中学1年

アジア州の入試問題の解き方:雨温図・国の判断・記述・2枚の地図・生産量の表(入試の基礎)

栞先生

※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。

この記事でわかること

  • 入試の形の問題で使う「解き方 3つ」(手がかりは 2 つ以上使う/問われている言葉と条件に線を引く/理由は「〜から。」で終える)
  • 雨温図から場所・気候の理由・農業まで続けて決める方法と、いくつかの手がかりを組み合わせて国を 1 つに決める方法
  • 中国の格差やインドの ICT 産業の記述の書き方、2 枚の地図の「関係」の書き方、生産量の上位の国から作物を当てる方法

この回で学ぶこと

この記事は、アジア州の「入試の基礎」の回です。季節風、農業、宗教、中国やインドの産業は、アジア州の基礎の回(\(\displaystyle 1a\)・\(\displaystyle 1b\)・\(\displaystyle 1c\))で学びました。一つずつ聞かれれば答えられるのに、入試の形で出されると手が止まる。記述は、何を書けば点になるのかが分からない。そんな人に向けた回です。

入試によく出る形の問題を、6 問解いていきます。指定語句・条件つきの記述は、問3と問4の 2 問です。

  • 問1 雨温図 → 気候の理由 → 農業
  • 問2 手がかりから国を決める
  • 問3・問4 指定語句・条件つきの記述
  • 問5 2 枚の地図を比べる
  • 問6 生産量の上位の国から作物を決める

基礎の回(\(\displaystyle 1a\)・\(\displaystyle 1b\)・\(\displaystyle 1c\))をまだ学んでいない人は、先にそちらを読んでおくと、今日の問題がずっと解きやすくなります。いつ戻ってきても大丈夫です。

入試の解き方 3つ

入試の問題は、習ったことを一つずつ聞いてくるわけではありません。いくつかの資料や条件を組み合わせて聞いてきます。そこでこの回では、次の 3 つの解き方を使います。

【決まり】入試の解き方 3つ

  1. 手がかりは 2 つ以上使う
     地図や資料には、手がかりがいくつも入っています。1 つだけで決めると、当てはまる物がほかにも残っていることがあります。

  2. 問われている言葉と条件に線を引く
     記述で点を落とす原因で多いのは、知らないことよりも、聞かれたことに答えていないことです。「何を書きなさい」「何にふれて」という所に、書く前に線を引きましょう。

  3. 理由は「〜から。」で終える
     文の終わりの形を先に決めておけば、理由を書き忘れずにすみます。

このあと、問いごとに 3 つのうちのどれを使うかを書きます。3 つに当てはまらない問いでは、その問いのための別の決まりを使います。そのときは「3 つとは別の決まり」と書いておきます。

問1 雨温図から場所・理由・農業まで決める

雨温図の問題で、気温の折れ線だけを見て決めようとしていませんか。冬に気温が下がる都市はいくつもあるので、気温だけでは決まらないことがよくあります。

【決まり】雨温図は 2 段で読む

  • 1 段目は気温(折れ線) 一年中ほとんど変わらないなら、赤道に近い所です。
  • 2 段目は雨の降り方(棒) 「一年中多い」「一年中ほとんど降らない」「夏だけ多く、冬はほとんど降らない」のどの型かを見分けます。
1段目 気温 2段目 雨 折れ線 棒グラフ ℃ mm 気温 降水量 14710月

季節風は、季節によって向きが変わる風でした。合言葉は「海を通れば湿る、陸を通れば乾く」です。南アジアや東南アジアのうち、季節風の影響を強く受ける所では、夏は海からの湿った風で雨季、冬は陸からの乾いた風で乾季になります。中国や日本などの東アジアは「雨季・乾季」とは言わず、季節風によって四季がはっきりする、と言います。

気候が分かれば、農業も決まります。

【覚える】気候と農業

  • 暑くて雨が多い → 稲作
  • 雨がやや少ない → 小麦などの畑作
  • とても乾燥している → 遊牧、オアシスでの農業

プランテーションだけは、この気候の表とは別に覚えておきましょう。植民地の時代に開かれた、輸出向けの作物を大量に作る大農園のことで、マレーシアやインドネシアなど東南アジアに広がっていました。

では問1です。都市 \(\displaystyle X\) はガンジス川の下流、都市 \(\displaystyle Y\) はアラビア半島の内陸にあります。

雨温図、気温だけで決めようとしていない?

