反射・屈折の入試問題の基礎:どちらが空気かの見分け方、光が3本の図の角、鏡に映って見える物
※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。
この記事でわかること
- 図を見て、反射か屈折か、光が空気へ入るのか出るのか(どちらが空気か)、面に垂直に当たるのか(丸い面でも)を、自分で見分けられる
- 反射と屈折が同時に起きて光が3本ある図でも、入射角・反射角・屈折角を正しく選んで角度を出せる
- 短い鏡に何が映って見えるかを、「像と目を結ぶ直線が鏡の上を通るか」で決められる
この記事で練習すること
入試の図には、「どちらが空気か」「光が曲がるかどうか」が書いていないことがよくあります。この記事では、それを図から自分で見分けて答える考え方を、3つの問題の解き方を読みながら身につけます。
この記事では、問いのすぐ下に答えと解き方が続いています。読めば解き方が分かるように書いてあります。自分で解いてから読みたい人は、先にページの下にあるプリントで解いてください。プリントのはじめのページに、問1〜問3が書きこむ場所つきで載っています。
この記事は、光の反射と屈折の言葉と決まりを、ひととおり学んだ人に向けています。「入射角」「反射角」「屈折角」「全反射」といった言葉がまだあやしい人は、このシリーズの前の基礎の回「1a 光の直進と反射」と「1b 光の屈折と全反射」を先に見ておくと安心です(どちらの回にも、授業動画と、そのページの解説記事があります)。
まず、問題で使う決まりを短くふり返ってから、問1〜問3に進みます。
ふり返り① 角は「面に垂直な線」から測る
入射角も反射角も、鏡の面から測るのではありません。面に垂直な線から測ります。図では、この線を点線でかきます。
そして、入射角と反射角は等しくなります。これが反射の法則です。
気をつけたいのは、問題に「鏡の面との角が○度」と書いてあるときです。この図で「面との角」と書いてある角です。これは入射角ではありません。
面と点線のあいだは 90° です(図の直角の印)。だから、
入射角 = 90° −(面との角)
で求めます。
ふり返り② 鏡の像と、光が反射する点
像は、鏡をはさんで物体と反対側の、鏡から同じ距離の所にできます。
目は、届いた光を「まっすぐ進んできた」と感じます。だから目には、光が像のほうからまっすぐ来たように見えます。
ということは、像と目を直線で結ぶと、その線が鏡と交わる点で光は反射しています。この点が分かれば、あとは「物体からその点へ」「その点から目へ」と線を引くだけで、光の道すじになります。
この図では、物体と像を点線で結んで、鏡から同じ距離にあることを示しています。像と目を結ぶ直線が鏡と交わる点が、光が反射する点です。物体からその点へ、その点から目へと進む線が、光の道すじになります。この考え方は問3で使います。
ふり返り③ 屈折と全反射
光が、透明な物(水やガラス)と空気の境目(境界)を通りぬけるとき、光は向きを変えます。これが屈折です。屈折角も、面に垂直な線(点線)から測ります。
曲がり方は「空気側の角が大きい」
屈折の曲がり方は、ひとことでまとめられます。
空気側の角が大きい
- 空気 → 水・ガラスへ入るとき:空気側の角は入射角。だから 入射角 > 屈折角
- 水・ガラス → 空気へ出るとき:空気側の角は屈折角。だから 入射角 < 屈折角
上の図は、空気から水へ入る光です。空気側の角(入射角)が大きくなっています。
こちらは、水から空気へ出る光です。この場合も、大きいのは空気側の角(屈折角)です。
また、境界では、光の一部がいつもはね返っています。屈折して進む光と、反射する光が同時にあります。上の2つの図で、境界ではね返る光を細い線でかいてあるのはそのためです。
面に垂直に当たる光は曲がらない
面に垂直に当たる光は、入射角が 0° なので曲がりません。
面が丸いときは、光が当たる点で、面に垂直な線を考えます。円の形をした面なら、円の中心へ向かう線(半径)が、どこでも円周に垂直になります。
全反射の条件は2つ
- 水やガラスから空気へ進む光であること
- 入射角が大きいこと
この2つがそろうと、光は空気中へ出られず、全部はね返ります。これが全反射です。
図を見たら確かめる3つ
入試の図は、どの決まりを使う場面なのかまでは教えてくれません。そこで、図を見たら、次の3つを順に確かめます。
- 鏡か、透明な物か(反射を考えるのか、屈折を考えるのか)
- 空気から入るのか、空気へ出るのか(空気側の角が大きい)
- 面に垂直か(垂直なら曲がらない)
この3つを使って、問1から解いていきます。
問1 どちらが空気? 光は曲がる?
