かめておきましょう。
問3 中国の格差を、指定語句を使って書く
指定された言葉を全部使ったのに、点がもらえなかった。記述では、こういうことがよく起きます。言葉を入れることに気を取られて、聞かれたことに答えていないからです。
この問いで使うのは、解き方の 2 つ目「問われている言葉と条件に線を引く」です。
【決まり】記述は書く前に
- 問われている言葉に線を引く
- 指定語句は、書いたあとに○をつけて、全部入っているか確かめる
\(\displaystyle 1b\) の言葉も思い出しておきましょう。
- 経済特区:外国の会社を呼びこむために、税金を安くするなどの特別なしくみを作った地域。下の地図では★の印です。
- 沿岸部=海に面した地域、内陸部=海から遠い地域
- 格差を書くときは、「どこが」「どうなのか」を両方書く
指定語句は全部使ったのに、点がもらえない?
【決まり】記述は書く前に
・問われている言葉に線を引く
・指定語句は、書いたあとに○をつけて確かめる
思い出そう(\(\displaystyle 1b\))
経済特区:外国の会社を呼びこむため、税金を安くするなどした地域
沿岸部=海に面した地域 内陸部=海から遠い地域
格差を書くときは「どこが」「どうなのか」を両方
問3
中国の沿岸部と内陸部の間で起きている課題と、その原因を、次の言葉をすべて使って書きなさい。
【経済特区 収入 内陸部】
問3の答えと解き方
答え
(例)沿岸部に経済特区がつくられ、外国の企業が進出して工業が発展したため、沿岸部は収入が多くなったが、内陸部は収入が少ないままで、その差が大きくなっている。
線を引く所
「課題」と「その原因」
採点で見られる 2 つ
原因:沿岸部に経済特区がつくられ、工業が集まった
課題:沿岸部は収入が多く、内陸部は少ない。その差が大きい
【注意】
「差がある」だけでは、どちらが多いか分からない
経済特区の説明だけで終わると、課題が書けていない
この問いで問われているのは、「課題」と「その原因」の 2 つです。書く前に、問題文のこの 2 つの言葉に線を引きます。採点では、この 2 つが見られます。
- 原因:沿岸部に経済特区がつくられ、外国の企業が進出して、工業が集まったこと
- 課題:沿岸部は収入が多くなったのに、内陸部は収入が少ないままで、その差が大きくなっていること
課題のところで、「収入に差がある」とだけ書いた人はいませんか。差に目をつけたのは合っています。ただ、それだと沿岸部と内陸部のどちらが多いのかが分かりません。「沿岸部は多く、内陸部は少ない」と、どちらが多いかまで書いて、はじめて課題が書けたことになります。
もう一つよくあるのが、経済特区とは何かを説明して終わってしまう答えです。経済特区のことは正しく書けていても、問われている課題が答えの中にありません。書く前に線を引くのは、これを防ぐためです。
書き終わったら、「経済特区」「収入」「内陸部」の 3 つに○をつけて、全部入っているか確かめましょう。
問4 インドの ICT 産業を、条件に合わせて書く
記述の問題では、問題文の最後に条件がついていることがあります。答えの中身は合っているのに、この条件を読み落として点を落とす人が、本当に多いのです。
この問いで使うのは、解き方の 2 つ目と 3 つ目です。
【決まり】条件つきの記述
- 条件に線を引き、条件に合う理由だけを選ぶ
- 資料を写すのではなく、「だから何が得か」まで書く(\(\displaystyle 1b\) で習ったコツ)
- 理由なので、文の終わりは「〜から。」
