中学2年

植物の細胞と動物の細胞のつくり|6 つの名前と、見分けるときの決め手

栞先生

※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。

この記事でわかること

  • 細胞の図を見て、細胞壁・細胞膜・核・葉緑体・液胞・細胞質の 6 つの名前を言えるようになる
  • 植物の細胞と動物の細胞で、同じつくりとちがうつくりがわかる。どちらの細胞かを、理由をつけて言えるようになる
  • 細胞を染めて観察する理由と、染めるのに使う液の名前、何が何色に染まるかがわかる

「細胞」という名前のはじまり

「細胞」と聞くと、むずかしい名前がたくさん出てきそうに思えるかもしれません。でも、この回で覚える名前は 6 つだけです。1 つずつ、図といっしょに見ていきましょう。

まず、細胞とは何でしょう。

1665 年に、イギリスのフックという人が、顕微鏡でコルクのうすい切れはしを見ました。すると、小さな部屋がたくさん並んでいました。

コルクのうすい切れはし (顕微鏡で見たようす) 小さな部屋 「セル」とよんだ = 細胞

フックはこの部屋を「セル(cell)」とよんで、『ミクログラフィア』という本にまとめました。このセルを日本語にしたのが「細胞」です。

生物の体は、細胞が集まってできています。 ただ、細胞はとても小さいので、見るには顕微鏡を使います。そこで、先に顕微鏡の使い方を思い出しておきましょう。

顕微鏡の使い方をおさらい(中 1 の内容)

中 1 で習ったことのうち、大事なところだけを確かめます。

接眼レンズ 対物レンズ ステージ 調節ねじ

倍率は「かけ算」

顕微鏡には、目でのぞく接眼レンズと、プレパラートに近いほうの対物レンズがあります。

倍率 = 接眼レンズの倍率 × 対物レンズの倍率

たとえば 10 倍と 40 倍なら、\(\displaystyle 10 × 40 = 400\) 倍です。つい足して 50 倍にしたくなりますが、足し算ではありません。

観察は低倍率から

低倍率のほうが見える範囲が広いので、見たいものを探しやすくなります。

ピントの合わせ方

  1. まず、横から見ながら、対物レンズとプレパラートを近づけます。
  2. 次に、のぞきながら、遠ざける向きにねじを回して、ピントを合わせます。

のぞいたまま近づけると、レンズがプレパラートにぶつかって割れることがあります。だから、近づけるときは横から見ます。

横から見ながら近づける 近づける 対物レンズ プレパラート ステージ

見たいものを動かすときの向き

顕微鏡では、像が上下左右逆に見えます。そのため、プレパラートを動かすと、像は反対の向きに動きます。

右上に見えているものを真ん中に持ってきたいときは、プレパラートを右上へ動かします。「見えている向きに動かす」と覚えましょう。

右上に見えるとき プレパラート 右上へ動かす 像は真ん中へ

高倍率にすると

大きく見えるかわりに、見える範囲はせまくなり、暗くなります。見える範囲がせまくなるので、高倍率にする前に、見たいものを視野の真ん中へ動かしておきましょう。

低倍率 高倍率 見える範囲が広い 明るい 点線=右で見える所 大きく見える 見える範囲がせまい 暗い

細胞のつくりは 6 つの名前でそろう

顕微鏡で細胞を大きくして見ると、中にはいろいろなものがあります。外側から順に見ていけば、名前は 6 つでそろいます。植物の細胞の図で確かめましょう。

細胞壁 細胞膜 核 葉緑体 液胞 細胞質
名前どこにある・どんなもの
細胞壁いちばん外側の、厚くしっかりしたしきり。細胞の形を保つ
細胞膜細胞壁のすぐ内側のうすい膜。細胞の中と外をしきる
核丸いもの。ふつう、1 つの細胞に 1 つある
葉緑体緑色の小さな粒
液胞液が入った袋。成長した植物の細胞では大きくなり、細胞の大部分をしめる
細胞質細胞膜とその内側のうち、核以外の部分をまとめた呼び名

「壁は外、膜は内」

細胞壁と細胞膜は、どちらも細胞のふちにあるので、入れかわりやすい 2 つです。

壁は外、膜は内

と覚えましょう。家にたとえると、かべは家の外側にあり、まくはその内側にはるもの、というイメージです。

葉緑体について

小 6 で、日光が当たった葉にでんぷんができることを習いましたね。葉緑体は、そのはたらきにかかわっています。くわしくは、このあとの単元で学びます。

いちばん引っかかりやすい「細胞質」

6 つ目の細胞質は、ほかの 5 つとちがって、1 つの「もの」の名前ではありません。範囲の呼び名です。だから指さしにくく、6 つの中でいちばんまちがえやすいところです。

