中学1年

移項とは? なぜ符号が変わるのか|両辺に x がある方程式・かっこのある方程式の解き方(中1)

栞先生

※ この記事は上の授業動画の内容をテキストで整理したものです。

この記事でわかること

  • 「移項」とは何か、移すとなぜ符号が変わるのか
  • 左辺にも右辺にも x がある方程式の解き方と、方程式を解く 4 つの手順
  • かっこのある方程式の解き方と、−( ) のはずし方

この回で学ぶこと

この記事では、方程式を速く、まちがえずに解くための書き方を学びます。内容は次の 3 つです。

  • 移項:毎回「両辺に同じ数をたす(ひく)」と書かなくても、式を短く書けるようになります。
  • 両辺に x がある方程式:5x−3=2x+9 のように、左辺にも右辺にも x がある方程式です。
  • かっこのある方程式:3(x−1)=x+5 のような方程式です。

この 3 つが分かれば、中学 1 年の方程式の計算の、いちばん大事なところが解けるようになります。

まず思い出そう:等式の性質

方程式は「等式の性質」を使って解きます。等式は、次のどれをしても成り立ったままです。

  • 両辺に同じ数をたす
  • 両辺から同じ数をひく
  • 両辺に同じ数をかける
  • 両辺を同じ数でわる(ただし、0 ではわれません)

この性質を使って、4x−5=7 を途中まで変形してみます。

4x−5 は、4x と −5 という 2 つの項でできています。−5 を消したいので、両辺に 5 をたします。

4x−5+5=7+5

左辺の −5 と +5 は合わせて 0 になるので、

4x=7+5

になります。

ここでは、右辺の 7+5 をわざと計算しないまま残しておきます。次の見出しで、はじめの式 4x−5=7 と見比べるためです。

移項とは何か

ここで、はじめの式 4x−5=7 と、最後の式 4x=7+5 を見比べてみましょう。

4 x − 5 = 7 4 x = 7 + 5 符号が変わる

左辺にあった −5 が消えて、右辺に +5 が出てきています。−5 が「=」をこえて、符号を変えて右辺に移ったように見えます。

ほかの式でも同じことが起きるのか、確かめてみましょう。x+3=10 で、左辺の +3 を右辺に移すとどうなりそうか、先に予想してから読み進めてください。

+3 を消すには、両辺から 3 をひきます。

x+3−3=10−3
x=10−3

右辺に出てきたのは −3 です。+3 が符号を変えて、−3 になって移りました。計算すると x=7 です。

【決まり】移項
等式の一方の辺の項を、符号を変えて、もう一方の辺に移すこと
理由:両辺に同じ数をたす・ひくのと同じだから

移項は、新しく覚える特別な決まりではありません。両辺に同じ数をたしたり、ひいたりした結果を短く書いているだけです。だから、移すと符号が変わります。「なんだ、等式の性質と同じだ」と思った人は、まさにそのとおりです。

x の項も移項できる(両辺に x がある方程式)

3x+2=x+8 は、左辺にも右辺にも x があります。このままでは「x=数」の形にできません。そこで、x の項を一方の辺に、数の項をもう一方の辺に集めます。

「x は数ではないのに、移せるの?」と思うかもしれません。x は、まだ分からないけれど何かの数を表しています。だから、両辺から x をひいても、等式は成り立ったままです。

両辺から x をひきます。

3x+2−x=x+8−x

右辺の x と −x が消えて、3x+2−x=8 になります。ここではまだ計算はせず、左辺の項の順番だけを入れかえて、x の項を前に並べて書くと、

3x−x+2=8

右辺の x が、符号を変えて −x として左辺に移りました。数と同じように、x の項も移項できるのです。

続けて、左辺の +2 を右辺に移項すると −2 になります。

3x−x=8−2
2x=6(両辺をそれぞれ計算する)
x=3(両辺を 2 でわる)

x に 3 を入れて確かめます。左辺は 3×3+2=11、右辺は 3+8=11 です。等しいので、x=3 は正しい解です。

x の項は、どちらの辺に集めてもよい

同じ 3x+2=x+8 で、今度は x の項を右辺に集めてみます。左辺の 3x を右辺へ移項すると −3x、右辺の 8 を左辺へ移項すると −8 になります。左辺には 2 と −8、右辺には x と −3x が残るので、

2−8=x−3x
−6=−2x(両辺をそれぞれ計算する)
3=x(両辺を −2 でわる)

x が右辺にあります。等式は、左辺と右辺を入れかえても成り立ちます。両辺を入れかえて、x=3。さっきと同じ答えになりました。

【決まり】 x の項も移項できる。x の項と数の項は、どちらの辺に集めてもよい

ひとつコツがあります。x の係数が大きい方の辺に集めると、x の係数が正の数になって、負の数でわらずにすみます。3x+2=x+8 なら、3x のある左辺に集めた方が楽です。