【決まり】雨温図は 2 段で読む
1 段目 気温(折れ線)
 一年中ほぼ同じ → 赤道の近く
2 段目 雨の降り方(棒)
 一年中多い/一年中ほとんど降らない/夏だけ多く冬はほとんど降らない
 南アジア・東南アジアのうち季節風の影響を強く受ける所 → 夏が雨季、冬が乾季
 東アジアは「雨季・乾季」と言わず、季節風で四季がはっきりする
季節風:海を通れば湿る、陸を通れば乾く

【覚える】気候と農業
暑くて雨が多い → 稲作
雨がやや少ない → 小麦などの畑作
とても乾燥している → 遊牧、オアシスでの農業
プランテーション:植民地の時代に開かれた、輸出向けの作物の大農園(マレーシア・インドネシアなど東南アジア)

問1
都市 \(\displaystyle X\):ガンジス川の下流 都市 \(\displaystyle Y\):アラビア半島の内陸
(1) \(\displaystyle X\) の雨温図は Ⅰ〜Ⅲ のどれか。
(2) \(\displaystyle X\) で雨が多い時期はいつか。その時期に降水量が多くなる理由を「季節風」を使って書きなさい。
(3) \(\displaystyle X\) のまわりと \(\displaystyle Y\) のまわりの主な農業を選びなさい。
 ア 稲作 イ 遊牧やオアシスでの農業 ウ 天然ゴムのプランテーション

ⅠⅡⅢ ℃ mm 40200 4002000 14710 14710 14710 月 ガンジス川 X Y 気温 降水量 平年値 1991〜2020年 理科年表

問1の答えと解き方

答え
(1) Ⅰ
(2) 6〜9月(夏)
 (例)夏に、海から湿った季節風が吹いてくるから。
 「夏」だけも正解。月で書くなら 7・8月をふくみ、11〜4月をふくまない
 (5〜10月・7〜9月・6〜8月 は正解/4〜9月・冬 は正解にしない)
(3) \(\displaystyle X\)=ア \(\displaystyle Y\)=イ

1 段目 気温
Ⅲ だけ一年中 27℃前後 → 赤道の近く → \(\displaystyle X\) ではない
Ⅰ と Ⅱ はどちらも冬に下がる → 気温だけでは決まらない

2 段目 雨
Ⅱ 一年中ほとんど降らない → 乾燥した \(\displaystyle Y\)
Ⅰ 夏だけとても多い → 季節風の雨季と乾季 → \(\displaystyle X\)

【注意】
「季節風が吹くから」だけでは足りない
「海から」「湿った」まで書く

この問いで使うのは、解き方の 1 つ目「手がかりは 2 つ以上使う」です。雨温図の手がかりは、気温と雨の 2 つです。

ガンジス川 XY 気温降水量 ⅠⅡⅢ ℃mm 40200 4002000 147101471014710月 平年値 1991〜2020年 理科年表 一年中27℃前後 X ではない 約20℃ 15℃前後 一年中ほとんど降らない 雨季 乾季 ほとんど降らない 稲作 遊牧・オアシス

1 段目は気温。 一年中ほとんど変わらず 27℃前後なのは Ⅲ だけです。これは赤道に近いシンガポールの雨温図です。\(\displaystyle X\) はガンジス川の下流で赤道からは遠いので、Ⅲ ではありません。

残る Ⅰ と Ⅱ は、どちらも冬に気温が下がります。1月の気温は、Ⅰ が約 20℃、Ⅱ が 15℃前後です。気温だけでは、\(\displaystyle X\) が Ⅰ と Ⅱ のどちらなのかは決まりません。読み方がまちがっているわけではありません。気温で決まらないときこそ、2 段目の雨を見る番です。