細胞質 = 細胞膜とその内側の、核以外の部分

  • 葉緑体も液胞も、細胞質に入ります。
  • 細胞壁は、細胞膜より外にあるので入りません。

上の図の最後の段階では、細胞質の範囲がうすい色でぬってあります。細胞壁と核は、ぬられていません。

問1:名前を図に当てはめよう

では、6 つの名前を自分で図に当てはめられるか、確かめましょう。さっきの図とは形がちがう細胞です。

A B C D E

問1 図は植物の細胞の模式図です。
(1) A〜E の名前を答えなさい。
(2) 細胞膜とその内側の、核以外の部分をまとめて何といいますか。

答え
(1) A 細胞壁 B 細胞膜 C 核 D 葉緑体 E 液胞
(2) 細胞質

【注意】
A と B を逆にしない(壁は外、膜は内)
細胞質に細胞壁は入らない
「核以外ぜんぶ」ではなく「細胞膜とその内側の、核以外」

= 細胞質 A B C D E 細胞壁 細胞膜 核 葉緑体 液胞

いちばん多いまちがいは、A と B を逆にすることです。どちらも細胞のふちにある線なので、迷うのは自然なことです。迷ったら「壁は外、膜は内」を思い出しましょう。いちばん外の太くしっかりした枠が細胞壁で、そのすぐ内側にぴったりついている細い線が細胞膜です。

(2) の細胞質は、細胞膜とその内側にあるもののうち、核以外の全部です。葉緑体も液胞も入ります。細胞壁は、細胞膜より外にあるので入りません。

「核以外ぜんぶ」と覚えた人は、考え方の向きは合っています。ただ、それだけだと細胞壁まで入ってしまいます。かならず「細胞膜とその内側の」をつけて覚えてください。

動物の細胞と比べてみよう

植物は緑色ですが、私たち人間の体は緑色ではありません。では、動物の細胞は、植物の細胞とどこが同じで、どこがちがうのでしょう。

動物の細胞の例として、ヒトのほおの内側の細胞を使います。綿棒でほおの内側を軽くこすると、細胞がとれます。

ほおの内側を、綿棒で軽くこする 綿棒

比べ方:外側から順に、1 つずつ

さっきの 6 つの名前を使って、外側から順に確かめます。

  • いちばん外側は、太い枠か、細い線か
  • その内側に、もう 1 本線があるか
  • 丸い核、緑の粒、大きな袋はあるか

太くしっかりした枠なら細胞壁、細い線なら細胞膜です。

2 つの分け方

  • 植物の細胞にも動物の細胞にもあるつくり → 共通のつくり
  • 植物の細胞にはあり、動物の細胞には見られないつくり → 植物の細胞に特徴的なつくり

問2:共通のつくりと、植物の細胞に特徴的なつくり

オオカナダモは水草のなかまです。図の左がオオカナダモの葉の細胞、右がほおの内側の細胞です。外側から順に、1 つずつ確かめていけば大丈夫です。

オオカナダモの葉 ほおの内側

問2 左はオオカナダモの葉の細胞、右はほおの内側の細胞です。
次のつくりを、「植物の細胞にも動物の細胞にもある」ものと、「植物の細胞に特徴的な」ものに分けなさい。
核 細胞膜 細胞壁 葉緑体 大きな液胞

答え
植物の細胞にも動物の細胞にもある:核、細胞膜
植物の細胞に特徴的:細胞壁、葉緑体、大きな液胞

【注意】
植物の細胞にも細胞膜がある
(細胞膜の外側に、さらに細胞壁がある)

細胞の形は目安(決め手ではない)
オオカナダモの葉:細胞壁があり、角ばって、すき間なく並ぶ
ほおの内側:細胞壁が無く、丸く、形がふぞろい
動物の細胞にも、すき間なく並ぶものや細長いものがある

オオカナダモの葉 ほおの内側 細胞壁 細胞膜 核 葉緑体 液胞 細胞膜 核

植物の細胞にも、細胞膜がある

「植物の細胞には壁、動物の細胞には膜」と、1 つずつ分けたくなった人もいるかもしれません。壁と膜をセットで覚えたからこそ、そう分けたくなるのです。

でも、左のオオカナダモの細胞をよく見てください。太い枠のすぐ内側に、細い線があります。植物の細胞にも細胞膜はあります。 植物の細胞では、細胞膜の外側に、さらに細胞壁がついています。

