中3社会|現代社会【Step 1c】
中3 社会|現代社会|Step 1c
この記事でわかること
- 「効率」はムダの有無、「公正」は不利の有無を測る独立した2本の物差しで判断する
- 公正は手続き・機会・結果の3観点すべてが満たされて初めて実現する
- 「きまり」は合意を形にしたもので、正規の手続きを踏めば状況に応じて改定できる
※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。
学習マップ
この単元の位置づけです。
「効率と公正」「対立と合意」——
字面だけで頭がフリーズしてない?
大丈夫。部活で体育館を取り合う、
そんな身近な場面からほどいていくよ。
コツを先に出すね:物差しは2本ある。
『効率』=むだの有無。
『公正』=不利な人がいないか。
『早い者勝ち』は効率◎、でも公正?
この2本で体育館の取り合いを解くよ。
→ 今日のテーマ:対立と合意・効率と公正・社会のきまり。
体育館争いから考える「対立」
中学校の昼休み(30分)。
体育館を使いたいのは…
バスケ部20人・バレー部15人・卓球部8人。
全員一度には危ない。
4つの案:
①早い者勝ち ②大きい部優先 ③曜日で交代 ④場所を分ける
→さあ、どれが一番納得できる?
- バスケ部キャプテン:「うちが一番人数多い。毎日使うべき」
- バレー部代表:「ずるい、交代でやろう」
- 卓球部代表:「少人数だから端で毎日使わせて」
- 先生:「じゃあみんなで話し合って決めて」
昼休み30分の体育館をバスケ部(20人)・バレー部(15人)・卓球部(8人)で共有する問題です。提示された4案は、①早い者勝ち ②大きい部優先 ③曜日で交代 ④体育館を3分割して同時使用。各部にそれぞれの言い分があり、どう折り合いをつけるかがこの単元全体の問いです。
対立と合意——「納得」が合意の条件
【対立】立場や望みがちがって、ぶつかり合うこと。
→ 3部の主張のちがいがまさにそれ。
【合意】話し合って、みんなが納得できる答えにたどり着くこと。
→ 多数決で勝つこと ≠ 合意。
少数派の納得もいる。
立場や望みがぶつかり合う状態を**対立**、話し合いを通じて関係者全員が納得できる結論に達することを**合意**といいます。多数決で少数派を押し切ることは合意ではありません。少数派が「納得した」と言えない限り、それは合意と呼べません。
物差し①「効率」——ムダのなさを測る
【効率】時間・場所・お金・人手をむだにしていないか。
→『無駄をなくす』視点。
30分の昼休み・体育館という限られた資源を、
どれだけムダなく使いきれるか?
- ①早い者勝ち:空き時間ゼロ → 効率◎
- ②大きい部優先:時間ムダなし → 効率◎
- ③曜日で交代:1日1部だけ → やや時間が空く
- ④場所を分ける:全員同時に使える → 効率◎
**効率**とは、時間・場所・お金・人手をムダなく使いきれているかを見る視点です。4案のうち①早い者勝ち・②大きい部優先・④3分割はいずれも◎、③曜日交代はやや劣ります。しかし効率だけでは複数の案が並んでしまうため、もう1本の物差しが必要です。
物差し②「公正」——不利になる人がいないかを3観点で見る
【公正】不利になる人がいないかを見る視点。
3つの観点でチェックする:
① 手続きの公正さ:決め方にみんな参加?
② 機会の公正さ:チャンスは全員にある?
③ 結果の公正さ:特定の人だけ極端に不利でない?
**公正**とは不利になる人がいないかを見る視点で、3点でチェックします。①**手続きの公正さ**:決め方にみんなが参加できているか。②**機会の公正さ**:チャンスが全員に保証されているか。③**結果の公正さ**:特定の人だけが極端に不利になっていないか。3つすべてが満たされて初めて公正が守られているといえます。
効率と公正はセットで判断する
効率だけで決めると:
『大きい部優先』が最高効率。
でも卓球部は一度も使えない=不公正。
公正だけで決めると:
完璧な平等を狙いすぎて、誰も得しないことも。
→ 効率と公正は別の物差し。
片方だけでは決められない。両方の目で見る。
「大きい部優先」は効率◎でも、卓球部が一度も使えなければ**結果の公正さ**に反します。完璧な平等を求めすぎると決定に時間がかかり効率が損なわれます。**効率(ムダの有無)と公正(不利の有無)**はそれぞれ独立した物差しで、両方でバランスをとることが社会の問題を解く基本姿勢です。
合意を「社会のきまり」として形にする
【社会のきまり】
対立を防ぎ、合意を形にしたもの。
なぜきまりが必要?