方程式を解く手順

ここまでの解き方を、手順にまとめます。このあとの問題でも、この手順を使います。

方程式を解く手順
① 移項して、x の項と数の項を左右に分ける(移すと符号が変わる)
② 両辺をそれぞれ計算して、ax=b の形にする
③ 両辺を x の係数 a でわる
④ もとの式に代入して確かめる

②の「ax=b の形」とは、2x=6 のような形のことです。

「1次方程式」という言葉

3x+2=x+8 で、右辺の項を全部左辺に移項してみます。x は −x に、8 は −8 になって、

3x+2−x−8=0
2x−6=0(左辺を計算する)

2x や 2x−6 のように、x の 1 次の項だけの式や、x の 1 次の項と数の項の和で表される式を「1次式」といいました。

【決まり】1次方程式
移項して整理すると(x の 1次式)=0 になる方程式

3x+2=x+8 も 2x−6=0 の形になったので、1次方程式です。この単元で解いていくのは、この 1次方程式です。

問1:手順どおりに解いてみよう

問1
5x − 3 = 2x + 9 を解きなさい。

上の手順①〜④のとおりに、確かめまで自分で解いてから、答えと見比べてみてください。ページの下のプリントで解くこともできます。

5x−3=2x+9
5x−2x=9+3
3x=12
x=4

確かめ:左辺=5×4−3=17
    右辺=2×4+9=17

答え x=4

手順にそって見ていきます。

  • ①移項:x の項を左辺に、数の項を右辺に集めます。右辺の 2x を左辺に移項すると −2x、左辺の −3 を右辺に移項すると +3 になります。5x−2x=9+3 です。
  • ②計算して ax=b:3x=12
  • ③係数でわる:両辺を 3 でわって x=4
  • ④確かめ:左辺は 5×4−3=17、右辺は 2×4+9=17。等しいので x=4 で合っています。

答えが合わなかった人は、移項した項の符号を見直してください。−3 を移したのに −3 のまま書いていませんか。移すところまでできていれば、直すのは符号だけです。

問2:Aさんの間違いを見つけよう

問2
Aさんは、方程式 4x + 7 = x − 5 を次のように解きました。
4x+x=−5+7
5x=2
x=2/5
間違いを見つけて、正しく解きなさい。

1 つの項ずつ、どこからどこへ移ったかを追ってみると、間違いが見つけやすくなります。

答え 間違いは 2 か所

4x+7=x−5
両辺から 7 をひく
4x+7−7=x−5−7
4x=x−5−7

【注意】1 つ目:Aさんは +7、正しくは −7

両辺から x をひく
4x−x=x−5−7−x
4x−x=−5−7

【注意】2 つ目:Aさんは +x、正しくは −x

間違いは 2 か所あります。 Aさんは、x の項を左辺に、数の項を右辺に集めようとしていました。この考え方は合っています。ただ、移したときの符号が違っていました。

なぜ符号を変えるのか、等式の性質に戻って確かめます。もとの方程式は 4x+7=x−5 です。

1 つ目:+7 の移し方
左辺の +7 を消したいので、両辺から 7 をひきます。

4x+7−7=x−5−7
4x=x−5−7

右辺に出てくるのは「−7」です。Aさんは +7 と書いていました。これが 1 つ目の間違いです。

2 つ目:x の移し方
右辺の x を消したいので、両辺から x をひきます。

4x−x=x−5−7−x
4x−x=−5−7

右辺の x と −x が消えて、左辺に出てくるのは「−x」です。Aさんは +x と書いていました。これが 2 つ目の間違いです。

Aさんの 1 行目「4x+x=−5+7」で、間違っている 2 か所に印をつけると、次のようになります。

Aさんの 1 行目 4 x + x = - 5 + 7 -7 のはず -x のはず

移すと符号が変わるのは、両辺から同じものをひいた結果だからです。決まりとして覚えるだけでなく、迷ったときは「両辺から何をひいたのか」に戻って考えてください。

Aさんの方程式を正しく解き直す

4x−x=−5−7 から続けます。

3x=−12(両辺をそれぞれ計算する)
x=−4(両辺を 3 でわる)

確かめます。左辺は 4×(−4)+7=−9、右辺は −4−5=−9。両辺とも −9 で等しいので、合っています。正しい解は x=−4 です。

Aさんの答え x=2/5 も、もとの式に入れてみます。左辺は 8/5+7 で正の数、右辺は 2/5−5 で負の数です。正の数と負の数が等しくなることはありません。最後に代入して確かめていれば、Aさんは自分で間違いに気づけたはずです。確かめは、自分の答えを自分で直せる方法です。

かっこのはずし方

3(x−1)=x+5 を考えます。左辺の −1 はかっこの中に入っているので、−1 だけを右辺に移項することはできません。そこで、まずかっこをはずします。

ここでするのは、方程式を解くことではなく、左辺の式を書きかえることです。方程式を解く行と見分けるため、式の書きかえは「→」でつないで書きます。

かっこをはずすには、文字と式で学んだ「分配法則」を使います。かっこの外の数を、かっこの中のすべての項にかけるのでした。

3(x−1) → 3x−3(3×x と 3×(−1))