ここまでを表にまとめます(葉緑体の行は、このあとで足します)。

つくり植物の細胞動物の細胞
核あるある
細胞膜あるある
細胞質あるある
細胞壁ある見られない
大きな液胞成長した細胞で目立つ目立たない

細胞質は「細胞膜とその内側の、核以外の部分」でした。細胞膜はどちらの細胞にもあるので、細胞質もどちらにもあります。

形は「目安」、決め手ではない

形も比べてみましょう。

  • オオカナダモの葉の細胞:角ばって、すき間なく並んでいます。しっかりした細胞壁が、細胞の形を保っているからです。
  • ほおの内側の細胞:細胞壁が無く、丸くて、形がふぞろいです。

ただし、動物の細胞がいつも丸いわけではありません。すき間なく並ぶものや、細長いものもあります。ですから、形は「細胞壁がありそうかどうか」の見当をつける目安です。決め手ではありません。

葉緑体の行を後回しにしたのには理由があります。「植物の細胞なら、かならずある」とは書けないからです。これは少しあとで考えます。

細胞は染めて見る(プレパラートと染色)

ほおの細胞をそのまま顕微鏡で見ても、じつはほとんど何も分かりません。細胞は、ほとんど透明だからです。そこで、色をつけて見ます。

染める前:ほとんど透明

プレパラートの作り方

① 細胞をスライドガラスにのせる
ほおの内側を綿棒で軽くこすり、スライドガラスにつけます。タマネギの場合は、うすい表皮をはがしてのせます。

① 綿棒でスライドガラスにつける

② 染色液を 2〜3 滴たらし、3〜5 分待つ

② 染色液を 2〜3 滴たらし、3〜5 分待つ

③ カバーガラスをかける
片側の端を先につけて、ゆっくりかぶせます。こうすると、空気の泡(気泡)が入りにくくなります。

③ 端を先につけて、ゆっくりかぶせる

染色液は 2 種類

染色液色
酢酸カーミン液赤
酢酸オルセイン液赤紫

どちらの液でも、核がいちばんよく染まります。教科書では、まとめて「核が赤く染まる」と言います。

染めると、透明で見分けにくかった核が、はっきり見えるようになります。

染めた後:核が赤くこく染まる

問3:染色液について答えよう

問3 ほおの内側の細胞や、タマネギの表皮の細胞は、そのままではよく見えません。そこで、ある液を落としてから観察します。
(1) この液の名前を 1 つ答えなさい。
(2) この液でよく染まる部分の名前と、その色を答えなさい。
(3) 細胞を観察するとき、このような液を使うのはなぜですか。

答え
(1) 酢酸カーミン液、または酢酸オルセイン液
(2) 核。赤く染まる
(酢酸オルセイン液は赤紫。「赤」と答えても正解)
(3) 細胞はほとんど透明で、そのままでは核などのつくりが見分けにくいから

【注意】
「酢酸」を落とさない
理由は「よく見えるようにするため」で終わらせず、「透明で見分けにくい」まで書く

核

(1) 書くときは「酢酸」を落とさないようにしましょう。「カーミン液」「オルセイン液」だけでは足りません。

(2) 細胞全体が真っ赤になるわけではありません。核がいちばんこく染まります。酢酸オルセイン液の色は赤紫ですが、教科書の言い方は「核が赤く染まる」なので、「赤」と答えても正解です。

(3) ポイントは「透明」です。細胞はほとんど透明なので、そのままでは、どこに核があるのか見分けにくいのです。だから核を染めて、見分けやすくします。
「よく見えるようにするため」と書いた人は、方向は合っています。そこで終わらせず、「透明で見分けにくいから」まで書きましょう。

手順もいっしょに覚えておきましょう。液は 2〜3 滴たらし、3〜5 分待ってから、カバーガラスをかけます。

葉緑体は、どの植物の細胞にもある?

さっきの表では、葉緑体の行がまだ空いていました。植物は緑色なので、植物の細胞なら、どれにも緑の粒があるように思えます。本当にそうでしょうか。ヒントは、植物の体の部分ごとの色です。

土の中 葉:緑色 根:緑色ではない

オオカナダモの葉は緑色です。細胞の中に、緑の粒、つまり葉緑体が見えます。

オオカナダモの 葉の細胞

では、土の中の根はどうでしょう。根は緑色ではありません。根の細胞も植物の細胞ですが、緑の粒はありません。

根の細胞 緑の粒は無い

葉が緑色に見えるのは、細胞の中に緑色の葉緑体があるからです。つまり、

葉緑体は、緑色の部分の細胞にある。緑色でない部分の細胞には無い。

表に葉緑体の行を足すと、こうなります。

つくり植物の細胞動物の細胞
核あるある
細胞膜あるある
細胞質あるある
細胞壁ある見られない
大きな液胞成長した細胞で目立つ目立たない
葉緑体緑色の部分の細胞にある見られない

では、緑の粒が見えない細胞を見たら、それは動物の細胞だと言えるでしょうか。次の問いで考えます。

問4:緑の粒が無ければ、動物の細胞?