\(\displaystyle 1b\) も思い出しておきましょう。ICT は情報通信技術のことです。インドでは、南部の都市ベンガルール(バンガロール)などで、コンピューターのソフトウェアなどを作る ICT 産業が大きく成長しました。\(\displaystyle 1b\) では、イギリスの植民地だったこと、アメリカと昼と夜がほぼ逆になること、数学や理科の教育に力を入れてきたこと、という資料を見ました。イギリスの植民地だったので、インドには英語を話す人が多いのでしたね。
【決まり】条件つきの記述
条件に線を引き、合う理由だけを選ぶ
資料を写さず「だから何が得か」まで書く(文末は「〜から。」)
思い出そう(\(\displaystyle 1b\))ICT=情報通信技術 ベンガルール(バンガロール)など
問4 インドで ICT 産業が成長した理由を、アメリカとの関係にふれて、2 つ書きなさい。
問4の答えと解き方
答え(例)① 英語を話す人が多く、アメリカの企業とやりとりがしやすいから。② 昼と夜がほぼ逆で、アメリカの夜の間にインドで仕事を進め、24時間続けて仕事ができるから。
・技術者が多い・賃金が安い → アメリカの企業が仕事を任せやすいから(も正解)
【注意】線を引く所「アメリカとの関係にふれて」「2 つ」
「英語」「数学」「昼と夜が逆」で止めない → アメリカの企業にとっての得まで
線を引くのは「アメリカとの関係にふれて」と「2 つ」です。
英語
「英語を話す人が多いから」で止めた人も、目のつけどころは合っています。ただ、この問いではアメリカとの関係にふれていないので、点になりません。英語が話せると、英語を使うアメリカの企業とやりとりがしやすい。そこまで書いて、はじめてアメリカとの関係にふれたことになります。
数学や理科の教育
数学も同じ線引きです。「数学や理科の教育に力を入れているから」は、ICT 産業が成長した理由としては正しいのですが、アメリカにふれていないので点にはなりません。「数学や理科の教育に力を入れていて、すぐれた技術者が多いので、アメリカの企業が仕事を任せやすいから」と、アメリカの企業にとっての得まで書けば正解です。
昼と夜が逆
よくあるのが、「昼と夜が逆だから」で止まることです。それで何が得なのかまで書きましょう。アメリカの人が寝ている夜の間に、インドで仕事を進められる。だから 24時間続けて仕事ができる。ここまで書けば正解です。
賃金
「アメリカより賃金が安く、アメリカの企業が仕事を任せやすいから」も正解です。アメリカで人をやとうより安く、同じ仕事を頼めるからです。\(\displaystyle 1b\) で習った、外国の会社が中国に工場を建てた理由「賃金が安い」と同じ考え方です。
どれも理由を聞かれているので、文の終わりは「〜から。」にします。最後に、2 つ書けているか、数も確かめておきましょう。
問5 2 枚の地図を比べて「関係」を書く
地図を 2 枚並べて「関係を書きなさい」と聞かれると、何を書けばいいのか迷いますよね。地理の記述の中でも、手が止まりやすい形の一つです。でも、書く形さえ決まっていれば大丈夫です。
(1) で使うのは、3 つの解き方とは別の決まりです。
【決まり】「関係」を書くとき(3 つの解き方とは別の決まり)
- 2 つの図の両方にふれる
- 「〇〇が多い所は△△も多く、〇〇が少ない所は△△も少ない」の形で書く
(2) は理由を聞いているので、解き方の 3 つ目「〜から。」で終える、を使います。
言葉を 1 つ確かめておきます。人口密度は、同じ広さの土地に、どれだけの人が住んでいるかのことです。図2 では、濃い色の所ほど人がぎっしり住んでいます。
図1 は年降水量、図2 は人口密度の地図です。
2 枚の地図の「関係」って、何を書けばいい?
