中学1年

【入試の応用】光の反射・屈折:全身を映す鏡の長さ、直角に組み合わせた2枚の鏡、プールの水面が鏡のように見えるわけ

栞先生

※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。

この記事でわかること

  • 全身を映す鏡は、床から何 cm から何 cm まで要るか。立つ距離がその答えに関係しないのはなぜか
  • 直角に組み合わせた 2 枚の鏡の両方に当たって 2 回反射した光が、どんな向きから来ても来た方へもどるのはなぜか
  • プールにもぐって見上げると、遠くの水面が鏡のように見えるのはなぜか(全反射の 2 つの条件で説明する)

この記事で解く 3 問と、先に読んでおきたい回

この記事では、光の反射と屈折の入試の応用問題を 3 問解きます。

  1. 全身を映す鏡は、どこからどこまで要る?
  2. 直角に組み合わせた 2 枚の鏡で、光はどう進む?
  3. プールの中から見上げた水面が、鏡のように見えるのはなぜ?

どの問題でも、新しい決まりは使いません。もう知っている決まりを組み合わせて、数や理由を自分で出していきます。

この回は、次の順に学んだあとで読むことを考えて書いています。

  • 基礎の回(光の直進と反射/光の屈折と全反射)
  • 入試の基礎の回(反射・屈折)

鏡の像の作図や全反射がよく分からないと感じたら、先にそちらの回を見ておくと、ずっと楽に読めます。途中で戻ってもかまいません。

それぞれの問題の前に、その問題で使う決まりをふり返ります。問いは、決まりのあとに載せてあります。自分で解いてみたい人は、問いを読んだところで少し考えてから、先へ読み進めてください。

使う決まり① 鏡の像と、光が反射する点

問1と問2では、鏡の決まりを使います。

鏡に映って見える物の、見かけの位置を、この記事では「像」と呼びます。

  • 像は、鏡をはさんで物と反対側の、鏡から同じ距離の所にできます。
  • 目は、届いた光がまっすぐ進んできたと感じます。 だから、鏡で反射して目に届いた光は、像の方向からまっすぐ来たように見えます。

この 2 つを合わせると、光が鏡のどこで反射するかが分かります。

反射する点 = 像と目を結ぶ直線が、鏡と交わる所

下の図は、方眼の上に鏡を置いて、真上から見たものです。鏡は横の線の上にあり、鏡のうしろ側(下側)には斜線がかいてあります。物 A は鏡から上へ 2 マスの所にあるので、像 A′ は鏡から下へ 2 マスの所にできます。図では、像 A′ から P までが点線、P から目 E までが光の道すじの実線で、この 2 本は 1 本のまっすぐな線(像と目を結ぶ直線)につながっています。この直線が鏡と交わる所が、点 P です。光は A から P へ進み、P ではね返って E に届きます。図では、この光の道すじを矢印つきの線でかいています。

鏡 A(物) E(目) A′(像) P

この考え方を使って、鏡の大きさの問題を解きます。

問1 全身を映す鏡は、どこからどこまで要る?

家の壁に縦長の鏡をかけて、大人と子どもの 2 人がどちらも全身を見られるようにしたい、という問題です。2 人は 1 人ずつ交代で、決まった距離だけ鏡から離れて立ちます。

問1
大人:身長 180 cm・目 168 cm・鏡から 2 m
子ども:身長 110 cm・目 100 cm・鏡から 1 m
(1 人ずつ交代で立つ)
(1) それぞれに要る鏡の範囲(床から何 cm から何 cm まで)
(2) 2 人とも全身が見える鏡の上端・下端と、いちばん短い長さ
(3) 立つ距離が違うことは、(1)(2) に関係する? 理由も

問いの図は、横から見た図が 2 つ並んでいます。左が大人だけが立っている図、右が子どもだけが立っている図です。どちらの図も、壁には鏡がかいてありません。壁の向こう側にも床がのびていて、本人が立つのと同じ距離の分だけ(大人は 2 m、子どもは 1 m)、何もかいていない場所がとってあります。ここは、あとで像をかき入れるための場所です。