問4 図は、染色したタマネギの表皮の細胞です。
この細胞を見たある人が、「緑の粒(葉緑体)が無いから、これは動物の細胞だ」と言いました。
この考えは正しいですか。理由も答えなさい。

答え
正しくない。
葉緑体は植物の緑色の部分の細胞にあり、タマネギの表皮には無い。
この細胞には細胞壁があり、角ばってすき間なく並んでいるので、植物の細胞である。

【決まり】
植物の細胞か動物の細胞かの決め手 = 細胞壁
葉緑体は手がかり(無くても植物の細胞のことがある)

【注意】
「植物の細胞だと判断できるつくり」→ 細胞壁(葉緑体と書かない)

細胞壁 核

「正しい」と答えた人は、葉緑体を植物の細胞の目印にしようとしたのだと思います。その目のつけ所は悪くありません。

ただ、タマネギは植物です。それでも、この細胞には緑の粒がありません。私たちが食べるタマネギの部分は白くて、緑色ではないからです。葉緑体は、葉のような緑色の部分の細胞にあるのでした。

「手がかり」と「決め手」を分ける

  • 葉緑体が見えたら、「植物の細胞かな」と考える手がかりになります。
  • でも、見えなくても植物の細胞のことがあります。だから、葉緑体が無いことだけでは、動物の細胞とは決められません。

表の細胞壁の行と葉緑体の行を見比べてください。

  • 細胞壁の行:植物の細胞は「ある」、動物の細胞は「見られない」。きっぱり分かれています。
  • 葉緑体の行:植物の細胞は「緑色の部分の細胞にある」。条件つきです。

だから、植物の細胞か動物の細胞かを決めるのは、細胞壁です。問4の図の細胞は、角ばって、すき間なく並び、外側に厚い枠があります。細胞壁があるので、植物の細胞です。

テストで「植物の細胞だと判断できるつくりは何か」と聞かれたら、答えは細胞壁です。葉緑体と書かないように気をつけましょう。

まとめ

植物の細胞 ほおの内側の細胞 = 細胞質 細胞壁 細胞膜 核 葉緑体 液胞 細胞膜 核
  • 植物の細胞のつくりの名前は 6 つ。外側から細胞壁、細胞膜。中に核、葉緑体、液胞。「壁は外、膜は内」。
  • 細胞質 = 細胞膜とその内側の、核以外の部分(葉緑体・液胞は入る。細胞壁は入らない)。
  • 核・細胞膜は、植物の細胞にも動物の細胞にもある共通のつくり。細胞壁・葉緑体・大きな液胞は、植物の細胞に特徴的なつくり。
  • 細胞はほとんど透明なので、酢酸カーミン液や酢酸オルセイン液で染めて見る(核が赤く染まる)。
  • 植物の細胞か動物の細胞かの決め手は細胞壁。葉緑体は手がかりだが、無くても植物の細胞のことがある。

このページの下にある宿題のプリントで、向きや形を変えた図でも名前が言えるか確かめてみてください。顕微鏡の使い方の問題もあります。名前があやふやになったら、いつでもこの記事や動画に戻ってきて大丈夫です。

次の回では、1 つの細胞だけで生きている生物と、細胞が生きるために何をしているかを学びます。

よくある質問

Q. 細胞壁と細胞膜は、どうやって見分ければいいですか?
A. 「壁は外、膜は内」と覚えましょう。いちばん外側の太くしっかりした枠が細胞壁です。そのすぐ内側にぴったりついている細い線が細胞膜です。植物の細胞には両方ありますが、動物の細胞には細胞壁が見られず、細胞膜だけがあります。

Q. 細胞質には何が入るのですか?「核以外ぜんぶ」ではだめですか?
A. 細胞質は「細胞膜とその内側の、核以外の部分」です。葉緑体や液胞は入りますが、細胞膜より外にある細胞壁は入りません。「核以外ぜんぶ」だけだと細胞壁まで入ってしまうので、「細胞膜とその内側の」をかならずつけて覚えてください。

Q. 植物の細胞なら、かならず葉緑体がありますか?
A. いいえ。葉緑体は、葉のような緑色の部分の細胞にあります。根やタマネギの表皮のように緑色でない部分の細胞には、葉緑体がありません。ですから、植物の細胞か動物の細胞かは、葉緑体ではなく細胞壁で決めます。

このシリーズについて

この記事は、シリーズの「基礎」の回です。このシリーズには「基礎」「入試基礎」「入試応用」の 3 段があります。続きの回も、順番に公開していきます。

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解答・解説つきの演習プリント(別ページ)

この単元の授業

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