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中3社会|人権と憲法【Step 1b】

栞先生

中3 社会|人権と憲法|Step 1b

この記事でわかること

  • 人権は「国家に何を求めるか」の方向性で自由権・平等権・社会権・参政権・請求権の4分類に整理できる
  • 自由権は精神・身体・経済活動の3種類に分かれ、「国家にやってもらう」社会権との混同が頻出ミスになる
  • 参政権は国家を「動かす」権利、請求権は「正す」権利と2語で区別できる
https://www.youtube.com/watch?v=w65b_Kp9j6E

※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。

栞先生
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5つの人権、名前は覚えたのにいざ問題になると混乱してしまうことはありませんか?

学習マップ

この単元の位置づけです。

『自由・平等・社会・参政・請求』——5つの人権、名前は覚えたけど、どれがどれだか頭の中でぐちゃっとなる、ってない?

整理の物差しは1本だけ。
『国家に何を求めるか』で分ける

 中2 現代
  ↓
 小6 日本国憲法
  ↓
 中3 現代社会
  ↓
▶ 中3 人権と憲法(今回はここ)
  ↓
 中3 選挙制度と政党
  ↓
 高1 日本国憲法と 基本的人権

5つのニュース場面で人権の違いを実感する

栞先生
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人権をニュースの場面に当てはめると、それぞれが国家に求めている内容の違いが見えてきます。

ある休日の朝刊・ニュースサイト。
5つの見出しが目にとまった。

  • ①警察に理由なく連行された男性、国を訴え
  • ②生活保護の支給額めぐり訴訟
  • ③出身国を理由に就職を断られた女性
  • ④18歳の若者、初めての投票
  • ⑤SNSで自分の宗教を自由に発信したい

全部『人権』。でも国家に求めることがバラバラ
→ この物差しを今日学ぶ

①理由なき連行に対して国を訴える男性、②生活保護の支給額をめぐる訴訟、③出身国を理由に就職を断られた女性、④18歳の初投票、⑤SNSで宗教を自由に発信したい——この5つはすべて「人権」の話ですが、国家への要求の方向がまったく異なります。「やめてほしい」「支えてほしい」「平等に扱ってほしい」「政治に関わりたい」「誤りを正してほしい」という方向の違いが、人権分類の軸になります。

4つの方向で人権を分類する

栞先生
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まず全体像を4方向で押さえると、5つの人権が頭に収まりやすくなります。

【ルール】
人権は『国家に何を求めるか』で4つに分かれる

基本的人権の分類 ― 国家との関係 基本的人権 国家にやめてもらう 干渉しないでほしい 自由権 国家に平等に扱ってもらう 差別なく扱ってほしい 平等権 国家にやってもらう 生活を支えてほしい 社会権 国家を動かす・正す 政治に関わる・誤りを正す 参政権・請求権

**基本的人権**は「国家に何を求めるか」で4方向に分類できます。①**自由権**:干渉をやめてほしい、②**平等権**:差別なく平等に扱ってほしい、③**社会権**:生活を支えてほしい、④**参政権・請求権**:国家を動かしたい・正したい。この方向をまず頭に置いてから各権利の中身を見ていくと、分類の迷いがなくなります。

平等権——「差別なく扱ってほしい」

栞先生
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「差別禁止」と聞くと漠然としますが、憲法には明確な根拠条文があります。

【平等権】法の下の平等(憲法14条)
→ 国家に『差別なく扱って』と求める権利

  • 人種・性別・社会的身分などによる差別を禁止
  • 全員が法のもとで等しく扱われる
  • (例)出身国で就職を断られた → 平等権の侵害

**平等権**の根拠は**憲法14条**(**法の下の平等**)です。人種・性別・社会的身分などを理由とする差別を禁止し、すべての人が法のもとで等しく扱われることを保障します。「出身国を理由に就職を断られた女性」はこの平等権が脅かされている場面です。

自由権——「国家の干渉をやめてほしい」

栞先生
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自由権の中に3種類があることを知らないと、選択問題で迷います。

