一次方程式の文章題 入試の基礎:割合(原価・定価)・速さが途中で変わる・比が変わる
※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。
この記事でわかること
- 原価・定価・売値・利益の関係を、割合を使って x の式で表し、方程式にする方法
- 途中で速さが変わる問題を表に整理して、「時間の和」で方程式を作る方法
- 玉を移して比が変わる問題で、移した後の数を x で表して比例式を作る方法
この記事で練習する 3 つの形
この記事では、入試によく出る一次方程式の文章題を、3 つの形で練習します。
- 割合(原価・定価・売値・利益)
- 途中で速さが変わる
- やりとりで比が変わる
文章題は、次の順に進めます。
- 何を x にするか決める
- 等しい関係を見つけて、式を作る
- 方程式を解く
- 答えが文章に合うか確かめて、答える
この流れにまだ自信がない人は、先にこのシリーズの基礎の回「文章題①(1d)」と「文章題②(1e)」を読んでおくと、ついていきやすくなります。いつ戻ってきても大丈夫です。
この記事では、次の 4 つの関係を使います。
- a 割=a/10 a %=a/100
- 利益=売値−原価
- 時間=道のり÷速さ
- a:b=c:d なら ad=bc
割合と、売り買いの言葉
売り買いの問題でまず迷うのは、「3 割」と言われたときに、何に何をかければいいのか、というところです。
割合の表し方(小学校の復習)
- 1 割=1/10=0.1
- 3 割=0.3
- 5 %=5/100=0.05
売り買いの 4 つの言葉
- 原価:お店が仕入れた値段
- 定価:お店が最初につけた値段
- 売値:実際に売った値段
- 利益:売れたお金から、仕入れたお金をひいた分。つまり 利益=売値−原価
例:原価 1000 円に、原価の 2 割の利益を見込む
見込んだ利益は 1000×0.2=200 円なので、定価は 1000+200=1200 円です。
この 200 円は、「定価で売れたら、これだけもうけたい」という見込みです。実際の利益は、実際に売った値段で決まるので、売値−原価で求めます。
1000 に 1000×0.2 をたす計算は、1000×1.2 と同じです。もとの 1 に、増える 0.2 をたして 1.2 倍になります。
2 割増し=1.2 倍(もとの 1+増える 0.2)
と考えると、式が短く書けます。
いちばん気をつけたいこと
この単元でいちばん引っかかりやすいのは、計算よりも、「何の」2 割なのかを読み取るところです。原価の 2 割なら原価にかけます。定価の 2 割なら定価にかけます。
問1:割合の問題(原価を求める)
問1
ある品物に、原価の 3 割の利益を見込んで定価をつけました。売れなかったので、定価から 150 円引いて売ったところ、利益は 210 円でした。この品物の原価を求めなさい。
原価・定価・売値と、値段が 3 つ出てきます。まずはそれぞれを x を使って表してから、等しい関係を探します。
考え方
① x を決める
聞かれているのは原価なので、原価を x 円とします。
② 定価と売値を x で表す
- 原価の 3 割の利益を見込んだので、定価は x に 0.3x をたして 1.3x 円です。「2 割増しは 1.2 倍」と同じ考え方で、3 割増しは 1.3 倍です。
- 売値は、定価から 150 円引いたので、(1.3x−150) 円です。
数直線でいうと、原価から定価まで上がって、そこから 150 円下がった所が売値です。
③ 等しい関係を見つける
分かっているのは「利益が 210 円」ということです。利益=売値−原価 なので、ことばの式は
売値−原価=210
です。これを x の式にして解きます。
原価を x 円とする
定価=x+0.3x=1.3x 円
売値=(1.3x−150) 円
売値−原価=210
(1.3x−150)−x=210
0.3x−150=210
0.3x=360
x=1200
答え 1200 円
確かめ
定価 1200×1.3=1560 円
売値 1560−150=1410 円
利益 1410−1200=210 円
【注意】
定価は 0.3x ではなく 1.3x
3割は「原価の」3割