大人 子ども 壁 180 cm 目 168 cm 0 cm 2 m 壁 110 cm 目 100 cm 0 cm 1 m

解くときの手がかり:横から見た図に、壁の向こうにできる像をかき入れます。そして、目と、像の頭のてっぺんを直線で結んでみましょう。

(1) 鏡の上端と下端は「ちょうど真ん中」

頭のてっぺんが見えるのは、頭から出た光が鏡で反射して、目に届くときです。反射する点は、上でふり返ったとおり「頭の像と目を結んだ直線が鏡と交わる所」でした。

大人の像は、壁の向こうの 2 m の所に、同じ身長 180 cm でできます。目の高さ 168 cm の所から、像の頭(高さ 180 cm)へ直線を引きます。

下の図は、問いの 2 つの図に像をかき入れたものです。目と像の頭のてっぺんを結ぶ線と、目と像のつま先を結ぶ線もかいてあります。線が壁と交わる点には、大人の図では 174 cm と 84 cm、子どもの図では 105 cm と 50 cm の印があります。どちらの図の壁にも、(2) の答えになる、50 cm から 174 cm までの鏡がかいてあります。

大人 子ども 壁 180 cm 目 168 cm 0 cm 2 m 壁 110 cm 目 100 cm 0 cm 1 m 像 174 cm 84 cm 像 105 cm 50 cm 鏡 鏡 50 cm 174 cm

この線は、壁の所でどの高さを通るでしょうか。

  • 目から像までは、横に 4 m あります。壁は、そのちょうど半分の 2 m の所にあります。
  • まっすぐな坂道を半分まで進むと、高さもちょうど半分だけ上がります。
  • この線は 168 cm から 180 cm まで、12 cm 上がる線です。壁の所では半分の 6 cm だけ上がって、174 cm を通ります。

174 cm は、目の高さ(168 cm)と頭の高さ(180 cm)のちょうど真ん中です。式にすると、次のようになります。

鏡で反射する高さ =(目の高さ + その点の高さ)÷ 2

大人の場合を計算すると、次のとおりです。

  • 上端:(168 + 180) ÷ 2 = 174 cm
  • 下端(つま先の高さは 0 cm):(168 + 0) ÷ 2 = 84 cm

大人に要る鏡は、84 cm から 174 cm までです。

子どもも同じように計算します。

  • 上端:(100 + 110) ÷ 2 = 105 cm
  • 下端:(100 + 0) ÷ 2 = 50 cm

子どもに要る鏡は、50 cm から 105 cm までです。

(2) 2 人とも全身を見るには

2 人とも全身を見るには、2 人分の範囲を両方ふくむ鏡が要ります。上は高いほうの 174 cm まで、下は低いほうの 50 cm までです。鏡の長さは 174 − 50 = 124 cm になります。

とても多いまちがい:大人に要る長さは 90 cm、子どもに要る長さは 55 cm です。だから「長いほうの 90 cm があれば足りる」と考えてしまう人が多くいます。長いほうに合わせるのは自然な考え方です。でも、長さだけを比べると、鏡がどの高さに要るのかが分からなくなってしまいます。大人に要るのは 84 cm から 174 cm まで、子どもに要るのは 50 cm から 105 cm までです。2 人に要る範囲の高さがずれているので、90 cm の鏡をどこにかけても、両方の範囲をおおうことはできません。
範囲は床からの高さで書き出して、両方をふくむように合わせましょう。

(3) 立つ距離は関係する?

答えは「関係しない」です。

(1) で 2 m や 4 m という距離を使ったのは、鏡が人と像のちょうど真ん中にあることを見つけるためでした。高さを出す式は「目の高さとその点の高さを足して 2 でわる」だけで、立つ距離は入っていません。

人がどこに立っても、像は鏡の向こうの、人と同じ距離の所にできます。だから、鏡はいつも人と像の真ん中にあります。そのため、目と像を結ぶ線は、鏡の所でいつも「目の高さとその点の高さの真ん中」を通ります。

  • 「式に距離が入っていないから」とだけ書いた人:目のつけどころは合っています。でも、それだけでは満点になりません。その式が使えるのは、どこに立っても鏡が人と像の真ん中にあるからです。そこまで書きましょう。
  • 「離れるほど小さく映るから、短い鏡でいい」と考えた人:遠くの物ほど小さく見える、というふだんの感覚から出てくる考えです。でも、人が鏡から離れると、像も同じだけ遠ざかります。鏡が人と像の真ん中にあることは変わらないので、鏡に要る範囲も同じです。

