中学3年

中3数学|多項式の展開と因数分解【Step 3】

栞先生

中3 数学|多項式の展開と因数分解|Step 3

この記事でわかること

  • 因数分解では全項の共通因数を確かめ、残った式の形から公式を選びます。
  • 同じかっこは置き換え、4項の式は共通のかっこを作る組み方を探します。
  • 平方の差は数の計算や円形の道の面積にも使い、展開で答えを確かめられます。

※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。

栞先生
栞先生
因数分解では、まず全項の共通因数を探します。残った式が \(\displaystyle x^2+(a+b)x+ab\) なら和と積、\(\displaystyle x^2\pm2ax+a^2\) なら平方の形を確かめます。二つの平方の差 \(\displaystyle x^2-a^2\) は \(\displaystyle (x+a)(x-a)\) にできます。

学習マップ

この単元の位置づけです。

因数分解:最初にどこを見る?

x²−16=(x+4)(x−4)

 文字と式(中1)
  ↓
 式の計算(多項式の加減乗)(中2)
  ↓
 多項式の展開と因数分解(中3)
  ↓
 平方根(中3)
  ↓
 二次方程式(中3)
  ↓
 展開と因数分解(高1)

公式の確認

栞先生
栞先生
因数分解では、まず全項の共通因数を探します。残った式が \(\displaystyle x^2+(a+b)x+ab\) なら和と積、\(\displaystyle x^2\pm2ax+a^2\) なら平方の形を確かめます。二つの平方の差 \(\displaystyle x^2-a^2\) は \(\displaystyle (x+a)(x-a)\) にできます。
形乗法公式・因数分解の公式
和と積(x+a)(x+b)=x²+(a+b)x+ab
和の平方(x+a)²=x²+2ax+a²
差の平方(x−a)²=x²−2ax+a²
平方の差(x+a)(x−a)=x²−a²
共通因数各項に共通する因数をくくり出す

例題:平方の差

栞先生
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\(\displaystyle x^2-25\) の \(\displaystyle 25\) は \(\displaystyle 5^2\) です。したがって \(\displaystyle x^2-5^2=(x+5)(x-5)\)。二つの平方を引いているときに使える形であり、差をそのまま二乗する式とは区別します。

x²−a²=(x+a)(x−a)

x²−25
1. x²−25 (問題の式)
 ↓
2. x²−5² (25を5の平方と見る)
 ↓
3. (x+5)(x−5) (平方の差を適用)

共通因数と置き換え

栞先生
栞先生
\(\displaystyle 2(x+3)^2-8(x+3)+6\) は、先に \(\displaystyle 2\) をくくると \(\displaystyle 2\{(x+3)^2-4(x+3)+3\}\)。\(\displaystyle A=x+3\) と置けば \(\displaystyle 2(A^2-4A+3)=2(A-1)(A-3)\) です。最後に \(\displaystyle A\) を戻して \(\displaystyle 2x(x+2)\) まで整理します。

同じかっこが繰り返される式では、かっこ全体を置き換えられる。先に共通因数も探す。

2(x+3)²−8(x+3)+6
1. 2{(x+3)²−4(x+3)+3} (2をくくる)
 ↓
2. A=x+3 として 2(A²−4A+3) (繰り返す部分を置き換える)
 ↓
3. 2(A−1)(A−3) (和−4、積3の2数)
 ↓
4. 2(x+3−1)(x+3−3) (元に戻す)
 ↓
5. 2x(x+2) (各かっこを整理)

確認問題①

栞先生
栞先生
問題:\(\displaystyle 2(x+1)^2-10(x+1)+12\) を、これ以上分解できない積の形に因数分解してください。

2(x+1)²−10(x+1)+12 を因数分解しなさい。答えは、これ以上分解できない積の形で書きなさい。

確認問題①の解説

栞先生
栞先生
答え:\(\displaystyle 2(x-1)(x-2)\)。\(\displaystyle 2\) をくくり、\(\displaystyle A=x+1\) と置くと \(\displaystyle 2(A^2-5A+6)=2(A-2)(A-3)\) となり、元に戻せます。
共通因数から順に見る
1. 2{(x+1)²−5(x+1)+6} (2をくくる)
 ↓
2. A=x+1 として 2(A²−5A+6) (かっこを置き換える)
 ↓
3. 2(A−2)(A−3) (和−5、積6の2数)
 ↓
4. 2(x+1−2)(x+1−3) (元に戻す)
 ↓
5. 2(x−1)(x−2) (整理する)

× (x−1)(x−2):最初にくくった2が消えている。

答え:2(x−1)(x−2)