上の解き方の途中にある 0.3x=360 で小数が気になる人は、両辺を 10 倍して 3x=3600 にしてもかまいません。
よくある間違い
1. 定価を 0.3x としてしまう
「3 割」と聞いて 0.3 をかけるのは、自然な発想です。ただ、0.3x は見込んだ利益の分です。定価は、それを原価にたした 1.3x です。
2. 「定価の 3 割」と読んでしまう
この問題の 3 割は、原価に対する割合です。割合が出てきたら、いつも「何の」何割かを確かめましょう。
途中で速さが変わるとき
速さの問題では、次の関係を使います。
- 道のり=速さ×時間
- 時間=道のり÷速さ
困るのは、途中で速さが変わるときです。歩いてから走るときのように速さが 2 つあると、全体を 1 つの速さで計算することはできません。
区間ごとに表を作る
そこで、区間ごとに分けて考えます。
- 表の列を、区間ごとに分ける
- 行には、速さ・道のり・時間を書く
- 合計の列も作る(全体で分かっていることを書きこめます)
単位をそろえる
分速なら時間は「分」、時速なら時間は「時間」で考えます。
よくある間違いが、1 時間 45 分を 1.45 時間 としてしまうことです。45 分は 60 分のうちの 45 分なので、45/60=3/4 時間です。だから、
1 時間 45 分=1 と 3/4 時間
になります。
問2:途中で速さが変わる問題
問2
A 地点から B 地点まで 1800 m あります。はじめは分速 60 m で歩き、途中から分速 150 m で走ったところ、全体で 21 分かかりました。歩いた道のりを求めなさい。
ここからは、上で見た表を使って、解き方を順に追っていきます。自分で解いてみたい人は、ページの下のプリントで問2 に取り組めます。
考え方
① x を決める
聞かれているのは歩いた道のりなので、これを x m とします。全体が 1800 m なので、走った道のりは (1800−x) m です。
② 表に書きこむ
- 速さの行:歩く 60、走る 150
- 道のりの行:歩く x、走る 1800−x、合計 1800
- 時間の行:時間=道のり÷速さ で求めます。歩いた時間は x/60 分、走った時間は (1800−x)/150 分、合計は 21 分
③ 等しい関係を見つける
表の時間の行から、ことばの式は
歩いた時間+走った時間=21
です。式にすると x/60+(1800−x)/150=21 です。
④ 分母をはらって解く
60 と 150 の最小公倍数は 300 なので、両辺に 300 をかけます。
- x/60 は 5x になります
- (1800−x)/150 は 2(1800−x) になります
- 右辺の 21 は 6300 になります
分子の 1800−x はひとまとまりの式なので、かっこをつけたまま 2 倍するのがポイントです。
歩いた道のりを x m とする
走った道のり (1800−x) m
歩いた時間+走った時間=21
x/60+(1800−x)/150=21
両辺に 300 をかける
5x+2(1800−x)=6300
5x+3600−2x=6300
3x=2700
x=900
答え 900 m
確かめ
900÷60=15 分 900÷150=6 分
15+6=21 分
【注意】
x+(1800−x)=1800 では x が決まらない
まだ使っていない「21 分」で式を作る
よくある間違い:道のりで式を作ってしまう
「x+(1800−x)=1800」という式を作った人もいるかもしれません。道のりの関係に目をつけたのは、よい着眼点です。ただ、この式は x がどんな数でも成り立つので、x が決まりません。
まだ使っていない条件は「21 分」です。だから、時間で式を作ります。
なお、歩いた道のりではなく、歩いた時間を文字にしても解くことができます。何を x にするとよいかは、このシリーズの入試応用の回で考えます。
比が変わるとき
比が等しいことを表す式を、比例式といいます。
- a:b=c:d なら ad=bc(外側の項の積=内側の項の積)
- 項に x を使った式が入るときは、かっこごとかけます
入試では、やりとりをして数が変わり、その後で比がいくつになった、という問題がよく出ます。ここで迷うのは、前の数と後の数のどちらで比を作るのか、というところです。