答えと解き方をまとめると、次のとおりです。

問1 答え
鏡で反射する高さ = (目の高さ + その点の高さ)÷ 2 ← ちょうど真ん中
(1) 大人:上端 (168+180)÷2=174 下端 (168+0)÷2=84 → 84〜174 cm
 子ども:上端 (100+110)÷2=105 下端 (100+0)÷2=50 → 50〜105 cm
(2) 上端 174 cm・下端 50 cm・長さ 174-50=124 cm
 × 長いほうの 90 cm → 2 人に要る範囲の高さがずれている
(3) 関係しない:鏡はいつも人と像のちょうど真ん中にある
 (距離は「真ん中」を見つけるのに使っただけ。高さの式には入らない)
 × 「式に距離が入っていないから」だけ → どこに立っても鏡が人と像の真ん中、まで書く

使う決まり② 方眼で見る反射の向き

問2は、光の向きを方眼でたどっていく問題です。その前に、「入射角と反射角が等しい」ということを方眼で見るとどうなるかを確かめておきます。

もう一度、「使う決まり①」の図(物 A・像 A′・点 P・目 E の図)を使います。

  • A から P へ進む光は「右へ 3 マス・下へ 2 マス」の向きです。
  • P から E へ進む光は「右へ 6 マス・上へ 4 マス」の向きです。割合でいえば「右へ 3 マスに上へ 2 マス」です。

2 本の線は、上下の向きは逆(下へ/上へ)ですが、横と縦のマスの割合(横 3:縦 2)は同じです。入射角と反射角が等しいことは、方眼ではこのように表れます。

鏡 A(物) E(目) A′(像) P 右へ 3・下へ 2 右へ 6・上へ 4 (=右へ 3・上へ 2)

入る光とはね返る光を比べると、次のことが分かります。

入る光:右へ 3・下へ 2 → はね返る光:右へ 3・上へ 2
– 鏡に向かう向き(ここでは「下へ」)は、逆になる(「上へ」に変わる)
– 鏡にそった向き(ここでは「右へ 3」)は、そのまま

では、鏡が 2 枚あったらどうなるでしょうか。

問2 直角に組み合わせた 2 枚の鏡

問2
縦の鏡(左の辺・10 マス)と横の鏡(下の辺・8 マス)が直角
はじめの点(右へ 3・上へ 10)から、「左へ 1・下へ 2」の向きに進む光
(1) 2 枚の鏡で反射したあとの道すじをかく
(2) 最後の向きは、はじめの向きとどんな関係?
(3) 向きを変えても(両方の鏡に当たるかぎり)成り立つ? 理由も

問いの図は、横 8 マス・縦 10 マスの方眼を真上から見たもので、左下の角を基準にしています。左の辺には縦の鏡(下から上へ 10 マス)、下の辺には横の鏡(左から右へ 8 マス)があり、2 枚は左下の角で直角に組み合わさっています。どちらの鏡も、うしろ側(縦の鏡は左側、横の鏡は下側)に斜線がかいてあり、鏡の面は右上の内側を向いています。方眼の上の辺の、右へ 3 マスの所に光のはじめの点があります。そこから、はじめの向きを示す短い矢印が、右へ 2 マス・上へ 8 マスの点までかいてあります。

縦の鏡 横の鏡 はじめの点

(1) 光の道すじを方眼でたどる

1 回目の反射まで
光は「左へ 1・下へ 2」の向きに進みます。はじめの点は右へ 3 マスの所にあるので、左へ 3 マス進むと縦の鏡に着きます。そのあいだに下へ 6 マス進みます。上へ 10 マスから 6 マス下がるので、光は縦の鏡の「上へ 4 マス」の点に当たります。

縦の鏡での反射
使う決まり②の横の鏡では、鏡に向かう「下へ」が逆になり、鏡にそった「右へ」はそのままでした。縦の鏡で、鏡に向かう向きは「左へ」です。これが「右へ」に変わります。鏡にそった「下へ 2」はそのままです。新しい向きは「右へ 1・下へ 2」になります。

2 回目の反射まで
上へ 4 マスの点から、右へ 1 マス進むごとに 2 マス下がります。右へ 2 マス進むと高さが 0 になるので、光は横の鏡の「右へ 2 マス」の点に当たります。

横の鏡での反射
鏡に向かう「下へ」が「上へ」に変わり、「右へ 1」はそのままです。光は「右へ 1・上へ 2」の向きに進み、方眼の上の辺の、右へ 7 マスの点に出ます。

下の図は、この道すじを問いの図にかき入れたものです。区間ごとに「左 1・下 2」「右 1・下 2」「右 1・上 2」と書いてあり、はじめの光と最後の光は同じ色でかいてあります。

縦の鏡 横の鏡 はじめの点 左 1・下 2 右 1・下 2 右 1・上 2

(2) 最後の向きと、はじめの向きの関係

はじめの向きは「左へ 1・下へ 2」、最後の向きは「右へ 1・上へ 2」です。横の向きも縦の向きも逆になっています。つまり、最後の光ははじめの光と平行で、ちょうど逆向きです。光は来た方へもどります。

(3) どんな向きでも成り立つ?