【自由権】国家からの干渉を防ぐ
→ 精神・身体・経済活動の3分類

自由権 ― 3つの分類 いずれも「国家が口出ししない領域」 分類 中身 具体例 ① 精神の自由 心の中の領域 ・思想・良心の自由 ・信教の自由 ・表現の自由 ・学問の自由 SNSで自分の宗教を 自由に発信できる ② 身体の自由 からだの領域 ・奴隷的拘束からの自由 ・令状なしの逮捕の禁止 ・自白の強要の禁止 理由なく警察に 連行されない ③ 経済活動の自由 くらしの領域 ・居住・移転の自由 ・職業選択の自由 ・財産権 なりたい職業を 自分で選べる

**自由権**は「国家に干渉させない領域」を保障する権利で3つに分かれます。①**精神の自由**:思想・良心の自由、信教の自由、表現の自由、学問の自由(心の領域)。②**身体の自由**:正当な令状なしに逮捕されない、自白を強要されないなど(からだの領域)。③**経済活動の自由**:居住・移転の自由、職業選択の自由、財産権の保障(くらしの領域)。「SNSで宗教を発信したい」は精神の自由、「理由なく連行された」は身体の自由の事例です。

社会権——「国家に生活を支えてほしい」

栞先生
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自由権が「やめてほしい」なら、社会権はその真逆——国家に積極的に動いてもらう権利です。

【社会権】国家が制度をつくって保障する
(20世紀的人権)中心は生存権(憲法25条)

社会権 ― 4つの権利 国家が制度をつくって保障する権利 = 20世紀的人権 生存権 (憲法25条) 「健康で文化的な最低限度の生活」 → 生活保護制度 教育を受ける権利 (憲法26条) → 義務教育の無償化 勤労の権利 (憲法27条) → 働く場の保障 労働基本権 (憲法28条) 労働三権: 団結権 ・ 団体交渉権 ・ 団体行動権 いずれも「国家にやってもらう」権利

**社会権**の中心は**憲法25条**の**生存権**「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」です。これに**教育を受ける権利**(26条)、**勤労の権利**(27条)、**労働基本権**(28条・団結権・団体交渉権・団体行動権)が加わります。「憲法25条=生存権=社会権の中心」の3点はセットで覚えておきましょう。

参政権・請求権——「国家を動かす・正す」

栞先生
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参政権と請求権はよく似ていますが、国家への方向がひとつ違います。

【参政権】国家を『動かす』
【請求権】国家を『正す』

参政権と請求権 ― 国家を「動かす」「正す」権利 権利 どんな権利か 具体例 ①参政権 国家を 動かす 政治に参加して 国家を動かす権利 ・選挙権 ・被選挙権 ・最高裁判所裁判官の国民審査 ・憲法改正の国民投票 ②請求権 国家を 正す 国家の誤りや権利侵害を 正してもらう権利 ・裁判を受ける権利 ・国家賠償請求権 ・刑事補償請求権 参政権=動かす、請求権=正す

**参政権**は国家を「動かす」権利(選挙権・被選挙権・国民審査・国民投票)、**請求権**は国家の誤りを「正す」権利(裁判を受ける権利・国家賠償請求権・刑事補償請求権)です。「動かす=参政権、正す=請求権」の2語で区別できます。

自由権と社会権の混同に注意

栞先生
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「学ぶ」「働く」というテーマで覚えると、自由権と社会権を取り違えやすくなります。

❌ 自由権と社会権を混同しないで!
同じ場面でも、国家との関わり方で分類が違う

自由権(やめて)社会権(やって)
学問の自由 (自由に勉強する)教育を受ける権利 (学校・教科書を保障)
職業選択の自由 (仕事を選ぶ)労働基本権 (団結して交渉できる)

同じテーマでも国家への方向が逆になると分類が変わります。「学ぶ」では、自由に研究する→**学問の自由**(自由権・精神)、国に教育制度を整えてもらう→**教育を受ける権利**(社会権)。「働く」では、職業を自由に選ぶ→**職業選択の自由**(自由権・経済)、労働組合で国の制度保護を求める→**労働基本権**(社会権)。テーマではなく「国家に何を求めているか」の方向で判断することが重要です。

確認クイズ①

栞先生
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自由権の「精神の自由」にあてはまるものはどれですか?