2 段目は雨の降り方。 Ⅱ は一年中ほとんど雨が降りません。これは乾燥した \(\displaystyle Y\) の雨温図です。Ⅰ は 6月から 9月に雨がとても多く、冬はほとんど降りません。これが、南アジアのうち季節風の影響を強く受ける所の雨季と乾季です。\(\displaystyle X\) はガンジス川の下流なので、(1) の答えは Ⅰ です。

(2) の時期は、Ⅰ の棒グラフから 6〜9月、つまり夏と読みます。「夏」とだけ書いた答えも正解です。棒の高さの見え方によって、はじめと終わりの月が 1 か月ずれるのはかまいません。大事なのは、雨がいちばん多い 7月と 8月が入っていて、雨がほとんど降らない 11月から 4月が入っていないことです。

  • 「5〜10月」「7〜9月」「6〜8月」→ 正解
  • 「4〜9月」→ ほとんど降らない 4月が入るので、正解にしない
  • 「冬」→ 正解にしない

(2) の理由は、「季節風が吹くから」だけでは足りません。それでは、なぜ雨になるのかが伝わらないからです。夏の季節風は海の上を通ってくるので、湿っています。合言葉の「海を通れば湿る」のとおり、「海から」「湿った」まで書きましょう。理由なので、解き方の 3 つ目どおり、文の終わりは「〜から。」にします。

(3) は、気候から農業を決めます。\(\displaystyle X\) は暑くて雨が多いガンジス川の下流なので、ア の稲作。\(\displaystyle Y\) はとても乾燥しているので、イ の遊牧やオアシスでの農業です。ウ のプランテーションは、植民地の時代に開かれた輸出向けの大農園で、マレーシアやインドネシアなど東南アジアに広がるものでした。

問2 手がかりを組み合わせて国を決める

国を答える問題で、「イスラム教」と書いてあったら、すぐにサウジアラビアと決めていませんか。そう思いつくのは、ちゃんと覚えている証拠です。ただ、イスラム教(イスラーム)を信じる人が多い国は、アジアにいくつもあります。手がかり 1 つで決めると、ほかの国が残ってしまいます。

そこでこの問いでは、解き方の 1 つ目「手がかりは 2 つ以上使う」を、次の手順にして使います。

【決まり】国を決める 3 つの手順

  1. 1 つの手がかりで候補をしぼる
  2. 別の手がかりを合わせて 1 か国に決める
  3. 全部の手がかりと合うか確かめる

例でやってみましょう。「東アジアにある」なら、日本・中国・韓国・北朝鮮・モンゴルなどが候補です。「海から遠い内陸にある」国は、たとえばモンゴルや、カザフスタンなどの中央アジアの国々です。両方に合うのは、モンゴルだけになります。

東アジアの国・地域 海から遠い内陸の国(例) モンゴル

では問2です。\(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle E\) のカードに当てはまる国を、地図のア〜コから選びます。

「イスラム教」と見て、すぐに国を決めていない?

【決まり】国を決める 3 つの手順

  1. 1 つの手がかりで候補をしぼる
  2. 別の手がかりを合わせて 1 か国に決める
  3. 全部の手がかりと合うか確かめる

例
「東アジアにある」→ 日本・中国・韓国・北朝鮮・モンゴル など
「海から遠い内陸にある」→ たとえばモンゴル、カザフスタンなど
両方に合う → モンゴル

問2 \(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle E\) に当てはまる国を地図のア〜コから選び、記号と国名を答えなさい。
\(\displaystyle A\) ASEAN の最初の加盟国の一つ。輸出の 1 位は機械類で、自動車の輸出も多い。
\(\displaystyle B\) 多くの島からなる国。国民の多くがイスラム教徒。油やしのプランテーションが広がる。
\(\displaystyle C\) 人口が 10 億人をこえ、豊かな人と貧しい人の格差が課題。かつてイギリスの植民地だった。
\(\displaystyle D\) 国民の多くがイスラム教徒。ペルシア湾に面し、石油の輸出が多い。アラビア半島の大部分をしめる。
\(\displaystyle E\) 東アジアにある。半導体などの電子工業がさかんで、人口の約半分が首都とそのまわりに集中している。