問1
(1) 図1:空気は上?下? 理由も
(2) 図1の光で入射角を大きくしていくと、全反射は起こる? 理由も
(3) 図2:曲面に当たったあとの道すじは?(ア〜エ)
図1は、空気とガラスの境界で、光が曲がって進むようすです。上と下のどちらが空気なのかは書いてありません。点線との角は、上側が 30°、下側が 49° です。
図2は半円形ガラスで、平らな面が上、曲面が下です。左下の空気中から当てた光は、平らな面の中心 O のほうを向いています。この光の向きと、O を通り平らな面に垂直な線(O を通る点線)とのあいだの角が 30° です。光のそばにある細い縦の線は、O を通る点線と平行な線で、この 30° を示すためにかいてあります。
自分で考えたい人は、ここで3つの確かめを1つずつ当てはめてから、続きを読んでください。
問1 答え
(1) 下 ← 点線との角は下(49°)>上(30°)。空気側の角が大きい
→ この光は「ガラス → 空気」へ出る光
(2) ある ← ガラス → 空気へ進む光なので、入射角が大きくなれば全反射が起こる
(3) イ
- O へ向かう光は円の中心へ向かう線なので、曲面に垂直に当たる → 曲がらない
- O ではガラス → 空気なので、30° より大きい向きに出る
答えを決めた確かめ:図1は2つめ(入るか出るか)、図2は3つめ(垂直か)
(1) 空気は「下」
図1では、光が境界を通りぬけて曲がっています。1つめの確かめで、反射ではなく屈折だと分かります。この問いで大事なのは2つめの確かめ、「どちらが空気か」です。
ここでは、決まりを逆向きに使います。「空気側の角が大きい」のだから、点線との角が大きい側が空気です。
上の角は 30°、下の角は 49° で、大きいのは下です。だから空気は下。つまりこの光は、上のガラスから、下の空気へ出ていく光です。上の図では、小さい 30° の側に「ガラス」、大きい 49° の側に「空気」と書き入れてあります。
理由は、角の大きさを使って「下の角のほうが大きく、空気側の角が大きくなるから」と書きます。
「光が上から来ているから、上が空気」と考えた人もいるかもしれません。光はいつも空気中から来るような気がするので、そう考えるのは自然です。でも、光はガラスや水の中から来ることもあります。光の来る向きではなく、角の大きさで決めましょう。 角の大きさを使っていない理由は、正解になりません。
(2) 全反射は「ある」
(2) は (1) の続きです。全反射の条件は、「水やガラスから空気へ進む光であること」と「入射角が大きいこと」の2つでした。
(1) で、この光はガラスから空気へ出る光だと分かりました。だから、1つめの条件はもうそろっています。入射角を大きくすれば2つめもそろうので、全反射が起こります。
理由には「ガラスから空気へ進む光だから」を入れます。
「起こらない」と答えた人は、(1) で上を空気と見てしまったのかもしれません。または、全反射が起こる向き(水・ガラス → 空気)を逆に覚えていないか、確かめておきましょう。(1) と (2) は、続けて判断する問いです。
(3) 答えは「イ」
ここで答えを決めるのは、3つめの確かめ「面に垂直か」です。
光は、平らな面の中心 O のほうを向いています。O は半円の中心なので、この光は「円の中心へ向かう線」の上を進んでいます。円の中心へ向かう線は、円周に垂直でした。上の図で、光が曲面に当たる点に直角の印がついているのはそのためです。だから光は曲面に垂直に当たって、曲がらずにまっすぐ O まで届きます。
向きが変わらないので、O に当たるときも、光は O を通る点線と 30° の角をつくっています。つまり、O での入射角は 30° です。
O では、光はガラスから空気へ出ます。空気側の角が大きくなるので、空気中で点線とつくる角は、この 30° より大きくなります。だから答えはイです。
まちがえやすい答えも確かめておきましょう。
- ア:曲面で光を曲げてしまった答えです。円の中心へ向かう光は、曲面では曲がりません。
- ウ:O で曲がる向きを逆にした答えです。ガラスから空気へ出るので、空気側の角は 30° より大きくなります。
- エ:O でも曲がらないとした答えです。でも O では、光は面に斜めに当たっているので曲がります。
3つの確かめのうち、図1では2つめ(入るか出るか)が、図2では3つめ(垂直か)が答えを決めました。
問2 光が3本ある図の角
次は、1つの点で反射と屈折が同時に起きる図です。光が3本になります。
問2
(1) 入射角・反射角・屈折角に弧をかき入れる
(2) 入射角・反射角は何度?