問1: 次のうち、自由権の『精神の自由』にあてはまるものはどれですか。

  • ア: 理由なく警察に逮捕されない
  • イ: 自分の信じる宗教を自由に選べる
  • ウ: 病気のときに生活保護を受けられる
  • エ: 18歳になったら選挙で投票できる

ア:理由なく警察に逮捕されない イ:自分の信じる宗教を自由に選べる ウ:病気のときに生活保護を受けられる エ:18歳になったら選挙で投票できる

クイズ①の正解

栞先生
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**正解:イ**(信教の自由は精神の自由の代表例。アは身体の自由、ウは社会権の生存権、エは参政権。「自由権」だけで判断するとアも入るため、自由権内の3分類の区別が問われている)

正解: イ
『自分の信じる宗教を自由に選ぶ』=信教の自由=精神の自由

  • ア: 自由権だが『身体の自由』
  • イ: 精神の自由(信教の自由)⭕
  • ウ: 社会権(生存権)
  • エ: 参政権(選挙権)

確認クイズ②

栞先生
栞先生
憲法25条で「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」として保障されている権利の名称は?

問2: 憲法25条で『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』として保障されている権利を何というか。

  • ア: 表現の自由
  • イ: 法の下の平等
  • ウ: 生存権
  • エ: 選挙権

ア:表現の自由 イ:法の下の平等 ウ:生存権 エ:選挙権

クイズ②の正解

栞先生
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**正解:ウ(生存権)**(「憲法25条=生存権=社会権の中心」の3点をセットで覚えることで、条文番号から直接答えが導ける)

正解: ウ
憲法25条=生存権=社会権の中心

  • ア: 自由権(精神の自由)
  • イ: 平等権
  • ウ: 社会権(生存権)⭕
  • エ: 参政権

確認クイズ③

栞先生
栞先生
「人種・性別・社会的身分などによる差別を禁止し、すべての人が法のもとで等しく扱われる」権利は何ですか?

問3: 『人種・性別・社会的身分などによる差別を禁止し、すべての人が法のもとで等しく扱われる』権利を何というか。

  • ア: 自由権
  • イ: 平等権
  • ウ: 社会権
  • エ: 参政権

ア:自由権 イ:平等権 ウ:社会権 エ:参政権

クイズ③の正解

栞先生
栞先生
**正解:イ(平等権)**(差別禁止・法の下の平等という定義文が出たら平等権と即判断できる。選択肢を読まずとも方向で絞り込める)

正解: イ
差別を禁止=法の下の平等=平等権

  • ア: 国家からの干渉を防ぐ権利
  • イ: 差別禁止=平等権⭕
  • ウ: 国家にやってもらう権利
  • エ: 政治に参加する権利

確認クイズ④

栞先生
栞先生
自由権のうち「身体の自由」にあてはまるものを選んでください。

問4: 自由権のうち『身体の自由』にあてはまるものを次から1つ選びなさい。

  • ア: 好きな学問を自由に研究できる
  • イ: 自分のなりたい職業を自由に選べる
  • ウ: 令状なしに逮捕されない
  • エ: 学校で教育を受けられる

ア:好きな学問を自由に研究できる イ:なりたい職業を自由に選べる ウ:令状なしに逮捕されない エ:学校で教育を受けられる

クイズ④の正解

栞先生
栞先生
**正解:ウ**(アは精神の自由、イは経済活動の自由、エは社会権の教育を受ける権利——自由権3分類と社会権の境界が1問にまとまった典型問題)

正解: ウ
『令状なしに逮捕されない』=身体の自由

  • ア: 精神の自由(学問の自由)
  • イ: 経済活動の自由(職業選択)
  • ウ: 身体の自由⭕
  • エ: 社会権(教育を受ける権利)

確認クイズ⑤

栞先生
栞先生
労働組合を作って雇い主と対等に交渉したり、ストライキを行ったりできる権利はどの人権に分類されますか?