ペルシア湾 アイウエオカキクケコ

問2の答えと解き方

答え
\(\displaystyle A\) エ タイ
\(\displaystyle B\) カ インドネシア
\(\displaystyle C\) ク インド
\(\displaystyle D\) コ サウジアラビア
\(\displaystyle E\) ア 韓国

しぼる → 決める
\(\displaystyle A\) ASEAN の最初の加盟国(1967年の 5 か国)→ エ・オ・カ・キ + 自動車 → タイ
\(\displaystyle B\) 多くの島 → カ・キ + イスラム教・油やし → インドネシア
\(\displaystyle C\) 10 億人・格差 → イ・ク + イギリスの植民地 → インド
\(\displaystyle D\) イスラム教・ペルシア湾 → ケ・コ + アラビア半島の大部分 → サウジアラビア
\(\displaystyle E\) 東アジア → ア・イ + 首都に約半分 → 韓国

【注意】
手がかり 1 つで決めない
フィリピン:キリスト教徒が多い
マレーシア:半島と島の一部にまたがる国、人口は 10 億人にとどかない

どのカードも、「しぼる」→「決める」の 2 段で見ていきます。

ペルシア湾 アイウエオカキクケコ 1967年の最初の加盟国:タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール タイタイの輸出品:『世界国勢図会』 インドネシア キリスト教徒が多い インド サウジアラビア 韓国韓国の首都圏の人口:韓国統計庁、2021年

A:タイ
ASEAN は 1967年に、タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポールの 5 か国で始まりました。これが「最初の加盟国」です。地図の記号の中では、タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピンの 4 か国になります。「輸出の 1 位は機械類」は、マレーシアなどいくつかの国に当てはまるので、ここではまだ決まりません。そこに「自動車の輸出も多い」を合わせて、エ のタイです。\(\displaystyle 1c\) で見た、タイの輸出の特徴です。

B:インドネシア
「多くの島からなる国」なら、インドネシアとフィリピン。「イスラム教徒が多い」「油やし」を合わせると、カ のインドネシアになります。フィリピンは、キリスト教徒が多い国でした。マレーシアもイスラム教徒が多く、油やしを作ります。でも、半島と島の一部にまたがる国で、多くの島からなる国ではありません。

C:インド
「人口が 10 億人をこえる」「格差」だけなら、中国とインドの 2 か国。「イギリスの植民地」を合わせると、ク のインドです。マレーシアもイギリスの植民地でしたが、人口は 10 億人にとどきません。インドは、インド洋に突き出た逆三角形の形が目印です。

D:サウジアラビア
「イスラム教」と「ペルシア湾の石油」だけなら、ケ のイランも当てはまってしまいます。問2 のはじめに書いた、「イスラム教」と書いてあると、すぐにサウジアラビアと決めてしまう落とし穴は、ここです。サウジアラビアと答えた人も、手がかりを 1 つ足せば、自信を持ってそう言えるようになります。地図で、アラビア半島の大部分をしめる国を探すと、コ のサウジアラビアです。

E:韓国
「東アジア」なら韓国と中国。「人口の約半分が首都とそのまわりに集中」は、\(\displaystyle 1c\) で習った韓国の特徴です。朝鮮半島の南側にある、ア の韓国です。

最後に、それぞれのカードを読み直して、選んだ国が全部の手がかりに合うかを確かめておきましょう。

問3 中国の格差を、指定語句を使って書く

指定された言葉を全部使ったのに、点がもらえなかった。記述では、こういうことがよく起きます。言葉を入れることに気を取られて、聞かれたことに答えていないからです。

この問いで使うのは、解き方の 2 つ目「問われている言葉と条件に線を引く」です。

【決まり】記述は書く前に

  • 問われている言葉に線を引く
  • 指定語句は、書いたあとに○をつけて、全部入っているか確かめる

\(\displaystyle 1b\) の言葉も思い出しておきましょう。

  • 経済特区:外国の会社を呼びこむために、税金を安くするなどの特別なしくみを作った地域。下の地図では★の印です。
  • 沿岸部=海に面した地域、内陸部=海から遠い地域
  • 格差を書くときは、「どこが」「どうなのか」を両方書く

指定語句は全部使ったのに、点がもらえない?