(3) 屈折角は何度?
(4) 「空気側の角が大きい」と合っている? 理由も
上が空気、下がガラスです。図に書いてある角は2つだけです。
- 入る光と境界面のあいだの角:35°
- 反射した光と屈折した光のあいだの角(O の右側で、境界面をはさむ角):92°
問2 答え
(1) 点線に接する角だけに弧をかく(35° と 92° は点線からの角ではない)
(2) 入射角 90° − 35° = 55° 反射角 55°(反射の法則)
→ 反射した光と境界面の角も 35°
(3) 92° − 35° = 57°(屈折した光と境界面の角)
屈折角 90° − 57° = 33°
(4) 合っている。空気 → ガラスなので、空気側の角は入射角。55° > 33°
注意:屈折角を 57° とした人は境界面から測っている → (4) で決まりと合わなくなる
光が3本ある図は、この単元でいちばん角を取りちがえやすいところです。だからこそ、まず「角はすべて点線から測る」を思い出します。
(1) 点線に接している角だけに弧をかく
- 入射角:入る光と点線のあいだ
- 反射角:反射した光と点線のあいだ
- 屈折角:ガラスの中の光と点線のあいだ
ここで気づいてほしいのは、図に書いてある 35° も 92° も、点線から測った角ではないということです。だから、そのままでは答えになりません。
(2) 入射角・反射角は 55°
点線と境界面のあいだは 90° なので、
入射角 = 90° − 35° = 55°
反射角は、反射の法則で入射角と同じ 55° です。
このとき、反射した光と境界面のあいだの角も、90° − 55° = 35° になります。
(3) 屈折角は 33°
92° の角は、境界面で上と下の2つに分かれています。
- 上の部分:反射した光と境界面の角。(2) で求めた 35°
- 下の部分:92° − 35° = 57°。これは屈折した光と境界面の角です
屈折角は点線から測るので、
屈折角 = 90° − 57° = 33°
図では、境界面から測った 57° と、点線から測った 33° を色を変えてかいてあります。屈折角は点線から測った 33° のほうです。
(4) 決まりと「合っている」
光は空気からガラスへ入るので、空気側の角は入射角です。入射角 55° のほうが、ガラス側の屈折角 33° より大きくなっています。「空気側の角が大きい」と合っています。
屈折角を 57° にした人へ
屈折角を 57° と答えた人は、境界面から測っていたのです。図に書いてある線から計算を進めたので、そうなるのは自然な流れです。
でも、その答えのまま (4) を考えると、「屈折角 57° が入射角 55° より大きい」となって、空気から入る光なのに空気側の角が小さくなり、決まりと合いません。このように決まりで確かめると、自分のまちがいに自分で気づけます。
数を出す前に、点線を指でなぞって、点線に接する角に弧をかく。それから計算する。この順番を守りましょう。
問3 鏡に映って見える物はどれ?