比を作るのは、文章で「その比になった」と言っている時の数です。「前」の数と「後」の数を分けて書いておけば、取り違えずにすみます。
問3:やりとりで比が変わる問題
問3
袋 A には 63 個、袋 B には 27 個の玉が入っています。A から B へ何個か玉を移したところ、A と B の玉の数の比が 4:5 になりました。何個移しましたか。
移す前と移した後で、A と B の数がそれぞれどうなるかを書いてから、比例式を作ります。
考え方
① x を決める
移した玉の数を x 個とします。
② 移した後の数を x で表す
- A は x 個減って (63−x) 個
- B は x 個増えて (27+x) 個
③ 比例式を作る
4:5 になったのは移した後なので、移した後の数で比例式を作ります。
(63−x):(27+x)=4:5
外側の項の積は (63−x)×5、内側の項の積は (27+x)×4 です。かっこごとかけて、5(63−x)=4(27+x) になります。かっこをはずしたら、x の項を右辺に、数の項を左辺に集めて解きます。
x 個移すとする
移した後 A (63−x) 個 B (27+x) 個
(63−x):(27+x)=4:5
5(63−x)=4(27+x)
315−5x=108+4x
315−108=4x+5x
207=9x
x=23
答え 23 個
確かめ
A 63−23=40 個 B 27+23=50 個
40:50=4:5
別の見方
合計 63+27=90 個は変わらない
移した後の A=90×4/9=40 個
63−40=23 個
よくある間違い:B も減らしてしまう
B を 27−x として、両方から減らしてしまう間違いがよくあります。「移す」と聞いて減るほうに意識が向くのは、自然なことです。でも、A から出た玉は B に入るので、B は増えます。上の図で、矢印が A から B に向いていることを確かめましょう。
別の見方:変わらない量に目をつける
玉を移しても、全部の数 63+27=90 個は変わりません。移した後の A と B は 4:5 なので、A は全体を 4+5=9 に分けたうちの 4 つ分です。
90×4/9=40 個
もとは 63 個だったので、63−40=23 個移したと分かります。
このように、変わらない量に目をつけると、式がぐっと簡単になることがあります。この見方は、入試応用の回でも使います。
まとめ:3 つの形で気をつけること
- 割合:「何の」何割かを確かめる。○割増しは「1+割合」倍。利益=売値−原価 で式を作る
- 速さが変わる:区間ごとに表を作り、時間の和で式を作る
- 比が変わる:変わった後の数を x で表し、比例式を作る
3 つとも見た目はちがいますが、表や図に整理してから、等しい関係を探すという流れは同じです。むずかしく感じたところは、自分のペースでもう一度読み返してみてください。
このページの下から、問1〜問3 を書きこんで解けるプリントと宿題、画面で解ける練習問題、宿題の解説動画へ進めます。
よくある質問
Q. 「3 割の利益を見込んで定価をつける」とき、定価は 0.3x ですか、1.3x ですか?
A. 定価は 1.3x です。0.3x は見込んだ利益の分なので、それを原価 x にたして x+0.3x=1.3x になります。「3 割増し=1.3 倍」と覚えておくと便利です。ただし、その 3 割が原価の 3 割なのか定価の 3 割なのかは、いつも文章で確かめましょう。
Q. 速さの問題で、道のりの合計で式を作ったら x が消えてしまいました。どうすればいいですか?
A. 歩いた道のりを x m、走った道のりを (1800−x) m とおいた時点で、道のりの合計 1800 m はもう使っています。そのため、x+(1800−x)=1800 は x がどんな数でも成り立ち、x が決まりません。まだ使っていない条件(問2 なら「全体で 21 分」)を使って、時間の和で式を作りましょう。
Q. 比が変わる問題では、前の数と後の数のどちらで比例式を作るのですか?
A. 文章で「その比になった」と言っている時の数で作ります。問3 では、4:5 になったのは移した後なので、移した後の数 (63−x) 個と (27+x) 個で比例式を作ります。前と後の数を分けて書いておくと、取り違えにくくなります。
解答・解説つきの演習プリント(別ページ)