【決まり】記述は書く前に
・問われている言葉に線を引く
・指定語句は、書いたあとに○をつけて確かめる

思い出そう(\(\displaystyle 1b\))
経済特区:外国の会社を呼びこむため、税金を安くするなどした地域
沿岸部=海に面した地域 内陸部=海から遠い地域
格差を書くときは「どこが」「どうなのか」を両方

問3
中国の沿岸部と内陸部の間で起きている課題と、その原因を、次の言葉をすべて使って書きなさい。
【経済特区 収入 内陸部】

経済特区 1人あたりの収入が 多い ⇔ 少ない

問3の答えと解き方

答え
(例)沿岸部に経済特区がつくられ、外国の企業が進出して工業が発展したため、沿岸部は収入が多くなったが、内陸部は収入が少ないままで、その差が大きくなっている。

線を引く所
「課題」と「その原因」

採点で見られる 2 つ
原因:沿岸部に経済特区がつくられ、工業が集まった
課題:沿岸部は収入が多く、内陸部は少ない。その差が大きい

【注意】
「差がある」だけでは、どちらが多いか分からない
経済特区の説明だけで終わると、課題が書けていない

この問いで問われているのは、「課題」と「その原因」の 2 つです。書く前に、問題文のこの 2 つの言葉に線を引きます。採点では、この 2 つが見られます。

経済特区 1人あたりの収入が 多い ⇔ 少ない 工場が集まる 収入が少ないまま 収入が多い 差が大きい
  • 原因:沿岸部に経済特区がつくられ、外国の企業が進出して、工業が集まったこと
  • 課題:沿岸部は収入が多くなったのに、内陸部は収入が少ないままで、その差が大きくなっていること

課題のところで、「収入に差がある」とだけ書いた人はいませんか。差に目をつけたのは合っています。ただ、それだと沿岸部と内陸部のどちらが多いのかが分かりません。「沿岸部は多く、内陸部は少ない」と、どちらが多いかまで書いて、はじめて課題が書けたことになります。

もう一つよくあるのが、経済特区とは何かを説明して終わってしまう答えです。経済特区のことは正しく書けていても、問われている課題が答えの中にありません。書く前に線を引くのは、これを防ぐためです。

書き終わったら、「経済特区」「収入」「内陸部」の 3 つに○をつけて、全部入っているか確かめましょう。

問4 インドの ICT 産業を、条件に合わせて書く

記述の問題では、問題文の最後に条件がついていることがあります。答えの中身は合っているのに、この条件を読み落として点を落とす人が、本当に多いのです。

この問いで使うのは、解き方の 2 つ目と 3 つ目です。

【決まり】条件つきの記述

  • 条件に線を引き、条件に合う理由だけを選ぶ
  • 資料を写すのではなく、「だから何が得か」まで書く(\(\displaystyle 1b\) で習ったコツ)
  • 理由なので、文の終わりは「〜から。」

\(\displaystyle 1b\) も思い出しておきましょう。ICT は情報通信技術のことです。インドでは、南部の都市ベンガルール(バンガロール)などで、コンピューターのソフトウェアなどを作る ICT 産業が大きく成長しました。\(\displaystyle 1b\) では、イギリスの植民地だったこと、アメリカと昼と夜がほぼ逆になること、数学や理科の教育に力を入れてきたこと、という資料を見ました。イギリスの植民地だったので、インドには英語を話す人が多いのでしたね。

【決まり】条件つきの記述
条件に線を引き、合う理由だけを選ぶ
資料を写さず「だから何が得か」まで書く(文末は「〜から。」)

思い出そう(\(\displaystyle 1b\))ICT=情報通信技術 ベンガルール(バンガロール)など

問4 インドで ICT 産業が成長した理由を、アメリカとの関係にふれて、2 つ書きなさい。

問4の答えと解き方

答え(例)① 英語を話す人が多く、アメリカの企業とやりとりがしやすいから。② 昼と夜がほぼ逆で、アメリカの夜の間にインドで仕事を進め、24時間続けて仕事ができるから。
・技術者が多い・賃金が安い → アメリカの企業が仕事を任せやすいから(も正解)