問1と問2は、光が1つの点でどう進むかの問題でした。問3では、鏡に何が映って見えるかを考えます。
問3
鏡:右へ 4 マス 〜 8 マス(壁のほかの所は鏡なし)
E(右 1・壁から 3)
A(右 3・壁から 1) B(右 9・壁から 1)
C(右 11・壁から 5) D(右 13・壁から 1)
(1) E から鏡に映って見える物体をすべて
(2) B → 鏡 → E の光の道すじ
部屋を真上から見た方眼の図です。壁は太い横の線で、位置は壁の線の左端の「左下の点」から数えます。鏡があるのは、右へ 4 マスから 8 マスの所だけです。
問3 答え (1) B、C
見えるかどうかの手順
- 物体の像を、壁の反対側にかく
- 像と目を直線で結ぶ
- その直線が鏡の上を通れば見える/鏡のない壁を通れば見えない
壁と交わる位置(鏡は 4〜8 マス)
- A:2.5 マス → ×
- B:7 マス → ○
- C:4〜5 マスのあいだ → ○
- D:10 マス → ×
「近い物ほど映る」ではない
別のやり方:目の像 E′ から、鏡の両端を通る 2 本の線 → そのあいだにある物が見える
(2) B → P(右 7 マス)→ E
B→P:横 2・縦 1 P→E:横 6・縦 3 → 同じ割合
(1) 見えるのは B と C
見えるかどうかは、次の3つの手順で決めます。
- 物体の像を、壁の反対側にかく
- 像と目を直線で結ぶ
- その直線が鏡そのものの上を通れば見える。鏡のない壁の上を通れば見えない
理由はこうです。ふり返り②で見たとおり、像と目を結ぶ直線が壁と交わる点は、光が反射するはずの点です。そこに鏡がなければ光ははね返れないので、目に届きません。
計算はいりません。作図した線が壁と交わる位置を、方眼で読むだけです。
| 物体 | 像の位置 | E と結んだ線が壁と交わる所 | 鏡(4〜8 マス)の上? |
|---|---|---|---|
| A | 右へ 3・壁から下へ 1 | 右へ 2.5 マス | はずれる → 見えない |
| B | 右へ 9・下へ 1 | 右へ 7 マス | 鏡の上 → 見える |
| C | 右へ 11・下へ 5 | 右へ 4 マスと 5 マスのあいだ | 鏡の上 → 見える |
| D | 右へ 13・下へ 1 | 右へ 10 マス | はずれる → 見えない |
図では、鏡の上を通る線(B・C)と、鏡からはずれる線(A・D)を色で分けています。
A は目のすぐ近くにあるのに見えず、B は遠いのに見えます。ちょっと意外ですよね。近い物のほうがよく見えそう、という感覚は自然です。でも鏡の場合、見えるかどうかを決めるのは近さではありません。線が鏡の上を通るかどうかです。「近い物ほど映る」ではありません。
物が多いときの別のやり方
物が多いときに便利な、別のやり方もあります。今度は、目の像 E′ をかきます。場所は、右へ 1 マス・壁から下へ 3 マスです。
E′ から、鏡の左端(4 マス)と右端(8 マス)を通る2本の線を、壁のこちら側までのばします。この2本の線のあいだにある物が、鏡に映って見える物です。
2本の線のあいだ(うすく色をつけた所)に入るのは B と C だけです。上の手順と同じ答えになります。
(2) B から E への光の道すじ
(1) で、B の像 B′ と E を結ぶ線は、壁の右へ 7 マスの点で交わりました。この点を P とします。あとは、B から P へ、P から E へと線を結べば完成です。
最後に確かめておきましょう。
- B から P:横に 2 マス進むと、縦に 1 マス
- P から E:横に 6 マス進むと、縦に 3 マス
どちらも「横 2 に縦 1」の割合なので、入射角と反射角がちゃんと等しくなっています。
まとめ
- 図を見たら3つを確かめる:鏡か透明な物か/空気から入るか出るか/面に垂直か
- 空気が書いていなければ、点線との角が大きい側が空気。空気へ出ていく光なら、全反射が起こることがある
- 円の中心へ向かう光は、曲面で曲がらない
- 光が3本の図では、点線に接する角だけに弧をかく。面との角は 90° から引く
- 鏡に映るかどうかは、像と目を結ぶ直線が、鏡そのものの上を通るかで決まる
この5つを、自分の言葉で言えるか確かめてみてください。言えないところがあったら、その見出しに戻って読み直せば大丈夫です。
ページの下のプリントと練習問題で、同じ考え方をもう一度使ってみましょう。
よくある質問
Q. 光が上から来ている図なら、上が空気だと考えてはいけないのですか?
A. いけません。光は、ガラスや水の中から来ることもあります。どちらが空気かは、光の来る向きではなく、点線との角の大きさで決めます。点線との角が大きい側が空気です(問1の (1))。
Q. 角度の問題で、いつも屈折角をまちがえてしまいます。
A. 境界面から測った角を、そのまま屈折角にしていないか確かめましょう。数を出す前に点線を指でなぞり、点線に接している角だけに弧をかいてから計算します。出した答えが「空気側の角が大きい」と合うかを確かめると、自分でまちがいに気づけます(問2)。
Q. 目のすぐ近くにある物でも鏡に映らないことがあり、遠くにある物でも映ることがあるのは、なぜですか?
A. 物の像と目を結ぶ直線が、鏡のない壁の上を通っているからです。その点では光がはね返れないので、目に届きません。鏡に映るかどうかを決めるのは近さではなく、その直線が鏡そのものの上を通るかどうかです(問3)。
解答・解説つきの演習プリント(別ページ)