4項をグループに分ける

栞先生
栞先生
4項の式 \(\displaystyle xy+2x+3y+6\) は \(\displaystyle (xy+2x)+(3y+6)=x(y+2)+3(y+2)\) と分けられます。共通する \(\displaystyle (y+2)\) をくくると \(\displaystyle (x+3)(y+2)\)。どの分け方でもよいわけではなく、各組から同じかっこが現れる組み方を探します。

グループ化による因数分解:4項を2項ずつ分け、各組をくくり、共通のかっこをさらにくくる方法。

xy+2x+3y+6
1. (xy+2x)+(3y+6) (共通因数が現れる組に分ける)
 ↓
2. x(y+2)+3(y+2) (各組をくくる)
 ↓
3. (x+3)(y+2) (共通のかっこをくくる)

確認問題②

栞先生
栞先生
問題:\(\displaystyle 3xy+60+12x+15y\) を、これ以上分解できない積の形に因数分解してください。

3xy+60+12x+15y を因数分解し、これ以上分解できない積の形で答えなさい。

確認問題②の解説

栞先生
栞先生
答え:\(\displaystyle 3(x+5)(y+4)\)。項を並べ替えると \(\displaystyle 3x(y+4)+15(y+4)=(3x+15)(y+4)\) となり、残った \(\displaystyle 3\) もくくれます。
共通のかっこを作る
1. (3xy+12x)+(15y+60) (項を並べかえて分ける)
 ↓
2. 3x(y+4)+15(y+4) (各組をくくる)
 ↓
3. (3x+15)(y+4) (y+4をくくる)
 ↓
4. 3(x+5)(y+4) (残る3をくくる)

× (3x+15)(y+4)で止める:3x+15にも共通因数3がある。

答え:3(x+5)(y+4)

くくった後に形を見る

栞先生
栞先生
\(\displaystyle 3ax^2-6ax+3a\) の全項に共通するのは \(\displaystyle 3a\) です。最後の項に \(\displaystyle x\) はないため、\(\displaystyle x\) までくくれません。\(\displaystyle 3a(x^2-2x+1)\) としてから差の平方の形を見つけ、\(\displaystyle 3a(x-1)^2\) にします。

x²−2ax+a²=(x−a)²

3ax²−6ax+3a
1. 3a(x²−2x+1) (全項に共通する3aをくくる。xは最後の項にない)
 ↓
2. 3a(x−1)² (完全平方式を見つける)

確認問題③

栞先生
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問題:\(\displaystyle 2ax^2y-20axy+50ay\) を、これ以上分解できないところまで因数分解してください。

2ax²y−20axy+50ay を、これ以上分解できないところまで因数分解しなさい。

確認問題③の解説

栞先生
栞先生
答え:\(\displaystyle 2ay(x-5)^2\)。全項に共通する \(\displaystyle 2ay\) をくくると \(\displaystyle 2ay(x^2-10x+25)\) となり、かっこの中は差の平方です。
全項の共通部分を確認
1. 2ay(x²−10x+25) (共通因数は2ay。最後の項にxはない)
 ↓
2. 2ay(x−5)² (−10x=−2×5×x、25=5²)

× 2axyを共通因数にする:50ayにはxが含まれない。

答え:2ay(x−5)²

平方の差で計算を工夫

栞先生
栞先生
二つの平方の差なら、和と差の積に直して計算できます。\(\displaystyle 98^2-2^2=(98+2)(98-2)=100\times96=9600\)。二つの平方を別々に求めるより、積の一方が \(\displaystyle 100\) になることを生かせます。

x²−a²=(x+a)(x−a)

98²−2²
1. (98+2)(98−2) (平方の差を積にする)
 ↓
2. 100×96 (各かっこを計算)
 ↓
3. 9600 (積を計算)

確認問題④

栞先生
栞先生
問題:\(\displaystyle 103^2-3^2\) でそれぞれの二乗を直接計算せず、かけ算しやすい二つの整数の積の形を①に、計算結果を②に書いてください。

103²−3² を、そのまま2乗を計算せずにくふうして計算します。かけ算がしやすい2つの整数の積の形に直した式を①に、計算の結果を②に書きなさい。

確認問題④の解説

栞先生
栞先生
答え:① \(\displaystyle 106\times100\)、② \(\displaystyle 10600\)。\(\displaystyle 103^2-3^2=(103+3)(103-3)\) と、平方の差を和と差の積に直します。
平方の差から積へ
1. 103²−3² (問題の式)
 ↓
2. (103+3)(103−3) (平方の差の公式)
 ↓
3. 106×100 (かっこ内を計算)
 ↓
4. 10600 (積を計算)