【注意】線を引く所「アメリカとの関係にふれて」「2 つ」
「英語」「数学」「昼と夜が逆」で止めない → アメリカの企業にとっての得まで

線を引くのは「アメリカとの関係にふれて」と「2 つ」です。

英語
「英語を話す人が多いから」で止めた人も、目のつけどころは合っています。ただ、この問いではアメリカとの関係にふれていないので、点になりません。英語が話せると、英語を使うアメリカの企業とやりとりがしやすい。そこまで書いて、はじめてアメリカとの関係にふれたことになります。

数学や理科の教育
数学も同じ線引きです。「数学や理科の教育に力を入れているから」は、ICT 産業が成長した理由としては正しいのですが、アメリカにふれていないので点にはなりません。「数学や理科の教育に力を入れていて、すぐれた技術者が多いので、アメリカの企業が仕事を任せやすいから」と、アメリカの企業にとっての得まで書けば正解です。

昼と夜が逆
よくあるのが、「昼と夜が逆だから」で止まることです。それで何が得なのかまで書きましょう。アメリカの人が寝ている夜の間に、インドで仕事を進められる。だから 24時間続けて仕事ができる。ここまで書けば正解です。

賃金
「アメリカより賃金が安く、アメリカの企業が仕事を任せやすいから」も正解です。アメリカで人をやとうより安く、同じ仕事を頼めるからです。\(\displaystyle 1b\) で習った、外国の会社が中国に工場を建てた理由「賃金が安い」と同じ考え方です。

どれも理由を聞かれているので、文の終わりは「〜から。」にします。最後に、2 つ書けているか、数も確かめておきましょう。

問5 2 枚の地図を比べて「関係」を書く

地図を 2 枚並べて「関係を書きなさい」と聞かれると、何を書けばいいのか迷いますよね。地理の記述の中でも、手が止まりやすい形の一つです。でも、書く形さえ決まっていれば大丈夫です。

(1) で使うのは、3 つの解き方とは別の決まりです。

【決まり】「関係」を書くとき(3 つの解き方とは別の決まり)

  • 2 つの図の両方にふれる
  • 「〇〇が多い所は△△も多く、〇〇が少ない所は△△も少ない」の形で書く

(2) は理由を聞いているので、解き方の 3 つ目「〜から。」で終える、を使います。

言葉を 1 つ確かめておきます。人口密度は、同じ広さの土地に、どれだけの人が住んでいるかのことです。図2 では、濃い色の所ほど人がぎっしり住んでいます。

図1 は年降水量、図2 は人口密度の地図です。

2 枚の地図の「関係」って、何を書けばいい?

【決まり】「関係」を書くとき(3 つの解き方とは別の決まり)
・2 つの図の両方にふれる
・「〇〇が多い所は△△も……、〇〇が少ない所は△△も……」の形

人口密度:同じ広さの土地に、どれだけの人が住んでいるか

問5
(1) 図1と図2を比べて、年降水量と人口密度の間にどのような関係があるか書きなさい。
(2) (1) のような関係が見られる理由を、「稲作」という言葉を使って書きなさい。

図1 年降水量 多い やや少ない とても少ない (模式図) 図2 人口密度 高い ⇕ 低い (模式図)

問5の答えと解き方

答え
(1) (例)年降水量が多い地域は人口密度が高く、年降水量がとても少ない地域は人口密度が低い。
 (「少ない地域は低い」「多い地域ほど高い」も正解。片方の図だけの説明は正解にしない)
(2) (例)降水量が多い地域では稲作がさかんで、米がたくさんとれ、多くの人を養うことができるから。

季節風 → 雨 → 稲作 → 米がたくさんとれる → 多くの人を養える

【注意】
「南アジアや東南アジアは雨が多い」→ 片方の図の説明だけ
例外があっても、全体の傾向(だいたいどうか)を書けば正解
中国の北部・ガンジス川の上流:雨はやや少ないが人口密度は高い/カリマンタン島の内陸:雨は多いが低い

答えを確かめる前に、2 枚の地図を重ねてみましょう。

図1 年降水量 多い やや少ない とても少ない (模式図) 図2 人口密度 高い ⇕ 低い (模式図) 雨はやや少ない人口密度は高い小麦などの畑作 雨は多い人口密度は低い森や山