【決まり】「関係」を書くとき(3 つの解き方とは別の決まり)
・2 つの図の両方にふれる
・「〇〇が多い所は△△も……、〇〇が少ない所は△△も……」の形
人口密度:同じ広さの土地に、どれだけの人が住んでいるか
問5
(1) 図1と図2を比べて、年降水量と人口密度の間にどのような関係があるか書きなさい。
(2) (1) のような関係が見られる理由を、「稲作」という言葉を使って書きなさい。
問5の答えと解き方
答え
(1) (例)年降水量が多い地域は人口密度が高く、年降水量がとても少ない地域は人口密度が低い。
(「少ない地域は低い」「多い地域ほど高い」も正解。片方の図だけの説明は正解にしない)
(2) (例)降水量が多い地域では稲作がさかんで、米がたくさんとれ、多くの人を養うことができるから。
季節風 → 雨 → 稲作 → 米がたくさんとれる → 多くの人を養える
【注意】
「南アジアや東南アジアは雨が多い」→ 片方の図の説明だけ
例外があっても、全体の傾向(だいたいどうか)を書けば正解
中国の北部・ガンジス川の上流:雨はやや少ないが人口密度は高い/カリマンタン島の内陸:雨は多いが低い
答えを確かめる前に、2 枚の地図を重ねてみましょう。
まず、図1 で雨が「多い」所の輪郭(図では赤い線)を、図2 の同じ場所に重ねます。ガンジス川の下流、中国の南部、日本、それに東南アジアのジャワ島や大きな川の下流の平野。図2 の濃い色の所の多くが、この線の中に入っています。
次に、図1 で雨が「とても少ない」所の輪郭(図では灰色の点線)を重ねます。その中は薄い色ばかりで、濃い色の所はほとんどありません。
だから (1) は、「年降水量が多い地域は人口密度が高く、年降水量がとても少ない地域は人口密度が低い」となります。決まりの形どおりに「年降水量が少ない地域は人口密度が低い」と書いた答えも、「年降水量が多い地域ほど人口密度が高い」と書いた答えも正解です。どれも、地図全体のおおまかな傾向を書けているからです。
よくある間違いは、「南アジアや東南アジアは雨が多い」と、図1 の説明だけを書いてしまうことです。地図はよく読めていますが、人口密度にふれていないので、関係にはなりません。
(2) は、\(\displaystyle 1a\) で学んだ流れそのままです。
季節風 → 雨 → 稲作 → 米がたくさんとれる → 多くの人を養える
季節風が雨を降らせます。雨が多い所では、たくさんの水が要る稲作ができます。米は同じ広さの土地でたくさんとれるので、多くの人を養えます。だから人が多く住んでいる、というわけです。文の終わりは「〜から。」にします。
ただし、これはおおまかな傾向です。中国の北部の黄河のあたりや、ガンジス川の上流(図では黄色い丸)は、図1 では「やや少ない」色なのに、図2 では濃い色です。\(\displaystyle 1a\) で習ったように、ここでは小麦などの畑作がさかんで、多くの人が暮らしています。反対に、カリマンタン島の内陸(図では緑の丸)は、雨は多いのに、森や山が広がっていて薄い色です。
こうした例外があっても、(1) は全体の傾向を書けていれば、まちがいにはなりません。地図は、いつも「だいたいどうか」を見るようにしましょう。
問6 生産量の上位の国から作物を決める
入試では、生産量の上位の国だけが書かれた表から、作物を当てる問題がよく出ます。数字が無いので、手がかりは国の名前だけです。
ここで使うのも、3 つの解き方とは別の決まりです。
【決まり】上位の国から作物を決める手順(3 つの解き方とは別の決まり)
- 分かる所から決める
- その国の気候と農業を思い出す
- 必ず選択肢を見る
どこから決めてもかまいません。分かる所から手をつけましょう。表の \(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle C\) は、ある作物の生産量の 1位と 2位の国です。
国の名前しか書いていない表から、作物を当てるには?