× (103−3)²:平方の差は和と差の積に直す。

答え:① 106×100 ② 10600

展開してから式の値を求める

栞先生
栞先生
\(\displaystyle (x+3)^2-(x+1)(x-1)\) は、代入前に展開すると \(\displaystyle (x^2+6x+9)-(x^2-1)=6x+10\) です。後ろのかっこを引く際は各項の符号に注意します。\(\displaystyle x=2\) なら \(\displaystyle 6\times2+10=22\) です。
(x+3)²−(x+1)(x−1)、x=2
1. (x²+6x+9)−(x+1)(x−1) (最初のかっこを展開)
 ↓
2. (x²+6x+9)−(x²−1) (次の積を展開)
 ↓
3. x²+6x+9−x²+1 (引くかっこの符号を処理)
 ↓
4. 6x+10 (同類項を整理)
 ↓
5. 6×2+10 (式の値のためx=2を代入)
 ↓
6. 22 (計算)

確認問題⑤

栞先生
栞先生
問題:\(\displaystyle x=-2\) のとき、\(\displaystyle (x+2)(x-2)-(x-3)^2\) を展開して簡単にした式を①に、その値を②に書いてください。

x=−2 のとき、(x+2)(x−2)−(x−3)² の値を求めなさい。式を展開して簡単にした形を①に、その値を②に書きなさい。

確認問題⑤の解説

栞先生
栞先生
答え:① \(\displaystyle 6x-13\)、② \(\displaystyle -25\)。\(\displaystyle (x^2-4)-(x^2-6x+9)=6x-13\) と全項の符号を処理し、\(\displaystyle x=-2\) を代入します。
整理してから代入
1. (x²−4)−(x−3)² (前の積を展開)
 ↓
2. (x²−4)−(x²−6x+9) (後ろの平方を展開)
 ↓
3. x²−4−x²+6x−9 (引くかっこの符号を処理)
 ↓
4. 6x−13 (同類項を整理)
 ↓
5. 6×(−2)−13 (x=−2を代入)
 ↓
6. −25 (計算)

× x²−4−x²−6x+9:かっこを引くとき、各項の符号が変わる。

答え:① 6x−13 ② −25

図で道の面積を見る

栞先生
栞先生
円形の道を切り開いて伸ばす見方では、道の幅 \(\displaystyle a\) を縦、中心線の長さ \(\displaystyle \ell\) を横とする長方形として面積を捉えられます。この図の区切り方に沿うと、道の面積 \(\displaystyle S\) は幅と中心線の長さの積 \(\displaystyle S=a\ell\) です。
道を切り開くと縦a×横ℓの長方形 a S = aℓ 中心線 ℓ

円形の道を切り開いて伸ばす見方では、幅と中心線の長さが面積を表す手がかりになる。

道の面積を文字式で確かめる

栞先生
栞先生
中心線の半径を \(\displaystyle r\) とすると、外側と内側の半径は \(\displaystyle r+\frac{a}{2}\) と \(\displaystyle r-\frac{a}{2}\)。道の面積は \(\displaystyle S=\pi\{(r+\frac{a}{2})^2-(r-\frac{a}{2})^2\}=\pi(2r)\times a\) です。中心線の長さ \(\displaystyle \ell=2\pi r\) より、図で見た \(\displaystyle S=a\ell\) と一致します。
中心線の半径r、幅a
1. 外側の半径\(\displaystyle =r+\frac{a}{2}\)、内側の半径\(\displaystyle =r−\frac{a}{2}\) (中心線から幅の半分ずつ離れる)
 ↓
2. \(\displaystyle S=π(r+\frac{a}{2})²−π(r−\frac{a}{2})²\) (外側の円の面積から内側を引く)
 ↓
3. \(\displaystyle S=π{(r+\frac{a}{2})²−(r−\frac{a}{2})²}\) (πをくくる)
 ↓
4. S=π{(2r)×a} (平方の差を和と差の積にする)
 ↓
5. S=a×(2πr) (積の順を入れかえる)
 ↓
6. 中心線の長さℓ=2πr より、S=aℓ (中心線の長さを用いる)

倍数の説明を練習

栞先生
栞先生
\(\displaystyle n\) を整数とすると、連続する奇数の平方の差は \(\displaystyle (2n+1)^2-(2n-1)^2=\{(2n+1)+(2n-1)\}\{(2n+1)-(2n-1)\}=8n\)。整数と \(\displaystyle 8\) の積なので、\(\displaystyle 8\) の倍数です。二桁の数も、十の位を \(\displaystyle a\)、一の位を \(\displaystyle b\) として \(\displaystyle 10a+b\) と表せます。
連続する奇数の平方の差
1. (2n+1)²−(2n−1)² (nは整数)
 ↓
2. {(2n+1)+(2n−1)}{(2n+1)−(2n−1)} (平方の差を使う)
 ↓
3. 4n×2 (各かっこを整理)
 ↓
4. 8n (整数nを使って8の倍数と説明する)

