凸レンズの作図のやり方 3本の光の決まりを覚えて、2本で実像の位置・大きさ・向きを求める
※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。
この記事でわかること
- 凸レンズを通る光の進み方の決まり3つと、作図でのかき方の約束
- 2本の光をかいて、スクリーンに映る像(実像)の位置・大きさ・向きを求める方法
- 実像は、物体とスクリーンの両方を同じ側(同じ向き)から見ると、上下も左右も逆、つまり180°回した形に見えること
凸レンズと「像」
虫めがねのように、まん中がふくらんだレンズを凸レンズといいます。
凸レンズを使うと、物の姿をスクリーンに映すことができます。このように、光が作る物の姿を像といいます。
光る物体、凸レンズ、スクリーンを一直線に並べたとします。スクリーンをどこに置けば像が映るでしょうか。像はどんな大きさで、どちら向きに映るでしょうか。
実際にやってみないと分からない気がします。でも本当は、紙の上に線を何本か引くだけで分かります。この記事では、凸レンズを通る光の進み方の決まりを3つ覚えて、それを使って像を作図で求めるところまで進みます。
光軸・焦点・焦点距離
凸レンズを真横から見ると、下の図のような形をしています。レンズの中心を通り、レンズに垂直な直線を光軸といいます。光の進み方は、この光軸を基準にして考えます。
光は、空気とガラスの境目の面に斜めに当たると折れ曲がり、垂直に当たるとまっすぐ進みます。この折れ曲がりを屈折といいます(前の回で学んだことです)。レンズの表面は丸く曲がっています。そのため、光軸から離れた所に光軸と平行に入ってきた光は、表面に斜めに当たって曲がります。
では、光はどちらに曲がるのでしょうか。虫めがねを太陽に向けて、下に置いた紙を上下に動かしてみます。すると、光が小さくて明るい点に集まる所が見つかります。太陽はとても遠くにあるので、届く光はほぼ平行です。つまり、凸レンズに平行な光を当てると、光は1点に集まります。
⚠ 凸レンズを通して、太陽などの明るい光源を絶対に見てはいけません。 目をいためてしまいます。
⚠ 光が集まった点はとても熱くなります。人の体や燃えやすい物に当てないでください。 家でためすときは、必ず大人といっしょにやりましょう。
光軸に平行な光を3本、レンズの上のほう、光軸の上、下のほうに当ててみます。レンズを出たあと、それぞれどちらへ進むでしょうか。ヒントは「1点に集まる」です。
結果は次のようになります。
- 上のほうに当たった光は、下向きに曲がる
- 下のほうに当たった光は、上向きに曲がる
- 光軸にそって進んだ光は、まっすぐ進む
そして3本とも、光軸の上の同じ1点を通ります。この点を焦点といいます。レンズの中心から焦点までの距離を焦点距離といいます。
レンズの反対側から光を当てても、レンズから同じ距離の所に焦点ができます。つまり、焦点はレンズの両側に1つずつ、レンズから同じ距離の所にあります。図では、焦点を F と書きます。
作図の約束:レンズの中心の線で1回だけ曲げる
本当は、光はレンズに入るときと出るときの2回曲がっています。でも作図では、この2回をまとめて、レンズの中心を通る縦の線のところで1回だけ曲げてかきます。そのため、凸レンズの図では、この中心の縦の線を太くかきます。
下の図では、光軸に平行に入ってきた同じ1本の光を、2通りにかいています。
- うすい色の線:本当の光の道すじ(レンズの表面で2回曲がる)
- 太い色の線:作図の線(中心の縦の線で1回だけ曲がる)
2本の線の行き先を比べてみましょう。どちらも同じ焦点 F を通っています。曲げ方をまとめても、光が行き着く点は変わりません。そのうえ、図がすっきりします。
凸レンズを通る3本の光
この約束を使って、凸レンズを通る光の決まりを3つ覚えましょう。
① 光軸に平行な光 → 反対側の焦点を通る
光軸に平行に入った光は、レンズの中心の線で曲がって、反対側の焦点を通ります。さきほど見た、焦点ができるときの光の進み方そのものです。
② レンズの中心を通る光 → まっすぐ進む
中心を通る光も、本当は入るときと出るときに曲がっています。ただ、レンズのまん中は、表と裏の面がほとんど平行になっています。