では、かっこの前に「−」だけがついている −(x−2) はどうなるでしょう。−x−2 でしょうか、−x+2 でしょうか。

−(x−2) は (−1)×(x−2) のことです。−1 を x にかけて −x。−1 を −2 にかけると、負の数どうしのかけ算なので +2 になります。

−(x−2) → (−1)×(x−2) → −x+2

【注意】 −( ) は中のすべての項の符号を変える

ここは、この回でいちばんまちがいが出やすいところです。前の項の符号だけ変えて、後ろの項を変え忘れる人がとても多いので、ゆっくり確かめながら進めてください。

かっこのある方程式を解く

3(x−1)=x+5 のかっこをはずすと、3x−3=x+5 になります。ここから先は、さっきの手順と同じです。

3x−x=5+3(移項)
2x=8
x=4

確かめます。左辺は 3×(4−1)=9、右辺は 4+5=9。合っています。

つまり、かっこがあるときは、手順の①の前にかっこをはずせばよいのです。この 1 行を足すと、方程式を解く手順は次のようになります。

方程式を解く手順
かっこがあるときは、①の前にかっこをはずす
① 移項して、x の項と数の項を左右に分ける(移すと符号が変わる)
② 両辺をそれぞれ計算して、ax=b の形にする
③ 両辺を x の係数 a でわる
④ もとの式に代入して確かめる

問3:かっこが 2 つある方程式

問3
2(x − 3) − (5x − 4) = 7 を解きなさい。

かっこが 2 つあります。特に、2 つ目のかっこの前の「−」に気をつけてください。

2(x−3) → 2x−6
−(5x−4) → −5x+4

【注意】−5x−4 としない
−(5x−4) は (−1)×(5x−4)

まず、かっこをはずします。

  • 2(x−3) → 2x−6(2×x と 2×(−3))
  • −(5x−4) → −5x+4(かっこの中の 2 つの項の、両方の符号を変える)

いちばん多いまちがいは、後ろの −4 を −4 のまま書いて −5x−4 にしてしまうことです。こう書いた人も、前の 5x の符号はちゃんと変えられています。足りなかったのは後ろの項だけです。−(5x−4) は (−1)×(5x−4) なので、−4 にも −1 がかかって +4 になります。

かっこをはずすと 2x−6−5x+4=7。ここからは手順どおりです。

  • ①移項:左辺の −6 と +4 を右辺に移項すると、−6 は +6、+4 は −4 になって、2x−5x=7+6−4
  • ②計算:−3x=9
  • ③係数でわる:両辺を −3 でわって x=−3
  • ④確かめ:もとの式の 2 つの x に −3 を入れると、2×(−3−3)−(5×(−3)−4)。−3−3=−6、5×(−3)−4=−19 なので、2×(−6)−(−19)=−12+19=7。右辺の 7 と等しいので、合っています。

もし −5x−4 としていたら、別の答えが出てきます。でもその答えをもとの式に入れると、左辺が 7 になりません。確かめをすれば、まちがいに気づけるのです。

まとめ

【決まり】この回でできるようになったこと
– 移項は、両辺に同じ数をたす・ひくことを短く書いたもの。だから符号が変わる
– x の項と数の項を左右に分ける。どちらの辺に集めてもよい
– かっこは先にはずす。−( ) は中のすべての項の符号を変える
– 最後に代入して確かめる

符号に迷ったら、「両辺から何をひいたのか(何をたしたのか)」に戻りましょう。「移項はなぜ符号が変わるの?」と聞かれて、自分の言葉で説明できたら、この回の内容は身についています。

次の回は、小数や分数をふくむ方程式と、比例式です。この回の手順が、そのまま土台になります。

よくある質問

Q. 移項すると、なぜ符号が変わるのですか?
A. 移項は、両辺に同じ数をたしたり、両辺から同じ数をひいたりした結果を短く書いたものだからです。たとえば x+3=10 の +3 を消すには、両辺から 3 をひきます。すると x=10−3 となり、右辺に −3 が出てきます。これが「+3 が符号を変えて移った」ように見えるのです。

Q. x の項は、左辺と右辺のどちらに集めればいいですか?
A. どちらに集めても、同じ答えになります。ただ、x の係数が大きい方の辺に集めると、x の係数が正の数になって、負の数でわらずにすみます。x が右辺に残ったときは、両辺を入れかえて「x=数」の形にすれば大丈夫です。

Q. −(5x−4) のかっこをはずすと、どうなりますか?
A. −5x+4 です。−( ) は (−1)×( ) のことなので、かっこの中のすべての項に −1 をかけます。後ろの −4 を変え忘れて −5x−4 としてしまうまちがいがとても多いので、気をつけてください。まちがえても、最後に代入して確かめれば気づけます。

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