まず、図1 で雨が「多い」所の輪郭(図では赤い線)を、図2 の同じ場所に重ねます。ガンジス川の下流、中国の南部、日本、それに東南アジアのジャワ島や大きな川の下流の平野。図2 の濃い色の所の多くが、この線の中に入っています。

次に、図1 で雨が「とても少ない」所の輪郭(図では灰色の点線)を重ねます。その中は薄い色ばかりで、濃い色の所はほとんどありません。

だから (1) は、「年降水量が多い地域は人口密度が高く、年降水量がとても少ない地域は人口密度が低い」となります。決まりの形どおりに「年降水量が少ない地域は人口密度が低い」と書いた答えも、「年降水量が多い地域ほど人口密度が高い」と書いた答えも正解です。どれも、地図全体のおおまかな傾向を書けているからです。

よくある間違いは、「南アジアや東南アジアは雨が多い」と、図1 の説明だけを書いてしまうことです。地図はよく読めていますが、人口密度にふれていないので、関係にはなりません。

(2) は、\(\displaystyle 1a\) で学んだ流れそのままです。

季節風 → 雨 → 稲作 → 米がたくさんとれる → 多くの人を養える

季節風が雨を降らせます。雨が多い所では、たくさんの水が要る稲作ができます。米は同じ広さの土地でたくさんとれるので、多くの人を養えます。だから人が多く住んでいる、というわけです。文の終わりは「〜から。」にします。

ただし、これはおおまかな傾向です。中国の北部の黄河のあたりや、ガンジス川の上流(図では黄色い丸)は、図1 では「やや少ない」色なのに、図2 では濃い色です。\(\displaystyle 1a\) で習ったように、ここでは小麦などの畑作がさかんで、多くの人が暮らしています。反対に、カリマンタン島の内陸(図では緑の丸)は、雨は多いのに、森や山が広がっていて薄い色です。

こうした例外があっても、(1) は全体の傾向を書けていれば、まちがいにはなりません。地図は、いつも「だいたいどうか」を見るようにしましょう。

問6 生産量の上位の国から作物を決める

入試では、生産量の上位の国だけが書かれた表から、作物を当てる問題がよく出ます。数字が無いので、手がかりは国の名前だけです。

ここで使うのも、3 つの解き方とは別の決まりです。

【決まり】上位の国から作物を決める手順(3 つの解き方とは別の決まり)

  • 分かる所から決める
  • その国の気候と農業を思い出す
  • 必ず選択肢を見る

どこから決めてもかまいません。分かる所から手をつけましょう。表の \(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle C\) は、ある作物の生産量の 1位と 2位の国です。

国の名前しか書いていない表から、作物を当てるには?

【決まり】上位の国から作物を決める手順(3 つの解き方とは別の決まり)
・分かる所から決める
・その国の気候と農業を思い出す
・必ず選択肢を見る

問6 \(\displaystyle A\)〜\(\displaystyle C\) の作物を選びましょう。
〔米・天然ゴム・油やし(パーム油)・なつめやし〕

1位2位 ABC タイインドネシアインドネシアマレーシア中国インド FAOSTAT、2022年

問6の答えと解き方

答え
\(\displaystyle A\) 天然ゴム
\(\displaystyle B\) 油やし(パーム油)
\(\displaystyle C\) 米

決める順
\(\displaystyle B\) 1位インドネシア・2位マレーシア → \(\displaystyle 1c\) で習った油やしの順位
\(\displaystyle C\) 中国・インド → 雨の多い地域で稲作 → 米
\(\displaystyle A\) 残り → 天然ゴム(1位タイ)

【注意】
中国・インドが上位の作物は米だけではない
小麦・茶も 1位中国・2位インド → 必ず選択肢を見る
なつめやし:西アジアなどの乾燥した地域の作物

手順どおり、分かる所から決めていきます。ここでは \(\displaystyle B\) → \(\displaystyle C\) → \(\displaystyle A\) の順です。

1位2位 ABC タイインドネシアインドネシアマレーシア中国インド FAOSTAT、2022年 油やし(パーム油) 米 小麦・茶も 1位 中国・2位 インド 天然ゴム