問5: 労働組合を作って雇い主と対等に交渉したり、ストライキを行ったりできる権利は、どの権利に分類されるか。

  • ア: 自由権
  • イ: 平等権
  • ウ: 社会権
  • エ: 参政権

ア:自由権 イ:平等権 ウ:社会権 エ:参政権

クイズ⑤の正解

栞先生
栞先生
**正解:ウ(社会権)**(「職業選択の自由=自由権」と混同しやすいが、労働基本権は「国家に制度で守ってもらう」方向であるため社会権に分類される)

正解: ウ
労働基本権=社会権!
(『働く自由』=自由権とは別物)

  • ア: 職業選択の自由は自由権だが、これは違う
  • イ: 差別禁止の話ではない
  • ウ: 労働基本権は社会権⭕
  • エ: 政治参加ではない

確認クイズ⑥

栞先生
栞先生
「裁判を受ける権利」「国家賠償請求権」など、国の誤りや権利侵害を正してもらうための権利は何ですか?

問6: 国の誤りや権利侵害を裁判で正してもらうための『裁判を受ける権利』『国家賠償請求権』をまとめて何というか。

  • ア: 自由権
  • イ: 平等権
  • ウ: 参政権
  • エ: 請求権

ア:自由権 イ:平等権 ウ:参政権 エ:請求権

クイズ⑥の正解

栞先生
栞先生
**正解:エ(請求権)**(ウの参政権を選びやすいが「政治に関わって動かす」と「権利侵害を正してもらう」は別物——「動かす=参政権、正す=請求権」の2語で区別する)

正解: エ
国家の誤りを『正してもらう』=請求権

  • ア: 国家の干渉を防ぐ権利
  • イ: 差別禁止
  • ウ: 国家を『動かす』権利
  • エ: 国家を『正す』権利⭕

まとめ:4方向で人権を整理する

栞先生
栞先生
今日の物差しは1本——「国家に何を求めるか」です。

【今日のまとめ】
人権は『国家に何を求めるか』で4分類

  • 自由権 = やめて(介入しないで)
  • 平等権 = 差別なく扱って
  • 社会権 = やって(生活を支えて)
  • 参政権・請求権 = 動かす/正す

自己点検: 4つの軸を自分の言葉で言えたら今日はOK

自由権は「やめて(干渉しないで)」、平等権は「差別なく扱って」、社会権は「やって(支えて)」、参政権は「動かす」、請求権は「正す」。この方向性を自分の言葉で言えるようになれば、どんな問題でも分類を迷わず答えられます。次の単元の記事では、公共の福祉・新しい人権・国民の三大義務を扱います。

よくある質問

自由権と社会権はどう区別すればよいですか?

「国家に何を求めているか」の方向で判断します。「国家に干渉させない・やめてほしい」なら自由権、「国家に積極的に動いてもらいたい・制度を整えてほしい」なら社会権です。同じ「学ぶ」「働く」テーマでも方向が逆になれば分類が変わります。

参政権と請求権はどう違いますか?

参政権は国家を「動かす」権利(選挙権・被選挙権など)、請求権は国家の誤りを「正してもらう」権利(裁判を受ける権利・国家賠償請求権など)です。「動かす=参政権、正す=請求権」の2語で覚えると混同を防げます。

社会権が「20世紀的人権」と呼ばれる理由は何ですか?

かつての人権は「国家から干渉されない自由権」が中心でしたが、19〜20世紀に「自由だけでは生活困窮者を救えない」という考えが広まり、国家に積極的な支援を求める社会権が登場したためです。

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解答・解説つきの演習プリント(別ページ)

この単元の授業

  • Step 1a(準備中)
  • Step 1b(この記事)
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続けて、上の練習問題や前後の単元でどんどん力をつけよう。(動画への質問はYouTubeのコメント欄でもどうぞ)
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