・同じ場面のたびに話し合うのは大変
・弱い立場の人を守るためにも必要
- 校則:学校生活の取り決め
- 部活動の規約:部の運営の取り決め
- 地域のゴミ出しルール:近所のきまり
- 法律:国全体のきまり(→次の単元の記事で詳しくやるよ)
対立を防ぎ合意を形にしたものを**社会のきまり**といいます。校則・部活の規約・地域のルール・法律はすべてこの流れで生まれます。きまりは強者の都合だけで決まらないよう、弱い立場の人を守る機能も持ちます。
きまりは手続きを踏んで見直せる
状況が変われば、きまりも見直してよい。
× 勝手に破る
○ 手続きを踏んで変える
例:部員数が変わった/新しい部ができた/
体育館が改修された
→ 話し合って、新しいきまりへ。
部員数の変化・新しい部の設立・施設改修など状況が変わった場合、話し合いと手続きを経てきまりを更新できます。重要なのは「勝手に破る」のでなく「正規の手続きで改定する」ことです。きまりは対立→合意→きまり→見直しというサイクルで育ちます。
よくある誤解3つ
| × よくある勘違い | ○ 正しい考え方 |
|---|---|
| 多数決で勝てば合意 | 多数決 ≠ 合意。少数派の納得も必要 |
| 効率がよければ公正 | 別の物差し。両方で見る |
| きまりは絶対変えてはダメ | 手続きを踏めば見直してよい |
→ いちばん引っかかりやすいのは『効率と公正の混同』。
『効率の観点として正しいのは?』と聞かれて、
うっかり公正の側面を選ばないようにね。
①「多数決で勝てば合意」→× 少数派が納得しなければ合意ではありません。②「効率がよければ公正」→× 効率(ムダの有無)と公正(不利の有無)は別の物差しです。③「きまりは絶対変えてはいけない」→× 手続きを踏めば見直し可能です。特に②の**効率と公正の混同**が最も多いミスです。
確認問題①
問1:人々の立場や望みがちがって起こる、
争いや意見のぶつかり合いを何という?
- ア:対立
- イ:合意
- ウ:効率
- エ:公正
人々の立場のちがいから生じる意見のぶつかり合いを何という? ア.対立 イ.合意 ウ.効率 エ.公正
問①の答え
答え:ア 対立
- イ 合意:対立が解けたあとの状態(段階がちがう)
- ウ 効率:物差しの名前。意見のぶつかりではない
- エ 公正:これも物差し。意見のぶつかりではない
合意は解決後の状態、効率・公正は判断の物差しであり、「ぶつかり合い」そのものを指す語ではありません。
確認問題②
問2:話し合いを通じて、関係者みんなが
納得できる結論にたどり着くことを何という?
- ア:対立
- イ:合意
- ウ:きまり
- エ:見直し
話し合いで関係者全員が納得できる結論に達することを何という? ア.対立 イ.合意 ウ.きまり エ.見直し
問②の答え
答え:イ 合意
- ア 対立:合意の反対の状態
- ウ きまり:合意を形にしたもの(先の段階)
- エ 見直し:きまりをあとで変えること
対立→合意→きまり→見直しの順を押さえると選べます。
確認問題③
問3:『効率』の観点として最も正しいのは?
- ア:時間・お金・モノ・人手がむだになっていないか
- イ:決め方にみんなが参加できているか
- ウ:チャレンジするチャンスがみんなにあるか
- エ:特定の人だけが極端に不利になっていないか
「効率」の観点として正しいのはどれ? ア.時間・お金・人手のムダがないか イ.全員が決め方に参加できるか ウ.チャンスが全員にあるか エ.特定の人だけが不利でないか
問③の答え
答え:ア
効率=『むだの有無』の物差し。
- イ → 手続きの公正さ(公正の①)
- ウ → 機会の公正さ(公正の②)
- エ → 結果の公正さ(公正の③)
- → イ・ウ・エは全部『公正』の側面。引っかからないで!
イは手続きの公正さ、ウは機会の公正さ、エは結果の公正さです。すべて「公正」の観点であり、効率はムダの有無のみを見ます。
確認問題④
問4:クラスの席替えで、一部の生徒だけ
話し合いの場から外され、
ほかの人だけで決め方を決めてしまった。
これは公正のうちどの観点から問題?