答えは「成り立つ」です。ここで考えるのは、問いにあるとおり、光が両方の鏡に当たるときです。(1) の説明を、数を使わずに言い直してみます。

  • 縦の鏡では、横の向きだけが逆になる。
  • 横の鏡では、縦の向きだけが逆になる。
  • 両方の鏡で 2 回反射すると、横の向きも縦の向きも 1 回ずつ逆になる。横も縦も逆なら、それは来た向きのちょうど反対である。

この説明には、はじめの向きが「左へ 1・下へ 2」だったことは出てきません。だから、光が両方の鏡に当たるかぎり、どんな向きから来ても成り立ちます。先に横の鏡に当たっても、逆になる順番が入れかわるだけで、結果は同じです。

「この向きではもどった」と例を 1 つだけ書いた人:例でためしてみるのは、とてもよい方法です。でも、1 つの例だけでは、ほかの向きでも成り立つ理由にはなりません。数を使わずに説明できたら、満点の答えです。

身の回りでは:自転車の反射板には、このしくみが使われています。反射板には、直角に組み合わせた小さな面がたくさん並んでいます。車のライトの光が当たると、光はライトの方へ、つまり運転している人の方へもどります。だから反射板はよく目立つのです。

問2 答え
(1) はじめの点 →(縦の鏡・上へ 4)→(横の鏡・右へ 2)→(右へ 7・上へ 10)
 左 1・下 2 →【縦の鏡】→ 右 1・下 2 →【横の鏡】→ 右 1・上 2
(2) はじめと平行で逆向き(来た方へもどる)
(3) 成り立つ

  • 縦の鏡:横の向きだけ逆
  • 横の鏡:縦の向きだけ逆
    → 2 回で横も縦も逆 → どんな向きでも来た方へもどる

使う決まり③ 屈折と全反射

問3は、屈折と全反射の問題です。決まりを 3 つふり返っておきます。

  1. 屈折:光が空気と水の境界をななめに通りぬけるとき、光は曲がります。角は、境界面に垂直な線から測ります。どちらの向きに進むときも、空気側の角のほうが大きくなります。
  2. 全反射:水の中から空気へ出ようとする光で、入射角がある大きさより大きくなると、光は空気中へ出られず、水面で全部はね返ります。全反射が起こる条件は次の 2 つです。
    – ① 水(ガラス)から空気へ進む光であること
    – ② 入射角が大きいこと
  3. 物が見えるしくみ:物が見えるのは、その物から来た光が目に入ったときです。目は、届いた光がまっすぐ来たと感じます。だから、何が見えるかを考えるときは、目に届いた光がどこから来たのかをたどります。

問3 プールの中から見上げた水面

プールにもぐって水面を見上げると、真上に近い所には外の景色が見えます。ところが、遠くの水面(ななめに見る所)は鏡のようになって、プールの底や壁が映って見えます。

問3 水の中から水面を見上げる(目は水の中)

  • 真上に近い水面 → 外の景色が見える
  • 遠くの水面(斜めに見る) → 鏡のよう。底や壁が映る

(1) 遠くの水面に底や壁が映るのはなぜ?
(2) 遠くの水面に外の景色が見えないのはなぜ?
(3) 外から見下ろしたとき、水面が底を映す鏡になることはある? 理由も

問いの図はプールの断面で、水の中に目がかいてあります。目から真上に近い向きにのびる線は、水面で外へつながっています。外から来た光が水面で曲がって目に届く、ということです。目から遠くの水面へのびるななめの線は、水面で折り返して、プールの底の 1 点へつながっています。

空気 水 プールの底 目

考え方:目に届いた光を、目から逆にたどる

見えるものは、目に届いた光の出どころです。目から逆にたどって考えます。

まず、真上に近い所を見る向き
目へ向かう光は、水の中を、水面に垂直な線に近い向きに進んでいます。外の光は空気から水へ進むので、空気側の角が入射角、水の中で目へ向かう向きの角が屈折角です。この向きでは屈折角が小さく、外の光の入射角も小さくなっています。