厚いガラスの板に斜めに入った光は、入るときと出るときに、逆向きに同じだけ曲がります。そのため、光はもとの向きにもどります。レンズのまん中でも同じことが起きていて、2回の曲がりが打ち消し合い、光はもとの向きのまま進みます。レンズはうすいので、横へのずれもほとんどありません。
だから作図では、中心を通る光は曲げずに、まっすぐかきます。
③ 手前の焦点を通る光 → 光軸に平行に進む
今度は、左の焦点の位置に小さな電球を置いてみます。電球から出てレンズに向かった光は、レンズを出たあと、どう進むでしょうか。
①の図(平行な光が右の焦点を通る図)の矢印を、逆向きにたどってみてください。それが予想の手がかりになります。
結果は、焦点から広がってレンズに当たった光が、レンズの中心の線で曲がって、どれも光軸に平行に進みました。
ここでいう「手前」とは、光が来る側、つまり物体のある側のことです。
①と③は「行き」と「帰り」
- ①:平行に入って、焦点を通る
- ③:焦点を通って入って、平行に出る
ちょうど行きと帰りの関係になっています。セットで覚えると忘れにくくなります。
問1 3本の光をかいてみよう
3本の光の決まりを使ってみましょう。
問1 物体の先端 P から出た光ア・イ・ウが、凸レンズを通ったあとの道すじをかき入れなさい。
- ア:光軸に平行にレンズに向かう光
- イ:レンズの中心に向かう光
- ウ:手前の焦点を通ってレンズに向かう光
図では、物体(上向きの矢印)が左側に立っていて、その先端が P です。P から出た3本の光ア・イ・ウが、レンズの中心の線までかかれています。レンズの右側には、まだ線がありません。続きをかくときは、レンズの中心の線で曲げることを忘れないようにしましょう。
答え
- ア:中心の線で曲がり、反対側(右)の焦点を通る
- イ:曲がらずにまっすぐ進む
- ウ:中心の線で曲がり、光軸に平行に進む
アとウは「行き」と「帰り」の関係
曲げるのは、いつもレンズの中心の線
1本ずつ確かめよう
ア(光軸に平行な光)
レンズの中心の線で曲がって、反対側(右)の焦点を通ります。光は焦点を通ったあとも同じ向きにまっすぐ進むので、線は焦点の先までのばしておきます。
左の焦点に向けてしまった人は、焦点が両側にあることを覚えていたということです。そこはまちがっていません。ただ、使うのは「反対側の焦点」です。平行な光は、レンズを通りぬけた先で集まります。
イ(レンズの中心に向かう光)
曲がりません。P から中心までの線を、定規でそのまま右へのばします。
ウ(手前の焦点を通る光)
左の焦点を通ってきた光なので、レンズの中心の線で曲がって、光軸に平行に右へ進みます。
アとウは、「平行に入って焦点を通る」と「焦点を通って入って平行に出る」という、行きと帰りの関係です。
曲げる場所に注意
レンズのふくらんだ表面で光を曲げた人もいるかもしれません。本当の光は表面で曲がるので、その考え方は本物の光に近いものです。ただ、作図では中心の線で1回だけ曲げる約束でした。表面で曲げると、線の位置がずれてしまいます。
3本は1点で交わる
かき終えたら、レンズの右側を見てください。3本の線が1つの点で交わっていれば、正しくかけています。この交わった点には、大事な意味があります。
像の見つけ方:2本の光が交わる点
物体の先端 P からは、いろいろな向きに光が出ています。P から出てレンズを通った光は、問1で3本の線が交わった点にすべて集まります。光が集まった所にスクリーンを置くと、P が明るい点として映ります。
物体のほかの点も同じです。1つの点から出た光は、レンズを通ったあと、また1つの点に集まります。こうして、物体の形がスクリーンの上にできあがります。これが像です。光が実際に集まってできる像なので、実像といいます。実像は、スクリーンを置くと映ります。
ただし、これは物体が焦点より外(焦点よりもレンズから遠い所)にあるときの話です。この記事で物体の像を作図する図(問1の図、この節の図、問2の図)は、どれもそうなっています。物体が焦点の上や、焦点より内側にあるときにどうなるかは、次の回で調べます。
作図のしかた(物体が焦点より外にあるとき)
- 物体の先端から2本の光をかく(①光軸に平行な光 ②中心を通る光)
- 2本が交わった点が、像の先端
- 物体の根もとが光軸の上なら、像の根もとも光軸の上(像の先端の真上か真下)