- ア:手続きの公正さ
- イ:機会の公正さ
- ウ:結果の公正さ
- エ:効率のよさ
一部の生徒だけ話し合いの場から外して決め方を決めた——これは公正のどの観点の問題? ア.手続きの公正さ イ.機会の公正さ ウ.結果の公正さ エ.効率のよさ
問④の答え
答え:ア 手続きの公正さ
→ 決め方に全員が参加できていない。
- イ 機会:チャンスの有無(別の軸)
- ウ 結果:最終的な不利益の偏り(別の軸)
- エ 効率:そもそも公正の側面ではない
「決め方への参加が奪われた」=手続きの問題です。機会はチャンスの有無、結果は最終的な不利益の偏りの話です。
確認問題⑤
問5:ある部活で、新入部員の希望者全員に
体験入部のチャンスを保証する。
これは公正のどの観点に当てはまる?
- ア:手続きの公正さ
- イ:機会の公正さ
- ウ:結果の公正さ
- エ:効率のよさ
新入部員全員に体験入部のチャンスを保証する——これは公正のどの観点? ア.手続きの公正さ イ.機会の公正さ ウ.結果の公正さ エ.効率のよさ
問⑤の答え
答え:イ 機会の公正さ
→ 全員にチャンスを保証している。
- ア 手続き:決め方への参加(別の軸)
- ウ 結果:最終的な不利益の偏り(別の軸)
- エ 効率:公正の側面ではない
「チャンスを保証する」が機会の公正さのキーワードです。
確認問題⑥
問6:対立を防ぎ、合意を形にしたものを
社会の( )という。
校則や法律もこれに当たる。
→ ひらがな3字で答えよ。
- ヒント:
- 学校なら → 校則
- 部活なら → 部の取り決め
- 地域なら → ゴミ出しルール など
- これらをまとめた呼び名は?
対立を防ぎ、合意を形にしたものを社会の何という?
問⑥の答え
答え:きまり
対立 → 話し合い → 合意 → 「きまり」として形になる。
この順番をまるごと覚えておこう。
対立→話し合い→合意→きまりの流れで生まれます。
確認問題⑦
問7:状況が変わったり不都合が出てきたら、
ちゃんとした手続きを踏んで
社会のきまりを見直してよい。
→ ○か×か?
- 考えるヒント:
- 勝手に破るのは…?
- 話し合って改定するのは…?
- 状況の例:部員数の変化/新しい部/施設改修
「状況が変わったら手続きを踏んで社会のきまりを見直してよい」——○か×か?
問⑦の答え
答え:○
勝手に破るのは×。
でも、ちゃんと話し合って手続きを踏んで変えるのは○。
社会のきまりは、状況の変化に合わせて育っていく。
- ○ 話し合って手続きを踏んで改定する
- × 勝手に破る
- 例:時代に合わなくなった校則の改定 など
「手続きを踏む」ことが条件です。勝手に破るのは×ですが、正規の手続きで改定するのは適切なきまりとの向き合い方です。
まとめ
【今日のまとめ】
① 対立は望みのちがいから。話し合いで合意へ。
② 効率=むだの有無、公正=不利の有無。物差しは2本。
③ 公正は3つ:手続き/機会/結果。
④ きまり=合意を形に。状況が変われば見直してOK。
①**対立**は望みのちがいから生まれ、話し合いで**合意**へ至ります。②**効率**(ムダの有無)と**公正**(不利の有無)は別の物差しで、両方でバランスをとります。③公正は**手続き・機会・結果**の3観点。④**きまり**は合意を形にしたもので、手続きを踏めば見直せます。
よくある質問
多数決で決めたことは「合意」と言えますか?
多数決と合意は別です。少数派が納得していなければ合意とは呼べません。関係者全員が「納得した」と言える状態が合意の条件です。
効率と公正が同時に満たせないときはどうすればよいですか?
どちらか一方を完全に優先するのではなく、両方の視点でバランスをとることが重要です。効率だけでは不利な人が出る場合があり、公正だけを追うと決定に時間がかかりすぎることがあります。
社会のきまりは誰でも自由に変えられますか?
勝手に破ることは認められません。話し合いと正規の手続きを経て改定することが条件です。状況の変化に応じてきまりをアップデートしていくことは、社会のあるべき姿です。
この単元の授業
- Step 1a
- Step 1c(この記事)