外の光は、水の中では「真上に近い向きの範囲」に進みます(このことは (2) でくわしく見ます)。真上に近い向きはこの範囲の中にあるので、外の光が水面で屈折して目に届きます。だから外の景色が見えるのです。

下の図は、問いの図に説明をかき入れたものです。かき入れてあるのは、次のものです。

  • 真上に近い向きの線のところ:水面に垂直な点線と、空気側の「入射角」、水側の「屈折角」
  • 目を頂点にして、上の辺が水面になった、色のついた三角形の範囲:外の光が届く「真上に近い向きの範囲」
  • ななめの線のところ:水面に垂直な点線と、「全反射」の文字
  • 右から水面すれすれに入ってきて、水の中で曲がって目に届く「水面すれすれに入った外の光」(1 本)。色のついた三角形の範囲の右のふちは、この光が水の中で進む向きと重なっています。左のふちは、反対側(左)から水面すれすれに入る外の光の向きにあたります(その光は図にはかいてありません)。

真上に近い向きの線は色のついた三角形の範囲の中にあり、全反射のななめの線は範囲の外にあります。

空気 水 プールの底 目 真上に近い 向きの範囲 入射角 屈折角 全反射 水面すれすれに入った 外の光

(1) 遠くの水面に底や壁が映るのはなぜ?

遠くの水面をななめに見る向きでは、目から水面への線が寝ています。そのため、この線と水面に垂直な線とのあいだの角は大きくなります。この向きで目に届く光を逆にたどると、水の中から水面に、大きな入射角で当たる光です。

全反射の条件を確かめます。

  • ① 水から空気へ進む向き → そろっている
  • ② 入射角が大きい → そろっている

2 つがそろうので、全反射が起こります。底や壁から出た光が水面で全部はね返って、目に届きます。だから、水面が鏡のように見えるのです。

「水面で反射するから」とだけ書いた人:方向は合っていて、あと一歩です。水面やガラスのように光を通す物の境界での反射では、ふつうは光の一部しかはね返りません。夜の窓ガラスのように、一部の反射でも物が映って見えることはあります。だから、映り方だけでは全反射かどうか決められません。ここが全反射だと言えるのは、2 つの条件がそろって、光が全部はね返るからです。「全反射」と「大きな入射角」の両方を書きましょう。

(2) 遠くの水面に外の景色が見えないのはなぜ?

3 問の中で、いちばん頭を使うところです。落ち着いて考えましょう。

外の景色の光は、空気から水へ入る光です。空気側の角のほうが大きいので、水の中では、垂直な線に近づく向きに曲がります。そのため、どんなに水面すれすれに入ってきても、水の中では水面に沿う向きには進めません。外の光が水の中で進める向きには、限りがあるのです。これが、上の図の色のついた三角形の範囲「真上に近い向きの範囲」です。

ここから先は、この記事でふり返った決まり(使う決まり①〜③)だけでは確かめられません。実際には、その範囲のふちより寝た向きが、ちょうど (1) の全反射で鏡に見える向きになっています。遠くの水面をななめに見る向きは範囲の外なので、外の光は来ません。

  • 「屈折するから」とだけ書いた人:それだけでは、光がどちらへ曲がるのかも、なぜその向きに外の光が来ないのかも分かりません。「垂直な線に近づく向きに曲がる」まで書きましょう。
  • 「遠くの水面では全反射が起きているので、外の光が入ってこない」と書いた人:(1) とつなげて全反射で説明しようとした考え方はよいです。ただ、全反射は水から空気へ進む光で起こるもので、空気から入る外の光には起こりません。だから、外の光が来ない理由にはなりません。

(3) 外から見下ろすと、水面は底を映す鏡になる?