位取り:十の位をa、一の位をbとした2桁の数は10a+b。位を入れかえた数は10b+a。

確認問題⑥

栞先生
栞先生
問題:二桁の自然数から十の位と一の位を入れ替えた数を引いた差が \(\displaystyle 9\) の倍数になり、両者の和が \(\displaystyle 11\) の倍数になることを、文字式で証明してください。

十の位の数と一の位の数からできる2桁の自然数があります。この数から、十の位と一の位を入れかえてできる数を引いた差が9の倍数になること、また、もとの数と入れかえた数の和が11の倍数になることを、文字式を使ってそれぞれ証明しなさい。

確認問題⑥の解説

栞先生
栞先生
答え:十の位 \(\displaystyle a\) を \(\displaystyle 1\) から \(\displaystyle 9\)、一の位 \(\displaystyle b\) を \(\displaystyle 0\) から \(\displaystyle 9\) の整数とすると、二つの数は \(\displaystyle 10a+b\) と \(\displaystyle 10b+a\)。差は \(\displaystyle 9(a-b)\)、和は \(\displaystyle 11(a+b)\) となり、\(\displaystyle a-b\) と \(\displaystyle a+b\) が整数なので、差は \(\displaystyle 9\) の倍数、和は \(\displaystyle 11\) の倍数です。
差と和を別々に示す
1. もとの数=10a+b、入れかえた数=10b+a (aは十の位、bは一の位)
 ↓
2. 差=(10a+b)−(10b+a)=9a−9b=9(a−b) (整理してくくる(9の倍数))
 ↓
3. 和=(10a+b)+(10b+a)=11a+11b=11(a+b) (整理してくくる(11の倍数))

別の見方:a−bが負でも 9(a−b) は 9 の倍数のまま。

答え:もとの数の十の位を a、一の位を b とすると、もとの数は 10a+b、入れかえた数は 10b+a と表せる。差は (10a+b)−(10b+a)=9a−9b=9(a−b) で、a−b は整数だから 9 の倍数である。和は (10a+b)+(10b+a)=11a+11b=11(a+b) で、a+b は整数だから 11 の倍数である。

よくある間違い

栞先生
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\(\displaystyle (x-3)^2\) を \(\displaystyle x^2-9\) とすると、真ん中の項を落としています。正しくは \(\displaystyle x^2-6x+9\)。また、\(\displaystyle 3ax^2-6ax+3a\) の最後の項には \(\displaystyle x\) がありません。全項を見て \(\displaystyle 3a\) をくくり、\(\displaystyle x^2-9\) は \(\displaystyle (x-3)^2\) ではなく \(\displaystyle (x+3)(x-3)\) と区別します。
よくあるミス正しい形
× (x−3)²=x²−9○ (x−3)²=x²−6x+9:真ん中の項もある。
× 3ax²−6ax+3a を x でくくる○ 最後の項にも共通する3aをくくる。
× x²−9=(x−3)²○ x²−9=(x+3)(x−3):平方の差を見る。

方針を選ぶための見直し

栞先生
栞先生
最初の一手に迷ったら全項の共通因数を確かめます。同じかっこが繰り返されれば置き換え、4項なら共通のかっこを作れる組み方も考えましょう。積の形まで整理した後は、展開して元の式に戻るか確かめられます。
  • 全項の共通因数を探す。
  • 繰り返すかっこは置き換え、4項ならグループ化も考える。
  • 最後は積の形を確認し、展開でも確かめられる。

よくある質問

置き換えて因数分解した後、外にくくった数はどうしますか?

置き換えた文字を元のかっこに戻し、最初にくくった数も積に残します。確認問題①なら \(\displaystyle 2(x-1)(x-2)\) です。

4項の式で、共通のかっこができてもまだ分解できますか?

残ったかっこの中にも共通因数がないか確かめます。確認問題②では \(\displaystyle (3x+15)(y+4)\) の \(\displaystyle 3\) をさらにくくれます。

かっこ全体を引くとき、どこまで符号を変えますか?

引くかっこの中の各項の符号を変えます。確認問題⑤では \(\displaystyle -(x^2-6x+9)=-x^2+6x-9\) です。

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解答・解説つきの演習プリント(別ページ)

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