3本全部かく必要はありません。2本の線が交われば、点は1つに決まるからです。かきやすいのは、光軸に平行な光と中心を通る光の2本です。3本目は、確かめに使えます。
物体の根もとが光軸の上にあるとき、根もとから光軸にそって進む光は、曲がらずに光軸の上を進みます。だから、像の根もとも光軸の上にできます。
読みとる3つのこと
- 位置:レンズから何マスか
- 大きさ:光軸から像の先端まで何マスか
- 向き:上向きか、下向きか
問2 像の位置・大きさ・向きを求めよう
問2 物体 AB の像を作図し、像の位置・大きさ・向きを答えなさい。
- 焦点 F:レンズの左右それぞれ2マス
- 物体 AB:レンズの左6マス、高さ2マス(B は光軸の上)
方眼の図で、レンズの中心の縦の線と光軸が交わる所が、レンズの中心です。焦点 F はレンズの左右それぞれ2マスの所にあります。物体 AB はレンズの左6マスに立つ矢印で、根もとの B は光軸の上、先端の A は光軸から上へ2マスです。ノートに写すときは、マスの数をそのまま数えましょう。どんな向きの像になるか、先に予想してからかいてみるのもおすすめです。
答え
- 位置:レンズの右3マス
- 大きさ:1マス(物体の半分)
- 向き:下向き(物体と逆)→ 実像
1本目 平行な光:上へ2マスの所で曲がる → 右の焦点(右2マス)→ 右3マスで下へ1マス
2本目 中心を通る光:右へ3マス進むごとに下へ1マス → 右3マスで下へ1マス
確かめ 左の焦点を通る光:レンズで下へ1マスの所 → 光軸に平行 → A′ を通る
光が中心で光軸を横切る → 上下が逆になる
1本目:光軸に平行な光
A から光軸に平行に進む光は、レンズの中心の線に、光軸から上へ2マスの所で当たります。そこで曲がって、右の焦点(レンズの右2マス・光軸の上)を通ります。
右へ2マス進む間に、2マス下がったことになります。同じ傾きのまま進むので、さらに右へ1マス進むと、レンズの右3マス・光軸から下へ1マスの所に来ます。
2本目:中心を通る光
A はレンズの左6マス・上へ2マスの所にあります。中心までは、右へ6マス進む間に2マス下がります。つまり、右へ3マス進むごとに1マス下がる傾きです。
この光はまっすぐ進むので、レンズの右へ3マス進むと、光軸から下へ1マスの所に来ます。
2本が交わる点が像の先端
2本とも、レンズの右3マス・下へ1マスの点を通ります。ここで交わるので、この点が像の先端 A′ です。根もとの B は光軸の上にあるので、像の根もと B′ も光軸の上、レンズの右3マスにできます。
読みとると、次のようになります。
- 位置:レンズの右3マス
- 大きさ:光軸から下へ1マスなので1マス。物体(2マス)の半分
- 向き:物体は上向き、像は下向き(物体と逆)
ここには光が実際に集まっているので、レンズの右3マスの所にスクリーンを置けば像が映ります。つまり実像です。
3本目で確かめる
A から左の焦点(レンズの左2マス)を通る光は、右へ4マス進む間に2マス下がります。だから、レンズの中心の線には、光軸から下へ1マスの所で当たります。そこから光軸に平行に進むので、やはり A′ を通ります。
なぜ下向きになるの?
中心を通る光を見ると分かります。物体の上にある先端から出た光は、レンズの中心で光軸を横切って、下へ進みます。だから像の先端は光軸の下にでき、上下が逆になります。
2本が交わらなかったら
平行な光をどこで曲げたかを見直しましょう。レンズの中心の線で曲げて、右の焦点を通しているかを確かめれば大丈夫です。
実像の左右はどうなる?
実像は上下が逆になりました。では、左右はどうなるでしょうか。
ここまでの図は、レンズを真横から見た図でした。だから上下のことが分かりました。左右を考えるには、同じ装置を真上から見た図を考えます。真上から見ても、「レンズの中心を通る光はまっすぐ進む」という決まりは同じです。
もう1つ大事なことがあります。左右は、どちら側から見るかで入れかわります。向かい合った人の右手は、自分から見ると左側にあります。だから物体と像の向きを比べるときは、2つを同じ側から見て比べます。
問3 スクリーンの「F」はどう見える?
問3 光る「F」の板の実像を、半透明のスクリーンに映した。
- あなたはスクリーンのうしろ(レンズと反対側)から、レンズのほうを向いて見る
- 物体を、あなたと同じ向きから見ると「F」
スクリーンの像はどう見える?