B:油やし(パーム油)
1位インドネシア、2位マレーシア。\(\displaystyle 1c\) で習った油やし(パーム油)の順位と、そのまま同じです。インドネシアとマレーシアは天然ゴムも作りますが、\(\displaystyle 1c\) で習った「インドネシアが 1位、マレーシアが 2位」は、油やしの順位でした。

C:米
中国とインドは、人口が多く、雨の多い地域で稲作がさかんな 2 つの国です。だから米です。

ここで気をつけてほしいことがあります。中国とインドが上位に来る作物は、米だけではありません。小麦や茶も、中国が 1位、インドが 2位です。だから、必ず選択肢を見ます。今回の選択肢で、中国とインドに当てはまるのは米だけです。

A:天然ゴム
残る \(\displaystyle A\) は、タイとインドネシアです。\(\displaystyle A\) を米にした人は、タイが米どころだと覚えていたのですね。その知識は合っています。でも、\(\displaystyle C\) を見直してみましょう。米の 1位は中国なので、タイが 1位の \(\displaystyle A\) は米ではありません。なつめやしは、西アジアなどの乾燥した地域で作られる作物で、暑くて雨の多いタイやインドネシアには合いません。だから \(\displaystyle A\) は天然ゴムです。インドネシアに天然ゴムのプランテーションがあることは \(\displaystyle 1c\) で習いました。天然ゴムはタイでも多く作られていて、生産はタイが 1位です。

まとめ:この回でできるようになったこと

  • 雨温図を「気温 → 雨」の 2 段で読み、場所と農業まで決められる
  • 手がかりを 2 つ以上組み合わせて、国を 1 つに決められる
  • 問われている言葉と条件に線を引いて、記述を書ける
  • 2 つの地図を比べて、「〇〇が多い所は△△も」の形で関係を書ける
  • 上位の国と選択肢から、作物を決められる

「入試の解き方 3つ」は、問1 から問4 で使いました。問5 と問6 では、それとは別の決まりも使いました。2 つの地図の関係は、両方にふれて「〇〇が多い所は△△も」の形で書く。生産量の表は、分かる所から決めて、必ず選択肢を見る。

この回で新しく覚えたことは、ほとんどありません。\(\displaystyle 1a\) から \(\displaystyle 1c\) で習ったことを、入試の形で使えるようにしただけです。解けなかった問題があったら、その問題の解説に戻って、どの解き方や決まりで止まったかを確かめてみてください。自分のペースで大丈夫です。

自分で解いてみたい人は、このページのいちばん下からプリントへ進めます。プリントのはじめのページには、この記事と同じ番号で問1〜問6 が載っていて、書きこむ場所もあります。宿題は、練習問題のページで画面上で解くこともできます。

よくある質問

Q. 基礎の回(\(\displaystyle 1a\)〜\(\displaystyle 1c\))を学んでいなくても、この記事は読めますか?
A. この記事でも、季節風、経済特区、ICT、人口密度などの言葉は、そのつど確かめています。ただ、問題は \(\displaystyle 1a\)〜\(\displaystyle 1c\) で習ったことを組み合わせて解くものばかりです。先に基礎の回を学んでおくと、ずっと解きやすくなります。

Q. 記述で、指定された言葉を全部入れたのに点にならないのはなぜですか?
A. 聞かれたことに答えていないことが多いからです。書く前に、「課題と、その原因」「アメリカとの関係にふれて」「2 つ」のような、問われている言葉と条件に線を引きましょう。書き終わったら、指定語句に○をつけて全部入っているか確かめます。理由を聞かれたら、文の終わりを「〜から。」にします。

Q. 2 枚の地図の「関係」を書くとき、例外の地域があったら書き方を変えるべきですか?
A. 変えなくてかまいません。「関係」で聞かれているのは、地図全体の「だいたいどうか」です。中国の北部やカリマンタン島の内陸のような例外があっても、「年降水量が多い地域は人口密度が高く、少ない地域は低い」のように全体の傾向を書けていれば、まちがいにはなりません。気をつけるのは、片方の図の説明だけで終わらせないことです。

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栞先生
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