今度は、目がプールの外、空気の中にあるときを考えます。目に届く光は、次のどちらかです。

  • 水の中から水面を通って出てきた光
  • 空気中で水面に当たって、はね返った光

2 つめの、空気中で水面に当たってはね返る光は、外から来た光です。底から出た光ではありません。だから、この一部の反射で何かが映って見えることはあっても、映るのは外の物で、水の中の底は映りません。また、空気側から来た光のはね返りは、全反射ではありません。全反射は、水から空気へ進む光で起こるものでした。

では、底から出て水面ではね返る光はどうでしょうか。この光は、全反射でもそうでなくても、はね返ったあとは水の中にもどります。全反射した光も水の中にとどまるので、外の目には届きません。だから答えは「ない」です。

「全反射は水から空気へ進む光で起こるから」で止めた人:もう一歩です。「全反射した光は水の中に残って、外の目に届かない」まで書くと、外から底が映らない理由になります。

問3 答え 目に届く光の出どころをたどる

  • 真上に近い向き:外の光(空気 → 水)。入射角=空気側、屈折角=水側
     外の光は、水の中では真上に近い範囲に進む
     → 真上に近い向きはその中 → 景色が見える

(1) 底や壁の光が、水中から水面に大きな入射角(垂直な線からの角)で当たる → 全反射 → 目に届く
 条件:① 水 → 空気 ○ ② 入射角が大きい ○
 ※ 一部の反射でも映ることはある(夜の窓ガラス)→ 全反射かどうかは2 つの条件で決める
(2) 外の光は、空気 → 水で垂直な線に近づく向きに曲がる
 → すれすれに入っても、水の中で水面にそう向きには進めない(進める向きに限りがある)
 → 実際に、範囲のふちより寝た向き = 全反射の向き → 外の光は来ない
 × 「全反射しているから外の光が来ない」→ 全反射は空気 → 水では起こらない
(3) ない:全反射は水 → 空気へ進む光で起こる。全反射した光は水の中に残る → 外の目に届かない

初めて見る現象でも、次の 2 つを使えば説明を組み立てられます。

  • 目に届く光を、逆にたどること
  • 全反射の 2 つの条件を確かめること

まとめ:この記事でできるようになったこと

  1. 全身を映す鏡:鏡の上端と下端は、目の高さと、頭やつま先の高さのちょうど真ん中です。鏡がいつも人と像の真ん中にあるからで、立つ距離には関係しません。
  2. 直角に組み合わせた 2 枚の鏡:光が両方の鏡に当たるとき、縦の鏡で横の向きが、横の鏡で縦の向きが逆になります。2 回の反射で両方が逆になるので、光はどんな向きから来ても来た方へもどります。
  3. 全反射:水(ガラス)から空気へ進む向きと、大きな入射角の 2 つがそろったときに起こります。初めて見る現象も、目に届く光をたどって、この 2 つを確かめれば説明できます。

この 3 つを、自分の言葉で言えるか試してみてください。言葉につまったところがあれば、その問題の説明に戻って読み直しましょう。

ページの下には、プリントへのリンクがあります。プリントには、この記事の問1〜問3が同じ番号で載っていて、書きこめます。宿題と、宿題を画面で解ける練習問題のページ、宿題の解説動画へのリンクもあります。

このシリーズは「基礎」→「入試基礎」→「入試応用」の 3 段で進んでいて、この回は「入試応用」です。次は「入試の応用:凸レンズ」の回です。

よくある質問

Q. 鏡から離れて立てば、短い鏡でも全身が映りますか?
A. いいえ。人が離れると、像も鏡の向こうへ同じだけ遠ざかります。鏡がいつも人と像のちょうど真ん中にあることは変わらないので、鏡に要る範囲(目の高さと頭やつま先の高さの真ん中)も同じです。

Q. 2 人で使う鏡は、長いほうの人に必要な長さがあれば足りますか?
A. 足りないことがあります。問1では、大人に要る長さは 90 cm ですが、大人に要る範囲(84〜174 cm)と子どもに要る範囲(50〜105 cm)は高さがずれています。90 cm の鏡をどこにかけても、両方はおおえません。範囲を床からの高さで書き出して、両方をふくむように合わせると、50〜174 cm の 124 cm になります。

Q. プールの外から見下ろしたときも、水面は水の中の底を映す鏡になりますか?
A. なりません。全反射が起こる条件(水(ガラス)から空気へ進む光であること・入射角が大きいこと)は、目がどこにあっても同じです。空気側から水面に当たってはね返る光は、水から空気へ進む光ではないので、全反射ではありません。それに、この光は外から来た光なので、底は映りません。水の中では、底から出た光が大きな入射角で水面に当たれば、全反射が起こります。でも、全反射した光は水の中に残るので、外の目には届きません。だから、外から見下ろした水面が、水の中の底を映す鏡になることはありません。

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