ア「F」 イ 上下だけ逆 ウ 左右だけ逆 エ 180°回した形
図は横から見たものなので、板は縦の細い線でかかれています。板は、見ている人と同じ向き(レンズのある側)から見ると「F」の形に見えます。見ている人はスクリーンのうしろ(レンズと反対側)に立ち、レンズのほうを向いています。物体とスクリーンを、同じ側から見ていることになります。
紙に「F」を書いて、動かしながら考えてもかまいません。
答え エ(180°回した形)
- 上下:逆(横から見た図)
- 左右:逆(真上から見た図)
- 上下も左右も逆 = 180°回した形
ア → 光が中心で交差することを入れ忘れ
イ → 左右の入れかわりを入れ忘れ
ウ → 上下の入れかわりを入れ忘れ
※ 物体とスクリーンを同じ側から見たときの話
→ 向きの問題では「どちら側から見ているか」をまず確かめる
上下と左右を分けて考える
上下は、問2と同じく逆になります。物体の上の端から出て中心を通る光は、光軸を横切って、スクリーンの下の側に届きます。
左右は、真上から見た図で考えます。見ている人から見て、物体の右の端から出た光は、レンズの中心で交差して、スクリーンの左の側に届きます。左の端から出た光は、スクリーンの右の側に届きます。横から見たときと同じことが起こるので、左右も逆になります。
上下も左右も逆になるということは、180°回した形と同じです。
まちがえた人へ
- アを選んだ人:像が物体と同じ向きで映ると考えたのかもしれません。そう思うのは自然です。でも、光はレンズの中心で交差するので、向きは変わります。
- イを選んだ人:横から見た図(上下)はしっかり使えています。ただ、光は中心で交差するので、上下と同じように左右も入れかわります。
- ウを選んだ人:左右の入れかわりには気づけています。そこに、上下の入れかわりを入れ忘れていました。
手を動かして確かめよう
向きの問題は、頭の中だけで考えるとかなりこんがらがります。手を動かすのがいちばん確実です。
紙に「F」を書いて、180°くるっと回してみてください。上の端が下へ、右の端が左へ行きます。縦の棒が右に来て、横の棒は左向きになり、長い横棒が下になります。これが選択肢エの形です。
注意:どちら側から見ているか
これは、物体とスクリーンを同じ側から見たときの話です。スクリーンを反対側(レンズのある側)から見ると、見え方が変わります。向きを問う問題では、どちら側から見ているかをまず確かめましょう。
まとめ
- 凸レンズを通る3本の光
- 光軸に平行な光 → 反対側の焦点を通る
- レンズの中心を通る光 → まっすぐ進む
- 手前(物体の側)の焦点を通る光 → 光軸に平行に進む
- 作図では、レンズの中心の線で1回だけ曲げてかく
- 物体が焦点より外にあるとき、像の先端は、物体の先端から出た2本の光が交わる点
- 実像は、光が実際に集まってできる像で、スクリーンに映る。物体とスクリーンの両方を同じ側(同じ向き)から見ると、上下も左右も逆(180°回した形)
自分で3本の光をかいて、像の位置・大きさ・向きを答えられたら、この回の内容は身についています。ページの下のプリントと練習問題で、もう一度手を動かしてみましょう。
次の回では、物体をレンズに近づけたり遠ざけたりすると、像がどう変わるかを調べます。物体が焦点の上や内側に来たときのことも、そこで考えます。
よくある質問
Q. 像を作図するとき、3本の光を全部かかないといけませんか?
A. 2本で大丈夫です。2本の線が交われば、点は1つに決まるからです。かきやすいのは「光軸に平行な光」と「中心を通る光」の2本です。3本目(手前の焦点を通る光)は、答えが合っているかの確かめに使えます。
Q. 本当の光はレンズの表面で曲がるのに、なぜ中心の線で曲げてかくのですか?
A. 作図の約束です。入るときと出るときの2回の曲がりをまとめて、中心の線で1回だけ曲げてかきます。こうしても光が行き着く点は変わらず、図がすっきりします。表面で曲げてかくと、線の位置がずれてしまうので注意しましょう。
Q. 物体が焦点より近い所にあるときも、同じやり方で像が求められますか?
A. この回で学んだのは、物体が焦点より外(焦点よりレンズから遠い所)にあるときです。物体が焦点の上や焦点より内側にあるときにどうなるかは、次の回で調べます。
解答・解説つきの演習プリント(別ページ)
この単元の授業
- Step 1a
- Step 1c(この記事)
- Step 2(準備中)