【決まり】上位の国から作物を決める手順(3 つの解き方とは別の決まり)
・分かる所から決める
・その国の気候と農業を思い出す
・必ず選択肢を見る
問6 \(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle C\) の作物を選びましょう。
〔米・天然ゴム・油やし(パーム油)・なつめやし〕
問6の答えと解き方
答え
\(\displaystyle A\) 天然ゴム
\(\displaystyle B\) 油やし(パーム油)
\(\displaystyle C\) 米
決める順
\(\displaystyle B\) 1位インドネシア・2位マレーシア → \(\displaystyle 1c\) で習った油やしの順位
\(\displaystyle C\) 中国・インド → 雨の多い地域で稲作 → 米
\(\displaystyle A\) 残り → 天然ゴム(1位タイ)
【注意】
中国・インドが上位の作物は米だけではない
小麦・茶も 1位中国・2位インド → 必ず選択肢を見る
なつめやし:西アジアなどの乾燥した地域の作物
手順どおり、分かる所から決めていきます。ここでは \(\displaystyle B\) → \(\displaystyle C\) → \(\displaystyle A\) の順です。
B:油やし(パーム油)
1位インドネシア、2位マレーシア。\(\displaystyle 1c\) で習った油やし(パーム油)の順位と、そのまま同じです。インドネシアとマレーシアは天然ゴムも作りますが、\(\displaystyle 1c\) で習った「インドネシアが 1位、マレーシアが 2位」は、油やしの順位でした。
C:米
中国とインドは、人口が多く、雨の多い地域で稲作がさかんな 2 つの国です。だから米です。
ここで気をつけてほしいことがあります。中国とインドが上位に来る作物は、米だけではありません。小麦や茶も、中国が 1位、インドが 2位です。だから、必ず選択肢を見ます。今回の選択肢で、中国とインドに当てはまるのは米だけです。
A:天然ゴム
残る \(\displaystyle A\) は、タイとインドネシアです。\(\displaystyle A\) を米にした人は、タイが米どころだと覚えていたのですね。その知識は合っています。でも、\(\displaystyle C\) を見直してみましょう。米の 1位は中国なので、タイが 1位の \(\displaystyle A\) は米ではありません。なつめやしは、西アジアなどの乾燥した地域で作られる作物で、暑くて雨の多いタイやインドネシアには合いません。だから \(\displaystyle A\) は天然ゴムです。インドネシアに天然ゴムのプランテーションがあることは \(\displaystyle 1c\) で習いました。天然ゴムはタイでも多く作られていて、生産はタイが 1位です。
まとめ:この回でできるようになったこと
- 雨温図を「気温 → 雨」の 2 段で読み、場所と農業まで決められる
- 手がかりを 2 つ以上組み合わせて、国を 1 つに決められる
- 問われている言葉と条件に線を引いて、記述を書ける
- 2 つの地図を比べて、「〇〇が多い所は△△も」の形で関係を書ける
- 上位の国と選択肢から、作物を決められる
「入試の解き方 3つ」は、問1 から問4 で使いました。問5 と問6 では、それとは別の決まりも使いました。2 つの地図の関係は、両方にふれて「〇〇が多い所は△△も」の形で書く。生産量の表は、分かる所から決めて、必ず選択肢を見る。
この回で新しく覚えたことは、ほとんどありません。\(\displaystyle 1a\) から \(\displaystyle 1c\) で習ったことを、入試の形で使えるようにしただけです。解けなかった問題があったら、その問題の解説に戻って、どの解き方や決まりで止まったかを確かめてみてください。自分のペースで大丈夫です。
自分で解いてみたい人は、このページのいちばん下からプリントへ進めます。プリントのはじめのページには、この記事と同じ番号で問1〜問6 が載っていて、書きこむ場所もあります。宿題は、練習問題のページで画面上で解くこともできます。
よくある質問
Q. 基礎の回(\(\displaystyle 1a\)〜\(\displaystyle 1c\))を学んでいなくても、この記事は読めますか?
A. この記事でも、季節風、経済特区、ICT、人口密度などの言葉は、そのつど確かめています。ただ、問題は \(\displaystyle 1a\)〜\(\displaystyle 1c\) で習ったことを組み合わせて解くものばかりです。先に基礎の回を学んでおくと、ずっと解きやすくなります。
Q. 記述で、指定された言葉を全部入れたのに点にならないのはなぜですか?
A. 聞かれたことに答えていないことが多いからです。書く前に、「課題と、その原因」「アメリカとの関係にふれて」「2 つ」のような、問われている言葉と条件に線を引きましょう。書き終わったら、指定語句に○をつけて全部入っているか確かめます。理由を聞かれたら、文の終わりを「〜から。」にします。
Q. 2 枚の地図の「関係」を書くとき、例外の地域があったら書き方を変えるべきですか?
A. 変えなくてかまいません。「関係」で聞かれているのは、地図全体の「だいたいどうか」です。中国の北部やカリマンタン島の内陸のような例外があっても、「年降水量が多い地域は人口密度が高く、少ない地域は低い」のように全体の傾向を書けていれば、まちがいにはなりません。気をつけるのは、片方の図の説明だけで終わらせないことです。
解答・解説つきの演習プリント(別ページ)
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